【出場レポート】世界に届け!InterFaith駅伝が伝えた平和のメッセージ

【出場レポート】世界に届け!InterFaith駅伝が伝えた平和のメッセージ


2月15日、京都マラソン併設の「InterFaith駅伝 〜平和を願う祈りの駅伝〜」に出場しました。時折り小雨が降るものの概ね好天に恵まれ、無事に全10チームが完走できました。平和への願いを込めたタスキをつなぐことで、宗教や宗派を超えてそれぞれの宗教者が交流し、世界に向けて平和のメッセージを届けるという目的を果たせたと思います。


今回は14日・15日の二日間にわたるInterFaith駅伝の様子をレポートすると共に、そこでの学び・気づきについてご報告します。


■ 2月14日(土)前日


前日に京都入りし、ホテル本能寺で出場者・関係者と初顔合わせ、説明会がありました。説明で強調されていたのは「競争ではない」「諸宗教間でタスキをつなぐことが目的」ということ。それもそのはず、出場者は外国からのイスラム教・キリスト教の方をはじめ日本全国からさまざまな宗教・宗派の方が集まり、年齢もランニング歴もバラバラです。4人1チームの全10チームの構成も運営側が全体のバランスや異なる宗教間のタスキリレー(イスラム教→キリスト教など)を考慮しながら決定したもので、同じチームのメンバーと顔を合わせるのもこの日が初めて。順位やタイムを競うものではなく、宗教者が仲良くタスキをつなぐこと、その姿を通して平和のメッセージを届けることが大切であると確認しました。


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次にホテル隣りの法華宗 大本山 本能寺(いわゆる信長の本能寺)に移動し、「祈りの時間」という法要を勤めました。本能寺の夕方のお勤めと共に行われ、「南妙法蓮華経」と唱える法華宗の儀式で進められたので、私たち他の宗旨の者には新鮮でした。実は本能寺の本堂に入るのも初めてで、ご本尊の日蓮聖人のお姿も独特で興味深く拝見しました。「祈りの時間」には多忙な公務の合間をぬって門川大作・京都市長も参列くださり、京都マラソン主催者としてInterFaith駅伝を同時開催することの意義を力説されました。


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また、InterFaith駅伝発祥の地・ルクセンブルクから出場のキリスト教のインゴハンケさんもご挨拶され、日本でこの駅伝が開催されることの素晴らしさを話されました。そしてキリスト教らしい詩的な祈りのメッセージもご披露くださいました。


このように単に駅伝を走るだけではなく事前に宗教的な法要を勤めることは、InterFaith駅伝の意味を再確認することができて、非常に大切な時間となりました。


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その後、ホテルに戻り懇親会。翌日の本番に備えてこの日はノンアルコールで乾杯となりました。チームのメンバーとも親交を深め、学校のテスト前のように「全然トレーニングしてない」とうそぶきながらも健闘を誓い合いました。


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■ 2月15日(日)当日


この日はお釈迦さまが入滅された「涅槃の日」、そのような大切な日に駅伝を走れることは仏教徒にとっても他の宗教者にとっても大きな喜びです。はやる気持ちを抑えきれずに早起きし、朝7時にホテル本能寺に集合して、それぞれスタート地点・中継地点にバスで移動しました。


私は第1区なのでスタート地点の西京極総合運動公園へ。フルマラソンを走る一般ランナーで既に会場は熱気であふれ、1万6,000人がスタートを待っていました。その雰囲気に圧倒されながらも、私たち駅伝ランナー10人もウォーミングアップ。InterFaith駅伝の取材も多く、緊張感が増します。まずは車椅子ランナーがスタートし、続いて一般ランナーがスタート。1万6,000人がスタートラインを越えるのに15分もかかりましたが、その後いよいよ私たちのスタートです。宗教間の連帯を表すように全員が手をつないでスタートしました。


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その後はそれぞれのペースで走りましたが、最後尾からスタートしているので前が詰まっていて、速いランナーも思うように前に進めません。しかしそこは「競争ではない」ことを思い出し、沿道で声援を送ってくださる方々にハイタッチや合掌で感謝を示しました。普段は観光客でごった返す嵐山地区を駆け抜け、少し起伏ある中盤を乗り切ると、もう仁和寺へ。第1区はここまでで10.85km、約60分で第2区の日蓮宗の方にタスキをつなぎました(浄土宗→日蓮宗)。


第2区は仁和寺 〜 北山ふれあいセンター、第3区は北山ふれあいセンター 〜 聖ドミニコ女子修道院、最終の第4区は平安神宮がゴール。全10チームが見事に制限時間内にタスキをつないで完走できました。


夕方からホテルを会場に立派な表彰式がありました。既にほろ酔いの京都市長ご臨席のもと、集合写真やチーム写真などの記念撮影、成績発表と完走メダル授与(一般ランナーと同じ完走メダルに恐縮)などが行われました。


京都市長のスピーチは前日に続いて「宗教都市かつ平和都市である京都でInterFaith駅伝を開催する意義」を強調されていて、京都マラソンだけでなくInterFaith駅伝も更に注目度を上げていきたいとお話されました。ですから京都マラソンが続く限り、きっとInterFaith駅伝も開催されることと思います。


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■ InterFaith駅伝で得た学び・気づき


今回、私は全日本仏教青年会の知人からの依頼で出場することになり、素晴らしいご縁に恵まれました。宗教や宗派を超えての交流、また外国の宗教者との触れ合い、さらには京都市長はじめ諸団体の役職者との対面やマスコミからの取材など、普段なかなか経験できないことの連続でした。宗教者が果たすべき役割として社会的に大きな意味があり、個人的な経験としても非常に有意義なものでした。


そのような有り難いご縁と経験を思えば、ぜひ一人でも多くの宗教者に体験してほしいです。有意義かつ楽しい大会なので2回3回と出場したくもなりますが、決して多くない出場枠を「少し脚に覚えがあるから」という理由で安易に引き受けてしまうのは慎まなければいけません。今回も前回経験者が数名いましたが、それは2,3人で充分でしょう。多くの方がInterFaith駅伝の意義・雰囲気を感じることで、日常に戻ってから世界平和へ向けた意識・行動に波及させることができます。運営側もランナーを確保するために、つい「前回も走った人なら無難」「ある程度走れる人は限られるから」というような発想に陥りがちではないでしょうか。大会趣旨からみても、宗教者に相互理解を促し、世界平和の実現に貢献するには、一人でも多くの宗教者が出場して、その経験を周りの人に伝えることが重要でしょう。


ですので応援や協力は惜しみませんが、私は来年は走らないつもりです。ご縁ある方はぜひInterFaith駅伝に出場してください。10kmなら普段運動をしない人でも充分に制限時間内にゴールできますよ。運動不足解消になりますし、それ以上に大きな経験を持ち帰ることができますからね。


またもう一点。初対面のメンバーが交流するのはわずか二日間なので無理もないのですが、望むらくはもう少し相互理解を深める仕組みがあっても良いかと感じました。お互いの宗教や教義を説明したり、違いを分かりやすく解説したり、もう一歩踏み込んだ対話になるキッカケがあれば、人間関係と共に宗教間の共通認識が進むのではないでしょうか。


ただ、この点に関しては現実的にはそれほど期待していません。仕組みは大切ですし、それによって共に過ごす時間以上の成果を得ることも可能でしょう。しかしどんなイベントでも結局は、仕組みよりも参加者の目的意識に依るところが大きいのが実際です。「何のためのInterFaith駅伝か」「自分は何を目的にInterFaith駅伝に出場するのか」「自分ができる宗教間交流とは?」という事前の目的意識なくして、実のある交流も対話も生まれないでしょう。


私にとってInterFaith駅伝での交流とは、異なる宗教者と宗教を超えた人格的関係を築くことはもちろん、私自身の信仰をもとにした「彼岸寺での活動」「お寺おやつクラブなどの社会貢献活動」について対話することでした。自分のことばかり話すのは憚られますが、具体的な自身の活動をベースに話をすればまさに宗教を超えたところで課題を共有できるはず、という狙いがありました。ですので、私はさながら異業種交流会のように名刺交換をし、ほとんどの出場者と短い会話の中で共通項探しをしました。


そういう意味でも、多くの方との出会いを大切にするならば、やはり出場者に対して門戸を広げ、多種多様な方の参加を望まずにはいられません。InterFaith駅伝そのものが多様性を包み込む大会になることを願っています。


以上、今回私が強く感じたことをまとめました。何かの参考になれば幸いですし、何より「来年走ってみようかな」と思っていただけたら、もう既に世界平和への第一歩になっています。どうぞ今から来年に向けてトレーニングしてくださいね。 合掌


── 関連記事まとめ ──


■ 2013年03月26日
【6/8】世界を変える!? 世界の宗教者がたすきリレー!InterFaith マラソン開催
http://www.higan.net/news/2013/03/68-interfaith.html


■ 2013年07月01日
【寄稿レポート】Inter Faith(諸宗教合間交流)駅伝ツアーに参加して
http://www.higan.net/news/2013/07/inter-faith.html


■ 2015年02月06日
【2/15】今こそ宗教を超えて手を結ぶとき。平和のタスキをつなぐInterFaith駅伝に出場
http://www.higan.net/news/2015/02/interfaith2015.html


桂 浄薫 (かつら じょうくん)
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