【高野山だけが真言宗じゃない】大和路の十一面観音菩薩に会いに行こう!<前編・奈良北部>

【高野山だけが真言宗じゃない】大和路の十一面観音菩薩に会いに行こう!<前編・奈良北部>


50日間にわたる高野山開創1200年を記念する大法会が、5月21日に無事円成しました。数々の厳粛かつ荘厳な儀式、宗派を超えた法要、開創以来初のご開帳、プロジェクション・マッピングなどさまざまなイベントがあり、本当に盛りだくさんの50日間でした。そしてなにより大法会を彩ったのは、この勝縁を受け取るべく天空の聖地・高野山を訪れた数えきれない参拝者の方々。高野山と結縁したすべての人々のお陰で見事な大法会となり、そこには確かに弘法大師・空海の教えが今も息づいていることが感じられました。


ただし、高野山だけが真言宗ではありません。高野山真言宗の他にも、東寺真言宗・真言宗善通寺派・真言宗醍醐派・新義真言宗・真言律宗など10を超える宗派があります。それら高野山系以外の真言宗のお寺でも、この開創1200年記念に合わせた法要やイベントが行われています。この機会に多くのお寺で仏縁を結んでみてはいかがでしょうか。


そんなわけで、奈良・大和路の真言宗寺院を中心に、とりわけそこで出逢える観音菩薩さまを巡ってみました。高野山の秘宝に勝るとも劣らない、古都のお寺を北部と南部に別けてレポートします。奈良公園や東大寺と合わせて一日で充分に周れる距離にありますので、ぜひ観光ルートに組み入れてご参拝くださいね。


■ 法華寺(真言律宗/奈良市)http://www.hokkeji-nara.jp


聖武天皇の勅願によって日本全国に国分寺・国分尼寺が建立された内の総国分寺は東大寺、総国分尼寺が法華寺であり、聖武天皇の皇后・光明皇后の創建。法華経の功徳でこの世の罪障を消滅させ、国家の平安や女人の成仏を願う「法華滅罪」のお寺です。


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本尊の十一面観音菩薩立像(国宝)は秘仏で、普段は瓜二つのご分身の十一面観音菩薩さまを拝観できます。ご分身は白檀の一木造りで、本堂に一歩足を踏み入れると白檀の香りで満たされます。光明皇后にお会いしたことはもちろんないのですが、まるで光明皇后の生き写しかのような麗しき観音菩薩さま。秘仏ですが一年に何度か開扉されますので、ぜひ訪ねてみてください。


■ 海龍王寺(真言律宗/奈良市)http://www.kairyuouji.jp


法華寺のすぐ近く、平城京の鬼門にあたる北東隅に位置しており、光明皇后が鬼門を護るために創建されたと伝わります。現在の石川重元住職はメディア露出も多く、親交のあるイラストレーターのみうらじゅんさんから「イケてる住職」という意味で「イケ住」の称号をつけられたことでも有名。


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本尊の十一面観音菩薩立像(重要文化財)は鎌倉時代作ですが、保存状態が非常に良く、制作当初そのままのお姿のよう。高さ94cmと小振りですが、あまりの上品さに吸い込まれる思いがします。


■ 不退寺(真言律宗/奈良市)http://www3.kcn.ne.jp/~futaiji


海龍王寺から近く、お寺巡りをするなら「法華寺 → 海龍王寺 → 不退寺」は定番コース。平安時代の歌人として有名な、在原業平(ありわらのなりひら)の創建で、「衆生済度の為に法輪を転じて退かず」と発願されたので「不退寺」と呼ばれるようになりました。


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本尊の聖観音菩薩立像(重要文化財)は、極彩色の装飾が剥がれ落ちたのか、白い彩色が残って独特の美白の観音菩薩さま。頭の両脇にはリボンのような装飾があり、女性らしさが際立っています。そのせいか、ホワイトデーを特集するテレビ番組で「ご利益がある」と取り上げられたとか。こちらは十一面観音ではありませんが、長身で迫力ありますよ。


以上、僅かですが3カ寺をご紹介いたしました。ご覧の通り、仏さまは撮影禁止なので写真はなく、訪ねてみないとお目にかかれません。でも行けばきっとその場でしか出逢えない仏さま・菩薩さまとの巡り合わせがあり、なんとも言えない空気感が楽しめるはず。ぜひ足をお運びください。それでは後編もお楽しみに! 合掌


── 参考 ──


■ 大和路 秀麗 八十八面観音巡礼
http://www.kairyuouji.jp/kannon.html


桂 浄薫 (かつら じょうくん)
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