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2006年4月 アーカイブ

2006年4月19日

shoyo01.gif 精進料理と聞いて最もイメージしやすい料理が、この胡麻豆腐ではないでしょうか。 と言っても、最近よくある胡麻入りの豆腐ではありません。 大豆を使用しないのに豆腐のような食感。 そんな胡麻豆腐ですが、私が修行していた永平寺では、主にお客様の接待用に作られていて、修行中の身である我々の口に入ることは殆どありませんでした。 そしてこのご馳走を作る時には、専用の銅鍋の前で数十分もひたすらに木のしゃもじを動かし続けなければならないのです。 とにかく作るのが大変だったことを覚えています。 しかしこの度、研究を重ねた結果、家庭でも簡単に美味しい胡麻豆腐を作ることに成功しました。 今回はその秘蔵のレシピをご紹介します。


gomadofu.jpg 【レシピ】 <4人分>

・吉野葛(よしのくず)…40g
・昆布だし…540g
・砂糖…小さじ1
・塩…小さじ1/2
・白胡麻ペースト(練り胡麻)…20g
・わさび…少々

<甘味噌の材料>
・八丁味噌…小さじ2
・みりん…大さじ1
・昆布だし…大さじ1
・砂糖…大さじ1




【 作り方 】  出来上がりTIME 20 分(固める時間を含まない)
gomadofu-koutei.gif(1) 鍋に昆布だしと吉野葛を入れる。 吉野葛は漉し器を使って完全に溶かす。 さらに砂糖と塩を入れ、これも完全に溶かす。

(2) (1)を中火にかけ、木べらで鍋底をこするようにしてまんべんなく混ぜ続ける。 固まり始めたら弱火にし、そこから10分間くらいで手応えが重くなり、透明度が増すので、それまで手を止めずに練り続ける。

(3) 火を止め、白胡麻ペーストを入れ、良くかき混ぜる。 うまく混ざったら、中弱火にかけ、焦げないように手早く練り上げ、木べらからゆっくりと落ちる程度のとろみがついたら火を止め、水で濡らした型に流し込む。

(4) 出来上がりに素(気泡の跡)が出来ないように、型を落として気泡を浮かせ、しっかりと空気を抜く。
ama-miso02.jpg

(5) 乾燥を防ぐ為、表面をペタペタと濡れた手でならし、ラップなどで蓋をする。 4時間ほどで粗熱も取れ、固まる。 その間に甘味噌の材料を鍋に入れ、中弱火にかけながら焦がさないように5分程度混ぜ合わせて甘味噌を作る。

(6) 胡麻豆腐が固まったら、温めた包丁で切り分け、器の下に甘味噌を敷き、胡麻豆腐の綺麗な面を上にして乗せ、わさびを盛りつけて完成。


作り方のポイント
・ 葛は必ず「吉野葛」を使用して下さい。
・ 型は、タッパーでも、浅い湯飲みでも、本格的なステンレスの型でも、何でも良いです。 どれであっても、水滴が残る程度に型の表面を濡らして、後で剥がれやすくすることが、キレイに作る秘訣です。
・ 作り方の(5)では、胡麻豆腐の表面に水を張るやり方もありますが、完全に水を切ることが難しく、食べる段階でどうしても少し水っぽくなる印象があります。
・ 常温でも十分固まりますが、粗熱を取った後、お好みで冷蔵しても構いません。
gomadofu-koutei-meyasu.jpg
・ お米の計量カップを使用すれば、秤(はかり)要らずです。
 吉野葛 : 昆布だし : 胡麻ペースト = 1/2杯 : 3杯 : 1/4杯 (4人分)


ひとこと
shoyo01.gif 保存は蓋かラップをして冷蔵庫に入れてください。 冷蔵庫で3~4日はもちますが、出来るだけ早く食べるように心がけましょう。




shoyo01.gif
 どうでしたか、今回の胡麻豆腐は?


kaku09.gif 僕もよく吉野葛を使った甘味を作りますが、葛だけで練り終えた後に胡麻ペーストを混ぜるやり方には驚きました。 普通は最初に混ぜちゃいますからね。


kae01.gif
 あれでちゃんと混ざるのよね。 初めて知ったわ。


shoyo01.gif 実はこのやり方、私の祖母直伝なんですよ。 それまで、私も知りませんでした。 なんか、寒天を使用する時みたいなやり方ですよね。 吉野葛の色が変わってくるので、無駄 に練る必要がなくなって、誰でも簡単且つ確実に作ることが出来ます。

kae01.gif
 ということは、今回のやり方は永平寺式ではないのね。


shoyo01.gif そうです。 言ってしまえば我流ですね。 私が居た頃の永平寺では、最初に胡麻ペースト、吉野葛、精進だしを一緒に混ぜて火にかけていました。 そこからひたすら混ぜ続けるんです。 まぁ、量も多いですからね。 大体40~50分くらい手早く混ぜ続けるんです。

kaku06.gif
 そのやり方だと、出来上がりの目安はどこで判断するのですか?


shoyo01.gif それがですね、混ぜるうちに徐々に重たくなるじゃないですか。 木べらをあげて、とろみが垂れる様子で判断するんです。 これぐらいで良いかな? いや、まだまだ! って感じで。 だから経験がものを言う。 最初のうちは結構失敗しましたよ。

kaku08.gif
 なるほど、簡単にはいかないですね。


kae01.gif それに比べて、透明度で判断するこのやり方は分かりやすくて良いわね。 時間も短いし。


shoyo01.gif まぁ時間に関しては、作る量が違うので何とも言えませんが、確かに目安は分かりやすいですよね。 安定して作ることが出来るので、毎回味や食感が変わる心配もありませんし…。
  あ、そうそう、この甘味噌とわさびで頂くのが永平寺でのポピュラーな食べ方なんですよ。

kaku01.gif
 甘味噌と合わせるだけで、なんだか料亭の味になりますね。


kae01.gif 口当たりもまろやかだし、優しい胡麻の風味がお口いっぱいに広がるのよね。 アラレをかけて、ダシや豆乳でとじたり、いろいろアレンジも出来そうよ。 そして何より、胡麻はお肌にもよいので、女性へのもてなし料理に喜ばれる一品だわ。

shoyo01.gif 以前、柚子の絞り汁を練り込んだら、出来たては美味しかったけれど、次の日には風味が飛んで苦みが残ったということがありました。 柚子風味を付けるなら、柚子の皮を少し摺り下ろせば良かったんです。
  それに、今回は白胡麻ペーストでしたが、黒胡麻ペーストで作っても違う風味が味わえて美味しいですよ。

生活そのものが修行であるとする曹洞宗の大本山永平寺では、修行僧が料理を作ります。料理を作ることも、食べることも、坐禅をすることと同様に仏道修行そのものなのです。 その永平寺で本場の精進料理と出会った吉村昇洋が、分かりやすく且ついい感じに、精進料理とその背景を紹介していきます。 見やすく分かりやすいレシピ付き!
吉村昇洋
広島の曹洞宗寺院副住職。 1977年生まれ。駒沢大学大学院仏教学専攻修士課程修了後、学問の世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送り、現在に至る。