作ってみたvol.3:秋にさわやか、すだちのまるごと寒天

作ってみたvol.3:秋にさわやか、すだちのまるごと寒天

こんにちは、木原です。お彼岸が過ぎ、いよいよ秋の到来です。いかがお過ごしですか?

先日、料理僧の青江さんから袋いっぱいのすだちを頂きました。
「僕の所だとポン酢にしてしまうだけだから」と、お寺におまいりした折にお土産に持たせてくれたのです。
せっかくいただいたすだち、使い道をあれこれと考えてみましたが(サンマの塩焼きに添える、海藻サラダに絞る等)最終的にはオープンテラスのお菓子にすることにいたしました。お寺で頂いたものは分け合って還元できればと思います。

今回は和菓子らしく寒天を使います。難しいことはありませんよ。

image-1.jpeg●材料(5人分)

すだち 5個
水 300cc
粉寒天 2g
砂糖 大さじ4
すだちの果汁(実を絞ったもの)20ccくらい
・調理時間を短縮するために粉寒天を使いましたが、棒寒天でももちろん大丈夫です。

 すだちは横半分に切り、実を取り出して果汁をよく絞る。
すだちの実は指で取り出すことができます。すだちの皮と身の間に包丁を入れておくとよいでしょう。

 半分に切ったすだちの底の皮をうすく切り、立つようにしておく。
皮を厚く切りすぎると、穴が空いて寒天液が流れ出てしまいます。(真ん中の二つ、失敗しています...)
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 粉寒天と水を鍋に入れて火にかけ、よく混ぜながら溶かす。溶けたら砂糖を入れ、よく混ぜる。とろみがつき、重たくなってきたら火を止める。
寒天が溶けきってから砂糖を入れること。溶ける前に砂糖を入れると固まりません。

 少し冷めてきたらすだちの果汁を加える。
寒天は酸に弱く、一緒に煮ると凝固力が弱くなってしまいます。火を止めて寒天液が少し冷めてから加えましょう。 

 分量外ですが、すだちの皮も加えてみると香りが良くなります。
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 すだちの器に寒天液を注ぎ、1時間ほど冷やすと完成です。
余った寒天も耐熱容器などで固めておきましょう。

盛りつけてみました。

sudachi1.jpgすだちのふたを開けると寒天が登場する、というようになっています。


盛りつけを変更すると、こんな感じ。余った寒天を砕いて加え、皮を添えました。

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作ってみた感想
寒天そのものはけっこう甘くて固いのですが、果汁と合わせるとちょうどよくなります。
すだちの皮いっぱいに寒天を流し入れましたが、冷やし固めたところ少し分量が減ってしまいました。
次回はきれいに寒天を入れてぴしっと固めることが目標です。


お客様の感想
・余計なものが入っていなくてとてもやさしいお味です(RMさん)
寒天と砂糖とすだち、シンプルだけれどやさしく豊かな味が出ます。

・すだちのさわやかな風味が...(Iさん)
旬のすだちのさわやかさを丸ごといただけるのではないでしょうか。
甘さ、酸味、苦みなど、全部含めて秋の味です。


すだちについて

すだちはミカン科の常緑低木ないし中高木。柚子の近縁種であり、すだちの名は酢橘(すたちばな)に由来します。酸味のある果汁がお酢の代わりに使われてきたことがその由来です。
その多くが徳島県で生産され、露地物のすだちの出荷は8月下旬から10月初旬がピークとなります。

すだちの一大生産地は徳島県の神山町。山間部にあり日中の気温差が大きいことで味の良いすだちができるそうです。私はこの夏に神山を訪ねた際、すだちの収穫の様子を目にすることがありました。

炎天下(その日の徳島は最高気温38℃を記録しました)長袖で木の中に分け入って中腰で小さな実を丁寧に摘み取り、傷つけないようにかごに入れていきます。秋にいただくこの味は、山の風土と厳しい労働に支えられているものです。

その日の夕食にはほぼ全てのお皿に(前菜、お刺身、冷や奴などにも)すだちが添えられていて、土地の人にはこの果実がとても身近なのだと思いました。

それからは、すだちを見るたびに神山でお世話になった方々の顔を思い出すようになっています。
お寺でお茶やお菓子をお客様に差し出すときも、食材を作られ、運ばれ、自分の手に届くことのありがたさを思い、そこにある命とかけられてきた時間や労力に対して敬意を持って扱わせていただこう。
そんなことをあらためて思いました。

お寺で食事をするときにおとなえする「食前のことば」をご紹介します。この種のものでは五観の偈がよく知られていますが、この言葉も温かみがあって、私は気に入っています。

多くのいのちと みなさまのおかげにより このごちそうを恵まれました  深くご恩を喜び ありがたくいただきます「食前のことば」/浄土真宗本願寺派)


木原健 (きはら たけし)
>>プロフィールを読む 1978年神奈川県生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。 東京・神谷町光明寺所属。法政大学社会学部社会学科卒業。お寺カフェ「神谷町オープンテラス」に設立時より参加。主に来訪者の接遇を担当。現場の長として「店長」の愛称で親しまれている。