【お寺おやつクラブ】「シングルマザーたち100人がしんどい状況について話しました」報告会レポート

【お寺おやつクラブ】「シングルマザーたち100人がしんどい状況について話しました」報告会レポート


2015年2月21日、お寺おやつクラブの協力パートナー「大阪子どもの貧困アクショングループ」(以下、CPAO/シーパオ)のシングルマザー調査報告会が開催されました。お寺おやつクラブから代表・松島靖朗と事務局長・桂浄薫が参加しました。


2013年には「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立、2014年には「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されるなど政策の動きもあり、その動きとともに「子どもの貧困」がテレビや新聞で取り上げられ、少しずつ貧困問題が認知されつつあります。


しかしまだまだ母子家庭や子どもの貧困の実態は見えにくく、多くの人々にとっては他人事に感じられることも否めません。そのような中でいまだ貧困が原因の一つと考えられる事件や事故が相次ぎ、それらが報道される度に、安直な「自己責任論」で片付けられてしまう危険性が高まっています。


貧困問題を自己責任論や家庭内の問題に押し込めてしまう風潮を打破し、行政の取り組みや民間の活動がピント外れにならないようにするためには、シングルマザーや子どもの本当の姿を調査する必要があります。これまでは現場のいくつかのケース紹介が散見されるだけで、まとまった数を体系的に調査したものがありませんでした。それは調査にともなうさまざまな困難な状況のせいでもあったのですが、CPAOは果敢にもその課題に正面から取り組みました。それが今回の報告書「シングルマザーたち100人がしんどい状況について話しました(2013年7月〜2014年12月)」です。


IMG_9811.JPG

報告会冒頭、CPAO代表の徳丸ゆき子さんは、この報告書をまとめるのに最も苦労したのは「しんどい状況にあるシングルマザーに出会うこと」だったとお話されました。それだけで貧困問題が社会から見えにくくなっていることが分かります。役所や支援団体に問い合わせれば容易に出会えると私たちは考えてしまいますが、切羽詰まったシングルマザーは公的機関とも民間団体ともつながりがない場合が多く、また運良く知り合えてもシングルマザー特有の複雑な事情で面会が叶わなかったりなど、調査しようにも調査対象になかなか出会うことができないという困難に直面したとのこと。それでも粘り強く調査することによって、一年半をかけてようやく報告書が完成しました。(調査と同時にシングルマザーに次々と起こるトラブルに対応しながらの作業ですから、その労力に頭が下がります)


大阪・市民交流センター東淀川で開かれた報告会には会場を埋め尽くす100人以上が集まり、関心の高さが伺えます。シングルマザーの具体的なケースがいくつか発表され、今ここで貧困の連鎖を断ち切らなければならないと感じました。一つのケースを挙げてみます。



■ かほさんの成育歴・生活実態


・かほさん(仮名)
・25歳、無職、生活保護受給
・子どもは4才の娘(保育園)
・中学卒


父親はかほさんが生まれる前から心身ともに疾患を抱えていた。母親はかほさんが5歳の時に亡くなる。父親の育児放棄からおじに預けられるが暴力を受け、父親の元へ戻る。15歳の時、父親の問題で家がなくなり、再度おじの元へ戻る。
18歳で娘の父親と知り合う。20歳で妊娠、出産。出産後に妻帯者だったことが分かる。暴力や経済的な問題もあり、役所に相談に行くがサポートは受けられず。父親の元に戻るも暴力を受け警察沙汰に。家を出て行政の仕事に就くが、給料は安く性風俗の仕事と掛け持ち。中学からの不安障がいが悪化し、行政の仕事も雇い止めに。
CPAOに一時保護され、生活保護にもつながり、経済的には安定した現在も精神的なしんどさは消えない。



皆さんはこのケース、どのようにお感じになりますか? 断片的に要約された情報だけから判断しようとすると「勝手に結婚して子どもつくって勝手に離婚したんだから、自己責任と言われても仕方ない」という思いが頭によぎるかもしれません。しかしこのケースのように決定的な原因の一つにDV(ドメスティック・バイオレンス)があり、シングルマザーも被害者という場合が多いのです。


DVには、女性蔑視や女性を支配したい衝動からくるものや、精神的な問題から暴れるようになったり、ストレスのはけ口、夫婦間のトラブルによるストレスが子どもへの暴力に向いてしまうなど、つまりは暴力が弱者に向かうという構図が見えます。


私たちの想像以上、想像の及ばないエピソードの一つが紹介されていました。成育歴にトラブルがあった人は、社会的も人格的にも申し分のない男性と、ギャンブル依存など明らかに問題がある男性に同時に出会ったとしても、申し分のない男性を選べない。どんなに素敵な男性であっても自分には相応しくない、むしろ問題のある男性の方が落ち着く、というような思考に陥ってしまう。それでまた負の連鎖を繰り返してしまうのだそうです。


報告会の後半では、CPAO周辺の多くの取り組みの中から4名の活動家が登壇してパネルディスカッションが行わました。お寺おやつクラブからも代表の松島靖朗がお話させていただきました。


お寺おやつクラブの活動趣旨を数字を交えて紹介、活動を通しての気づきや変化、活動を持続する上でのモチベーション、支援する側としてのセルフケアなど、話題は尽きませんでした。会場の出席者にはお寺おやつクラブに限らず、お寺の可能性を感じていただけたのではないでしょうか。


IMG_9809.JPG

最後、CPAO代表・徳丸さんのまとめが印象的でした。


「シングルマザーのサポートが必要なのはもちろんだが、やはり子ども時代が大事。いい子ども時代を過ごした人は、大人になって落ち込むことがあってもなんとか立ち直れる。しかし、子ども時代にトラブル・トラウマを抱えてしまうと、それが引き金になって大人になってから大きな問題が生じ、貧困の連鎖を起こす。悪い子ども時代を過ごした人は、悪い状態からなかなか上がれず、ジリジリ下がってしまう。だから、子どもたちに楽しく過ごしてほしい、いい思い出を作ってほしいという思いが今の活動の原動力。それがすべてです」


お寺おやつクラブによって、子どもたちにおやつのある楽しい毎日が訪れ、生きる希望を持てるように、これからも活動を推進していきます。どうぞご賛同のほどよろしくお願いいたします。 合掌


▼ 貧困の連鎖 断ち切る対策を - NHK 関西 NEWS WEB
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20150222/5181201.html


-----


■ お寺おやつクラブへの参加方法


お寺おやつクラブの趣旨に賛同し、参加をご希望される方は下記の内容を記載の上、oyatsu@higan.net までご連絡ください。


================== ここから ==================
・寺院名:
・宗派:
・お名前:
・役職:
・住所:〒
・電話番号:
・PCメールアドレス:
・ご提供いただけるもの:
(お菓子や果物などご提供いただけるものの種類と量)
・ご協力いただけるペース:
(月に1回、2・3ヶ月に1回、半年に1回などお届け頻度)
================== ここまで ==================


▼ お寺おやつクラブ
http://oyatsu.higan.net


桂 浄薫 (かつら じょうくん)
>>プロフィールを読む