お坊さん専門の...!? 「伝わる寺報教室」開講直前、松本紹圭さんと作戦を練る

お坊さん専門の...!? 「伝わる寺報教室」開講直前、松本紹圭さんと作戦を練る


みなさんは「寺報(じほう)」を見たことはありますか?


寺報は、いわばお寺の新聞(ニュースレター)であり、フリーペーパーで、主な読者はお寺のお檀家さん。多くのお寺では、行事の案内や布教を目的として、年に数回寺報を発行しています。


「寺報って、お檀家さんとお寺の関係を良くするツールになるのになぁ」。


こんな、なにげないつぶやきが「未来の住職塾」のみなさんの耳に入り、お坊さんまたはお寺の家族など、寺報を発行する人たちのための通信講座「伝わる寺報教室」が開講。言い出しっぺ(?)の私は、なんとも世にも珍しい「お寺の新聞づくりを教える」講座で講師を務めることになったのでした。


あれから、3年。


100名以上の受講生のみなさんが、名寺報・名寺報記事を生み出してきた「伝わる寺報教室」。秋の開講を目前にして、「未来の住職塾」塾長の松本紹圭さんと最後の作戦会議をしました。




「オダンカさん」って何ですか?


ところで、お坊さんではない読者のみなさん。
「お檀家さん」という言葉をご存知ですか?


実は、ときどき、友人たちにお寺の話をしていると、「オダンカって何?」と聞かれることがあります。どうやら、実家で「檀家」という言葉を使っていなかったため、言葉の意味を知らないようなのです。


「えっと。実家がお世話になっているお寺はある?」
「それは、あるけど」
「だったら、あなたの家はそのお寺の"お檀家さん"だよ」


簡単に言うと、お檀家さんとは「特定のお寺にお葬式や法事をお願いしている家族」のこと。日本のお寺の多くは、檀家制度と呼ばれる会員制で運営されている、と説明しています。


この話をすると、お坊さんたちは「え、檀家も知らないの?」と驚愕されます。
でも、「檀家という言葉すら知らない」人たちこそ、次世代あるいは次々世代の檀家さん。ご住職と一緒にこれからのお寺を支える、大切なお寺コミュニティのメンバーのはずなのです。



どうすれば、「オダンカ」という言葉を知らない人とのご縁を育めるのでしょう?



お寺の課題の多くは「お寺とお檀家さんや地域とのご縁が薄れている」ことに起因しています。だからこそ、寺報というメディアはお寺の課題を解決する力強いツールになりえるのです。


それぞれのお寺に、唯一無二の寺報がある


jiho_.jpg(過去の受講生のみなさんが作っていた寺報。なかにはさらにリニューアルしてグレードアップした寺報も...)


そんなわけで、9月某日。


私と松本さんは、近ごろウワサの「しんらん交流館」(東本願寺)のカフェに集合。「講座運営のブラッシュアップ」について作戦会議をしました。


「伝わる寺報教室」の受講期間は、年末年始を挟んだ3か月半。


この間に、3回の課題提出を経て、寺報の創刊あるいはリニューアル号を作り上げてもらいます。最初の課題は「自分のお寺ってどんなお寺だろう?」と客観的に振り返ることからはじまります。


「寺報の発行目的は?」
「お寺としてご縁を深めたい人(読者)は?」
「そのためにはどんな記事が必要?」
「届けたい読者のために、どんなデザインをする?」


メディア作りの基礎的なステップを踏みながら、一人ひとりの受講生の方のお寺の現状に合う新しい寺報づくりに取り組んでもらいます。このプロセスにおいて、「自分のお寺はどんなお寺でありたいのだろう」という本質的な問いに向き合っていただくこともあります。


「もっとお檀家さんとの関係を深めたい」
「都市部に引っ越したお檀家さんが、帰郷するきっかけとなるお寺になりたい」
「地域に開かれたお寺として認知されたい」


お寺のある地域、立地、置かれている状況によって、お寺が抱えている課題はさまざまです。でも、きっとどこかに解決の糸口は見つかるはず。

講師としての私がやりがいを感じるのは、一人ひとりの受講生と相談しながら「どんな記事で、何を伝えればいいのか」を見つけること。そして、そのお寺にしか作れない、唯一無二の寺報のかたちを一緒に考えることです。


その課題を解きほぐすためには、受講生一人ひとりとじっくり向き合うことが何よりも必要になります。


「コミュニケーションをより深く、楽しくしたい」


こう書いた付箋を差し出すと、松本さんは「いいですね」とにっこり笑いました。


通信講座だからこそ、もっと深く楽しいコミュニケーションを


jiho_3.jpg(「伝わる寺報教室」のパンフレットには、受講生の方が事例として登場してくださっています!)


通信講座の良さは「受講生は好きなときに勉強できること」。しかし、対面のように近しい関係で受講してもらうことは難しいのがネックです。離れているからこそ、もっと深く、楽しいコミュニケーションを提供するにはどうしたらいいか...?


コミュニケーションを楽しみたいなら、やっぱり関係を深める努力するしかありません。そこで、今回は「コミュニケーションの機会を増やすしくみづくり」にトライすることになりました。


「伝わる寺報教室」では、「ワーク」と「課題」という二つの学習方法があります。これまで、「ワーク」はテキストに記入して自習し、「課題」は提出用のシートに記入して講師に提出することが義務づけていました。


ところが、今期からは思い切って「ワーク」も任意で提出を呼びかけ、その内容を受講期間中に発行するメールマガジンや受講生のFacebookグループで共有。オンライン上に「教室」を感じてもらうようにするためです。


もともと、「マンツーマン感」の高い通信講座ですが、今回はその感じをより高めつつ、受講生のみなさんの寺報づくりにしっかり寄り添いたいと思います。


ちなみに、卒業後も受講生のFacebookグループは継続。「新しい寺報ができました!」「今回はここに悩みました...」と交流が行われ、みなさんの寺報づくりを支えるコミュニティにもなっています◎ 



「伝わる寺報教室」(受講期間:2015年10月15日〜2016年1月31日)
http://www.oteranomirai.or.jp/juku/distance_course/jiho/
※申し込み〆切は10月4日(日)予定。来年、新しい寺報で一年を始めたい方、ぜひご受講ください!


そして、塾長との仏教トークつづく

未来の住職塾塾長 松本紹圭さん

全国で開講する「未来の住職塾」や、講演や研修会などのために出張が多く、いつも忙しそうな松本さん。同じ京都に住んでいながら、会うのは打ち合わせや会議のときばかり。ゆっくり話せるのはとても貴重な時間です。


「今日は、そんなに急いでないのでちょっとだべりましょう!」
「いいですね!」


こんなとき、何を「だべる」かって。それは、やっぱり仏教ですよ


日々の暮らしのなかで、捉えている自分の心の動きについて、「仏教の教えに即して考えると、こういうことではないだろうか」とお話して、感想を言い合ったりします。


私にとって、お坊さんである松本さんは、仏教という道を歩く先達。向かい合ってお話していても、どこかその背中を見ているような気持ちになることも多いです。



「また、仏教の話をしましょうね!」

「しましょう!」


別れ際、こんな挨拶をさわやかにしている人もまた、世にも珍しいのかもしれません...!



以前、松本さんにインタビューして「greenz.jp」に掲載された記事。「お寺の未来」についてお話を伺いました。

お寺から地域、そして日本を元気にする!次世代の住職たちのお寺づくりを支える「お寺の未来」http://greenz.jp/2014/02/17/oteranomirai/





杉本恭子 (すぎもと きょうこ)
>>プロフィールを読む 大阪生まれ東京経由京都在住のライター。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒業。お寺取材を経験するうちに「お坊さん」に興味を持ちインタビューを始める。