世界の中の大和撫子
2011年08月16日
いつものようにレストラン "CANTINA" で下ごしらえをしていると日本女子サッカーがワールドカップでドイツを破って準決勝に進出すると言う吉報が舞い込んで来た。
ドイツが負けたというのにお店のみんなは日本が勝ったことを快く祝福してくれた。ベルリンでは一般的に日本人の好感度はとても高い。少しシャイで職人気質だったり、几帳面で時間に正確だったり、共通している国民性がそうさせているのかもしれない(長年ドイツに住んでる友人はそれを否定し、似て非なるものだと言っていたが・・・)。
準決勝の勝利はStephanの家のテレビで見ることができた。スウェーデンをしなやかに退ける代表の選手達がとてもかっこよく、日本人を母親に持つStephanも日本女子代表のファンになってくれたようだった。
そういうわけで、決勝戦は二人で日米大使館が合同で主催をするパブリックビューイングを訪れた。映画館のような大きなスクリーンと客席があるイベントスペースにはいたるところで日本の旗が振られ、ニッポン!USA!の掛け声が聞こえる。
世界がひとつになった気がして、そしてなぜか自分はここベルリンにいて、そこに君が代が流れてきて。
涙をこらえることができず胸に手をあてて一緒に歌った。それからはもう試合終了までただただ必死に応援。結果はご存知の通りだ。
僕がまだ小学校のグラウンドで暗くなるまでボールを追っていた頃、三浦知良選手はブラジルに渡ってサッカーをした。それ以降世界中でたくさんの日本選手が活躍するようになって日本サッカーは格段にレベルアップした。外からの視点でみると世界のいいところがわかるだけでなく、他にはない「自国の良さ」に気がつくことになる。広い世界を知り視点の切り替えができると、隠そうとしていた短所を、堂々と世界に誇れる長所として伸ばすことができる。
世界に挑戦することは簡単なことではない。生活の保障もないし、成功は勿論、どうすればいいか誰も教えてくれない。けれども挑むだけの価値と楽しさは十分にある。そうやって先人が切り開いていった道が今回の日本女子サッカー代表の優勝につながっている。
今こそ日本人は海外で生活してみてほしい。短期間でも構わない。さらに多くの海外への挑戦者がこの国の良さを改めて理解し、その響きを世界に伝えて欲しい。損得抜きで心から愛され、大切にされる国はそう多くない。
一歩距離をおいて見ると自分達の内側にどれだけ魅力的な性質が備わっているのか気づくことができる。特に海外での日本女性の人気の高さは圧倒的だ。繊細で親切で我を主張しすぎない優しい性質が尊敬されている。欧米人の真似をして身体に西洋文化の上塗りをする必要はなく、自分の中にある美しさを磨きだせばいい。
今通っているベルリンの禅道場は堂長さんが女性である。堂長さんと言ってもこちらの尼さんは髪を伸ばしている場合が多く、衣を着替えると一般女性と見分けがつかない。国内では長期間の女性の参禅を認めているお寺は多くはないけれど、欧州では女性も男性と同じように仏道に接することができる。
海外のお寺を文化や生活の拠点として日本人が胸をはって渡り歩き、活躍する。これからのお寺はそんな場所になっていくとおもしろいのではないかと思う。勿論国内のお寺には、日本ファンになった多くの外国人が訪れ、新たな交流が生まれる。
そんな妄想を抱きながら石畳の道をStephanと並んで歩き、家に帰った。
飽きっぽい僕が坐禅の後に描くことにしたスケッチが、次の日の朝から今も尚続いているのは青い衣をまとった大和撫子達のおかげだ。

星覚 (せいがく) >>プロフィールを読む 雲水。1981年生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、大本山永平寺にて修行を積む。シンガポールに生まれ、イギリス、ポーランド、鳥取県で少年時代を過ごす。ウェブカフェ、雲水喫茶のマスター。









