苦しい時期を支えてくれた一品 高野豆腐の揚げ煮

苦しい時期を支えてくれた一品 高野豆腐の揚げ煮

shoyo20.gif 2011年3月11日(金)14:26頃、マグニチュード9.0という観測史上最大規模の東北地方太平洋沖地震が起きました。

 個人的なことですが、未だ連絡の取れない友人がいます。 どうにか生きていて欲しい。 連日の報道を見るたびに、その思いでいっぱいになります。

 【禅僧の台所】は毎月1日、15日に更新をする予定となっています。 被災地では慢性的な物資不足が起こり、十分な食事も出来ない状況が続く中、"平然と精進料理のレシピを更新していて良いのか?" との葛藤もありましたが、永平寺で修行していた頃、自分が辛いときに食べると元気の出た料理を作ろうと思い立ち、この料理を作りました。 永平寺でこれを初めて食べた時には、周りのツルツルとした食感と、中のフワフワとした食感に驚きを禁じ得ませんでした。 この料理を食べた後は、修行僧も心なしか満たされた顔をしていたので、永平寺で人気No.1のメニューと言っても過言ではないでしょう。

 被災地の状況は、メディアを通じて知るものよりも、遥かに大変であると想像します。 被災者の方々がほんの少しでも満たされるには、今、自分たちに出来ることは何か? 被災者にとって "ありがた迷惑" にならないようなことは何か? 冷静に考えてから実行に移していきたいと思います。

【 レシピ 】 <2人分>
・ 高野豆腐・・・3個
・ きぬさや・・・3本

・ 薄力粉・・・30g
・ 揚げ用油・・・適量

<甘辛だし>
・ 昆布だし・・・150ml
・ 濃口醤油・・・大さじ2
・ 日本酒・・・大さじ1
・ みりん・・・大さじ1
・ 三温糖・・・大さじ1
・ 天然塩・・・小さじ1

【 作り方 】 出来上がりTIME 40分
 <下準備>
・ 昆布だしは、あらかじめ用意しておく。 → 昆布だしの取り方
・ 高野豆腐は、60〜80度程度の湯に5分ほど浸して戻し、両手の平でつぶすようにして絞り、水を換えて白い液体が出なくなるまで繰り返す。 その後、半分に切る。
・ きぬさやは、1分ほど塩ゆでし、ザルにあげて粗熱を取り、斜めに半分に切る。
・ <甘辛だし> の材料を鍋に入れて、ひと煮立ちさせておく。

kouyadoufu-kinusaya.jpg(1) 下準備した高野豆腐の水分を適度に絞り、薄力粉を薄く周りに付着させ、160度の油でこんがり色付く程度に揚げる。

(2) (1)を、沸騰させた<甘辛だし>の中に投入し、弱火で15分ほど煮る。

(3) (2)の粗熱がとれたら、きぬさやとともに器に盛りつけ、完成。


作り方のポイント
・ 煮た後、長時間置いておくと、柔らかくなりすぎ、あまり美味しくありません。 食べ頃は、煮始めから数えて3時間頃です。 まぁ、その辺はお好みで!
・ 最近の高野豆腐は、湯もどし不要のものもありますが、白い絞り汁は出ますので、処理はしっかりとやりましょう。
・ 高野豆腐に薄力粉を付着させる際には、スーパーの透明ビニール袋の中に入れた薄力粉の中に高野豆腐を入れて、シェイクすると簡単です。 油で揚げる前には、軽く粉を落としておきましょう。
・ 揚げ用油は、加熱しても成分が変容しないオリーブオイルか、胡麻油がオススメです。

ひとこと
shoyo19.gif 今回の東北地方太平洋沖地震、またそれを原因とする津波により、多くの方が亡くなられました。 一人の僧侶として、日々のお勤めの中で、ご冥福をお祈りさせて頂くとともに、生き残られた被災者の皆様のご命運をお祈りしております。 そして、自衛隊や災害ボランティアをはじめ、災害派遣で来られた外国の支援隊等、明日の生命のために尽力されている多くの方々に感謝を申し上げます。

 私の所属する教区の曹洞宗青年会では、現時点で出来る有効な支援として、義援金の募金活動を行うことが決まりました。 他の都道府県・地域の各寺院でも、春のお彼岸前の慌ただしい最中にも関わらず、様々な義援活動の予定がすでに聞かれます。 読者の皆様も、そういった僧侶の活動に限ったことではありませんが、今回のことで少しでも何かしらの支援をして頂けるよう、切にお願い申し上げます。

 今こそ、助け合いの精神を表現する瞬間なのです。


関連タグ:高野豆腐 精進料理 カテゴリ: ○煮物 

吉村昇洋 (よしむら しょうよう)
>>プロフィールを読む 1977年3月生まれ。広島市内の曹洞宗寺院副住職。
駒沢大学大学院にて仏教学修士を取得後、仏教を学問する世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送る。その後、広島国際大学大学院にて臨床心理修士を取得し、現在臨床心理士としても活動している。 彼岸寺では、【禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜】を展開する。 現在、『栄養と料理』『禅の友』各誌にてエッセイやレシピを連載中。