作ってみた vol.2:ジャムとゼリーと抹茶の「一期一会」

作ってみた vol.2:ジャムとゼリーと抹茶の「一期一会」 ご無沙汰しております。木原です。
実はこのところ、ちょっと胃腸の調子を崩しておりました。甘いものを食べようにもチョコレートのにおいをかぐだけで胃が痛くなる始末でした。幸いほとんど元通りになりましたが、慎重を期して油物と刺激物をお休みしております。日々を生きるためにも仏道を歩むためにも健康の大事さを再確認しました。

さて、5月末に「お寺の未来フォーラム」が行われ、東京に全国から未来の住職塾第一期の卒業生が集まりました。
そんな中、瀬戸内からお越しの僧侶、智明さんからジャムを頂きました。智明さんはお寺の副住職をおつとめになるいっぽう、瀬戸内ジャムズガーデンの店主として土地の材料を活かしたジャムを作っておられます。

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さっそくパンにつけてみたところ、これは絶品。糖度が低くて酸味が強い大人向けのジャムです。きっと乳製品とも合う。ヨーグルトに入れたりプリンのソースにするのがいいんじゃないだろうか、とひらめきました。そうだ、オープンテラスのお菓子にしよう。お寺で頂いたものはお寺におまいりする方に還元しよう。

さらにひらめきは進みます。いちごジャムを活かした乳製品...さっぱりしたゼリーにしよう。ブラマンジェみたいな感じの。赤・白と色が決まったらもう一色は緑にするとバランスがいいな。緑なら抹茶があった。抹茶と牛乳ゼリーの相性もばっちりだし、お寺で出すお菓子として広がりが出そうだ。お菓子の名前は...そうだな、お茶の言葉で仏教とも関わりが深い「一期一会」というのはどうだろう?

というわけで、ひらめきのままに作ったお菓子「一期一会」のレシピです。

●材料
牛乳 370cc
生クリーム(乳脂肪分35%)50cc
砂糖 大さじ5
板ゼラチン(写真のもの) 4枚(液量500g相当)
ゼラチンはふやかしておく。



3zairyou.jpeg・計量のしやすさ、保存のよさから板ゼラチンを使用しています。粉ゼラチンを使う場合は水分の調節に気をつけてみてください。
・生クリームは動物性のものを。どこのメーカーのものもおいしいですが、さっぱりとしたタカナシのクリームは製菓に重宝します。

1 牛乳と砂糖を鍋に入れて弱火で温めながらよく混ぜる。
牛乳の温度に気をつけましょう。あまり温度が上がると(70度くらい〜)牛乳の成分が変わって風味が落ちてしまいます。

2 1にゼラチンを投入し、1〜2分間混ぜて溶かす。
60度くらいから溶けてくれます。あまり温めすぎないよう、溶かす作業は余熱で行ってもいいかもしれません。


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 溶けたら火を止め、氷水などで底面を冷やしたボウルに入れてよく混ぜます。あら熱がとれてきたら生クリームを投入します。
あまり熱いうちに生クリームを入れると、やはり味が変わってしまいます。

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 とろみがついてきたら手を止め、型に移して2〜3時間冷やし固めて完成です。
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抹茶のソース
●材料
抹茶 少々
砂糖 大さじ1
水 100cc
砂糖に水を投入し、抹茶を溶かします。出来上がったものは濾して瓶につめます。
 
抹茶の寒天
●材料
抹茶 小さじ2
砂糖 大さじ3
粉寒天 2g
水 200cc

 粉寒天を水に溶き、鍋に入れて火にかけます。
 1の粉末が溶けきったら砂糖を投入、砂糖を混ぜつぶすようによく混ぜます。
 2に抹茶を入れ、ダマにならないようによく混ぜます。

maccha.jpeg よく煮詰まり、重たくなってきたら火を止めて型に流します。
とろみがついてきました。木べらを動かすと重みを感じるくらいになっています。
常温で一時間ほど立てば固まります。これも熱がとれたら冷蔵庫に。



盛りつけてみました。
dekita.jpeg牛乳ゼリーを四角く切って寒天を乗せました。なんだかわさびが乗ったごま豆腐のようです。
「JAMS GARDEN」の文字が入ったスプーン型クッキー(これも頂き物)でジャムをすくってかけます。


抹茶をソースにすると、こんな感じ。
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上下2枚の写真はカメラの好きなお坊さんに撮っていただきました。美しい!ありがとうございます。
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作ってみた感想
暑い日はゼリーがすぐに柔らかくなってしまうので、オープンテラスでのお菓子には少し多めにゼラチンを使います。
それでも盛りつけする時に形が崩れてしまったのが惜しいところです。
抹茶の寒天はかなり甘さと苦さを強くしてみましたが、アクセントとしては許容範囲なのではないでしょうか。
温度管理をしっかりすれば流しものは簡単にできます。


お客様の感想
・さっぱりしておいしい!(Kさん)
暑い日にもするっと頂けます。

・「イチゴ一会」なんて、何とも洒落たネーミングです。(Mさん)
語呂合わせを拾ってくれてありがたいです。「すべてのご縁に改めて感謝したくなった」という嬉しいコメントもいただきました。


一期一会について

「一期一会」とは禅の言葉でお茶の心得としてもよく登場します。千利休が提唱した言葉で、門弟の山上宗二が残した書物に「一期に一度の会」と書いてあります。茶席では一生に一度の出会いと心得て最善を尽くすように、といったことで、「一期一会」という言葉を今日に残したのは井伊直弼公。幕末の大老としてのみならず茶人としても名を残しています。

直弼公お膝元の彦根は茶道が盛んで、おいしい和菓子屋さんもたくさんあります。以前彦根に足を運んだときは町中の素晴らしい和菓子屋さんにくらくらして山ほどお土産を買って帰ったことを覚えています。


さらに一期一会を仏教用語としての「一期」と「一会」に分けるとき、それは一期=人が生まれて命を終えるまでの間、一会=一度の法会(ほうえ)となるでしょうか。

井伊直弼公は『茶湯一会集』でこう触れています。
たとえ同じ顔ぶれで何回も茶会を開いたとしても、今日ただ今のこの茶会は決して繰り返すことのない茶会だと思えば、それはわが一生に一度の会である。そう思うと互いに粗略に扱うこともない。真剣な気持ちで、何事もなおざりにすることなく一服の茶をいただくことになる。

お寺に足を運ばれる方はその体験のすべてを通して仏教に触れていきます。
お寺でお茶を出させていただく身としては、素朴なほうじ茶にも毎回のお菓子にも、、決して繰り返すことのない一生に一度の機会として心をこめたおもてなしをできればと思います。そこから仏さまの教えが伝わることもあるのではないか、と思いながら。実際にはなかなかそうはいかないのですが...


木原健 (きはら たけし)
>>プロフィールを読む 1978年神奈川県生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。 東京・神谷町光明寺所属。法政大学社会学部社会学科卒業。お寺カフェ「神谷町オープンテラス」に設立時より参加。主に来訪者の接遇を担当。現場の長として「店長」の愛称で親しまれている。