インタビューvol.1 親しみに来てほしい/渡邉元浄さん(静岡・正蓮寺)

インタビューvol.1 親しみに来てほしい/渡邉元浄さん(静岡・正蓮寺)

前回に引き続き、静岡県伊豆の国市のお寺・正蓮寺さんにお邪魔しております。
正蓮寺の住職、渡邉元浄さん(以下、元浄さん)にお時間を頂き、お話を聞かせていただきました。
ざっくばらんとした口調と旺盛なサービス精神、その中にある深い思いが明らかになっていきます。
最後に出てくる「言葉のおもてなし」に、しみじみと感じ入るところがありました。
(聞き手・木原健)


親鸞の「親」は「親しむ」の「親」!? 

――今日は書写教室に参加させてもらいました。正蓮寺さんでは色々な活動を行っていますが、元浄さんは活動を通じてどんなことを伝えていきたいと思っていますか?

「お寺って気軽に来ていいんですよ」ってこととか、「おしゃべりしにきていいんですよ」ってこととか、そういう思いですね。例えば、どこかみなさん気づきがあって、仏教的な言葉を「あ、今日は持って帰った」っていうような顔をしてるから、そういうフレーズをたくさん使うようにしてますかね。例えば書写教室の中でも、そうだなあ...僕がしゃべってる時間も、「百八の煩悩」とか、ま、そういうお話も踏まえた上で、自分自身や自分たちが、「あぁ、悪かったなあ」とか、「自分たちこそ、あんまりきれいなもんじゃないな」っていうふうに気づけるところが、やっぱりいいところかなって思いますけど。

――今日の教室でも、お檀家さんたち、生徒さんたちとすごく視線が近いんだなあということを僕は感じていました。話している内容も席の視線も近い感じでなさってるのがいいなと。

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あー、そうですね。あんまり、ぎっちり、ね。こう...「しゃべっちゃいけません」とか、そういうことではないし...ま、「書いて親しむ」っていう。親鸞の親は「親しむ」の親だから。


――おおお...(笑)その通り!


だから、うーん...そうそう、「親しみに来てほしい」というメッセージですかね。


――「お寺にも」ということですか?

 

はい...あとは、「法事とかそういうときにはなかなか言えないことなんですよね」と言うと、やっぱりこう、皆さん、「来て良かったね」って。

 

――実際に、やっぱり法事の場と普段とでは関わり方が違うところはありますよね。

 

そうそうそうそう。何より法事って施主が忙しいから。なかなか(法話を)聞いていられないところも。

 

――うん、あったりしますしね。

 

親戚の世話に神経取られちゃうっていうか。うん...そっちの方が重要視されちゃうしね。

 

――法事などのおつきあいとはまた違った形で、いい関係ができてるなっていうのを今日は感じました。

 

 

お寺が檀家さんをもてなすことができる喜び

 

そうですね。あとはまあ...まあ、お寺が檀家さんをもてなすことができる喜び。

 

――もてなすことができる喜び。うん。ああ、いいですね。

 

いつももてなされている側だからね。

 

――確かにそうですね。そういう思いは、先代のお父さまもそういう感じだったんですか?

 

そう、ですね。ふるまいとかサービス精神は、うーん、多かったから。母もそうだし。

――ご家族からもその感じはすごく伝わってきました。代々そういうふうにお考えになってやっておられるのかなっていうことを、思ってます。 

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亡き人を偲べるような「言葉のおもてなし」

 

そうですね...あとは、そうだなあ。目の前にいる人の悲しみをやっぱり、どこかで、ね、あの...思い出させるんじゃないけれど、そういう状態をふと、「ああ、そうだったなあ」って邂逅させるような取り組みをしたいなって思ってますね。

 

――それは普段の活動の中の話ですか?それともこれから始めていくという感じですか?

それは今の活動の中でもそうだし、そうやって亡き人を偲べるような、フレーズなり、言葉のおもてなしというか...

 

――言葉のおもてなしか...たとえば今回の書道教室のお手本にも、やはり...

そうですね、ま、親鸞聖人自体も、グリーフサポートし続けているようなもんだと思ってるし、そういうつなぎ役でありたいですね。

 

――うんうん...

 

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この後も集まった方についてのお話、これからの「お寺カフェ」のあり方などについて話が盛り上がりました。元浄さんは今春以降、日曜日の日中に「お寺カフェ法話会」を開いていくということ。その様子もまた改めてお伝えできればと思います。



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■渡邉元浄(わたなべ げんじょう)さん プロフィール
静岡県 真宗大谷派 正蓮寺住職

一言自己紹介
21歳の時、先代住職であった父親が自死。大学卒業後に住職就任。
お檀家さんにお育てをいただいて12年。
現場の浄土真宗を聞きながら、嗚咽とともにたどり着いた心境は、「いろいろあったけど、それでも生まれてよかった」。祖父が開園した幼稚園保育園の園長。
こどもたちと一緒に、うれしいことやかなしいことを、肌で感じる保育を心がけています。
伊豆の国市消防団第4分団支援団員 火の用心をお願いします。

木原健 (きはら たけし)
>>プロフィールを読む 1978年神奈川県生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。 東京・神谷町光明寺所属。法政大学社会学部社会学科卒業。お寺カフェ「神谷町オープンテラス」に設立時より参加。主に来訪者の接遇を担当。現場の長として「店長」の愛称で親しまれている。