お粥 ・ ・ ・ それは、永平寺の基本

shoyo01.gif 新年、明けましておめでとうございます!!
 2011年も、変わらぬご愛顧のほど、宜しくお願い致します。

 さて、【禅僧の台所】 も2006年の元旦に本格始動してから、なんと6年目に突入することになりました。

 6年目の初っぱなに、何を公開しようかと色々考えた結果、やはり基本に戻ろうと思い、永平寺のスタンダードな朝食をご紹介することにしました。

 そう、タイトルからもお察しの通り、今回は " 粥 (しゅく) " です。 永平寺ではお正月であろうが何であろうが、1年365日、毎日必ず食べる粥ですが、実は大きく分けて玄米粥と白米粥、茶粥の3種類があり、今回は最も簡単に作ることの出来る白米粥を取り上げます。 粥の効果については、これまでもコラムで取り上げていますので、併せてご覧ください。

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【 レシピ 】 <2人分>
・ 白米・・・1/2合 ( 75g )
・ 天然水・・・900cc ( 白米の10倍の水分を目安に )

・ 沢庵・・・50g ( 魚系のダシが使われていないもの )

<胡麻塩 ( 白 )>
・ 白胡麻・・・1g
・ 天然塩・・・適量

【 作り方 】 出来上がりTIME 40分
 <下準備>
・ 米は、研いだ後、ザルにあげておく。
・ 天然塩は、焦げないように弱火で煎った後、すり鉢で細かく擂る。
・ 胡麻は、1分半ほど中火で熱したフライパンに火を切ってから入れ、10秒ほど煎った後、すり鉢でゆっくりと細かく擂る。 その後、綺麗な新聞紙の上に擂った胡麻をあけ、擂った焼き塩を少しずつ加えながら良く混ぜ合わせていき、余分な油を新聞紙に吸わせる。 味見をしつつ、程よく塩辛さが際立ってきたら <ごま塩> の完成。( ちょっと塩辛いかな? と思う程度が丁度良いと思いますが、そこはお好みで!! )
・ 沢庵は、縦に半分にした後、0.1mmから0.3mm程度の薄さに切っていく。 目安は、透ける程度。(自家製の沢庵で塩辛すぎる場合は、5分から10分程度水にさらし、塩分を抜く。 味見をしながら調整すること。)
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(1) 天然水を沸騰させた鍋に、ザルにあげた生米を入れ、噴きこぼれないように弱火で25分ほど火を入れる。

(2) 粥、薄切りの沢庵、胡麻塩をそれぞれ器に盛って、完成。



作り方のポイント
・ 胡麻塩の胡麻を擂る時には、力を入れず、ゆっくりと回していきます。 大きめの擂り鉢と大きめのすりこぎ棒を使う場合は、すりこぎ棒の重みのみで回していきます。 そうすると、力を入れて擂る場合と比べて油分が出ず、サラサラな出来上がりになります。
・ 粥は熱湯から作ると、時間を短縮することが出来ます。 また、火を入れている間、粥の水分が少なくなった場合は、目分量で水を足して頂いても結構です。 粥の固さはお好みで!!
・ 玄米粥の時には、黒胡麻塩を使います。 玄米粥は圧力鍋を使うと簡単に作ることができます。 また、黒胡麻塩の作り方は、胡麻の種類が違うだけで、あとは一緒です。
・ 沢庵を極薄に切るときには、手早く刻む必要があります。 そんな時には、手にケガを負いやすいので、沢庵を押さえる手に軍手を二重にして装着しておくと、もしもの時に安心ですので、オススメしておきます。


ひとこと
shoyo18.gif 粥で濡れた匙 (さじ) の先に、胡麻塩を少量付けて口へと運ぶ。
 坐禅堂のピンっと張り詰めた緊張感の中、お米特有の甘さと胡麻塩の塩辛さが相まって、舌が至福の喜びを感じる一種独特の感覚。 永平寺を離れ、粥を食べる機会も少なくなった私ですが、自然と身体が欲して、食べたくなることも少なくありません。 それが、永平寺の粥なのです。

 また、疑問に思われた方も多いかと思いますが、沢庵が通常考えられないくらい薄く切られています。 それは、食事を行う僧堂(坐禅堂) が、東司(とうす : トイレのこと) ・ 浴室 とともに、音を立ててはいけない " 三黙道場 " の一つに数えられていることに由来しています。 厚く切ってしまうと、当然ボリッボリッと音がするので、極限まで薄くし、食べる側もゆっくりと噛んで音を立てないように細心の注意をはらいます。

 まさに、料理を食べることも、作ることも修行であることの一例ですね。


< 春の七草粥 >
shoyo01.gif 春の七草と言えば、セリ・ナズナ(ぺんぺん草)・ゴギョウ(母子草)・ハコベラ(ハコベ)・ホトケノザ(小鬼田平子)・スズナ(蕪)・スズシロ(大根)の7種類の緑野菜を一般的には指しますが、時代によっては7種類の内容も異なっていたようです。 永平寺も例にもれず、1月7日には七草粥を食べることで一年の無病息災を願うといった風習がありますので、食べておくのも日本文化を感じる上で必要なことなのだと思います。

 さて、七草粥の作り方ですが、上記の七草を細かく刻み、一度50秒ほど熱湯で茹でた後ザルに取り、それを出来上がった粥の中に投入するだけです。 塩分は、胡麻塩があるので粥に直接入れる必要はありませんが、胡麻塩を添えない場合は、隠し味程度に天然塩を振っても良いと思います。

 今まで七草粥を作ったことのない方も、今年は作ってみては如何でしょう。



吉村昇洋 (よしむら しょうよう)
>>プロフィールを読む 1977年3月生まれ。広島市内の曹洞宗寺院副住職。
駒沢大学大学院にて仏教学修士を取得後、仏教を学問する世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送る。その後、広島国際大学大学院にて臨床心理修士を取得し、現在臨床心理士としても活動している。 彼岸寺では、【禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜】を展開する。 現在、『栄養と料理』『禅の友』各誌にてエッセイやレシピを連載中。