【共有レポート】実はお坊さん抜きのほうが仏教談義に花が咲く!? 対話の集い「ほんとうのこと。」インタビュー

【共有レポート】実はお坊さん抜きのほうが仏教談義に花が咲く!? 対話の集い「ほんとうのこと。」インタビュー

去る12月初旬の雨の降る夜、東京タワーのほど近く、神谷町光明寺本堂にて、あるイベントが開かれていました。

イベントタイトルは「ほんとうのこと。」

お寺とはもともとまったくご縁がない生まれながら、仏教の考え方に共鳴し、ハフィントンポスト等でも仏教について積極的に発言されている小出遥子さんの、「"ほんとうのこと"について自由に語ろう」という呼び掛けに応じ、20名ほどの方がお寺に集まりました。昨今、お寺のイベントはたくさんありますが、お坊さんではない一般の方の呼び掛けによって仏教について話をする場というのは、ありそうでなかったのではないでしょうか。

小出さんにお話を伺いました。


--------なぜ、このようなイベントを開催されたのでしょうか?

私自身はお坊さんではないし、親戚にお坊さんがいるわけでもないし、どこか特定のお寺の関係者というわけでもありません。ごくごくふつうの生活を営む、ひとりの仏教ファンです。つまり、お寺側から見て、完全に一般側の人間です。そんな私が、このたび、なんとも不思議でありがたいご縁をいただき、お寺という場所を舞台にした、あたらしいイベントを主催させていただくこととなりまして......。それで、「一般人」の私がつくるならば、いっそ、「仏教」や「お坊さん」ではなく、「一般の方々」こそを主役にしたイベントにしてしまおう、と考えたんですね。


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--------タイトルにもなっている「ほんとうのこと」というのは、実際どんなことですか?

今回のイベントは、無常の世にあって、決して流されない部分、消費されない部分、すべての軸となる部分、つまりは唯一の「ほんとう」の部分――それは個人個人の内側に必ずあるはずのものだと私は考えているのですが――その部分を、「仏教」というものにヒントをいただきつつ、みんなで語り合いましょう、という趣旨で開催しました。その部分にこそ、私たち、人間ひとりひとりが、ちゃんと自分たちの足で立って、自分たちの足でしっかりと歩んでいくための大きな力がひそんでいるような気がしていて。


--------仏教にも「自灯明」という言葉がありますね。

そうです、私も「自灯明」という言葉にはすごく共感していて。外側になにかを求めるのではなく、自分自身の内側にこそ生きる軸となるものを見出していこうよ、そのための一歩として、まずは、ざっくばらんに、自分たちの思う「ほんとうのこと」を語り合ってみようよ、そういった考えから、今回の企画が始まっていきました。


--------主催者ではなく「ゲスト」として光明寺の松本紹圭さんが登壇されたとか?

そうなんです。今回は、イベントの前半に、お坊さんである、松本紹圭さんのお話をお聞きする時間を設けました。松本さんには、「お坊さん」の立場からのありがたいお説法ではなく、あくまでひとりの「人間」として仏教に触れていく上で掴まれた、松本さんご自身の内側にある「ほんとうのこと」をシェアしてください、とお願いさせていただいて。いきなり座談会を始めるよりも、日常的に仏教というものに触れていらっしゃる松本さんのような方の「ほんとうのこと」を、まずはじっくりお聞きすることで、参加者それぞれの心の中にある「ほんとうのこと」に、一筋の光を投げかけてもらう......そういったプロセスを踏んでからの方が入りやすいかな、と考えまして。


--------なるほど。お坊さんとしてではなく一人の人間として、というのがポイントですね。

はい。松本さんは、はじめに、「仏教を勉強して知ったことの中でいちばん大きかったことは、あ、自分、なにも知らないのだな、なにも分かっちゃいないんだな、ということでした」とお話しくださいました。「お坊さんだからといって、なにか特別なことを知っているかというと、そうではないのです」と、そのことをまずは率直に語ってくださって。

その後、「無宗教」ということが本当にありうるのかというお話、ご自身のお考えになる現在の日本のお寺の内部構造(1階が「先祖教」、2階が「仏教」)や、お寺という場所の意義(「生きる意味を問い、生きているという経験を取り戻す舞台環境」)についてのお話。続いて、「宗派」というものについてのご自身のお考え(宗派は「ふるさと」。自分にとってたしかに大切なものであり、価値観を形づくってきたものではあるけれど、でも、そこに必ずしもしばられる必要はなく、どのように受けいれるかが大事)をお話しくださいました。

その上で、「因」と「縁」についてのお話から(「はかることのできない」縁の網目の中で生きている私たちという存在)最後に、ご自身の念仏観(「南無阿弥陀仏」「ほんとうの自分」「呼びかけられている言葉」)を、とてもわかりやすく、丁寧に、私たちに語ってくださいました。まさに、松本さんご自身の「ほんとうのこと」のぎっしりつまったお話でした。


--------参加者の方々の反応はいかがでしたか?

「仏教には実はあまり興味がなくて......」「仏教のことはよく知らないのですが......」などとおっしゃっていた参加者の方々が、松本さんのお話のところどころで、何度も何度も力強くうなずいていらっしゃったのが印象的でした。いままで仏教にご縁がなかったような方でも、今回の松本さんのお話のように、「お坊さんの立場から」ではなく、「ひとりの人間として」の実感のこもったお話であれば、自分に引き寄せて、真剣に耳を傾けてくださるものなのだな、と、そんなことを思いました。


--------その後、いよいよ座談会の時間ですね。

はい。後半1時間は、参加者同士の座談会としました。参加者の方々には、4?5名ごとのグループにわかれていただき、前半の松本さんのお話を聞いて感じたことや、ひとりひとりの心の中にある「ほんとうのこと」を、ざっくばらんに語り合ってください、仏教と関係のある話でも、そうでなくてもOKです、とお願いしました。この座談会、あまりにもざっくりとしたテーマ設定であったにもかかわらず、かなりの盛り上がりを見せたんです!


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--------皆さん、積極的なんですね。どんな話をされていたのですか?

「そもそも仏教ってどういうもの?」「神さまって? 仏さまって?」「自身の精神的なルーツについて」「"大丈夫"ということについて」「瞑想中に見た"ほんとうのこと"」「死ぬということ」「悼むということ」などなど......。全員がほぼ初対面同士であったにもかかわらず、各グループ、びっくりするほどディープなお話を展開していらっしゃいました。

座談会終了を告げると、「あっという間だった!」「ぜんぜん時間足りない!」「もっと話していたい!」の声がそこここから聞かれて......。そして、座談会の間中、みなさんのお顔が、ものすごくいきいきと輝いていらっしゃったんですね。それがとても印象的で。

参加してくださった方の感想にもありましたが、たしかに、「ほんとうのこと」を話す機会って、日常の上で、あまりあるものではないですよね。でも、みんな、本当はこういったことをしゃべりたいのだなあ、もしかしたら、多くの方々が、潜在的に、こういった場を求めていらっしゃるのかもしれないなあ......と、参加者の方々の様子を眺めていて、しみじみと感じました。


--------確かに、一人ひとりが内面に抱える「ほんとうのこと」について、安心して話せるような場は案外少ないかもしれません。

よくわからないなりに声を出す、考えを言葉にする、意見を交換する......そうしていくうちに、自分の中に確かにあるものに気づき、そこからまた「ほんとうのこと」に対する理解が深まっていくのかもしれません。こういったところから、ひとりひとりが、自分自身を軸として、それぞれの人生を力強く歩んでいくきっかけが生まれていけば良いなあ、と強く思いました。「対話」というものの持つ力や、その大切さを、あらためて知る機会となりましたね。


--------これからどんな展開をされますか?

とにかく、参加者の方々のキラキラとした表情が忘れられなくて。あの夜、あの空間に漂っていた光は、そのまま未来を照らす光になるのではないかな、なんて、手前味噌ですが、そんなことを思っています。さまざまな可能性を、今回のイベントに見た気がしました。どんどん発展させていきたいです。

面白かったのが、イベントが終わってから、「あたらしいのに、なんだか懐かしいような、不思議な空間だった」「ものすごいデジャブに襲われた」「そんなはずないのに、このイベント、前に来たことがあるような気がした」といった感想を、複数の方からいただいたことで。「ほんとうのこと」っていうのは、ほんとうは誰もが知っていて、でもその「知っている」ということを「忘れてしまっている」だけという部分のお話なのではないかな、と、私自身は思っているので、既視感があったというのも、なるほど、不思議ながらも、どこか納得できるような話ではあって......。それがなんだかとてもうれしくて。これからも、参加された方にこういう風に言ってもらえるような、どこかほっとするような、思わず「ただいま」を言いたくなってしまうような、そんなあたたかなイベント空間を作っていきたいな、と考えています。

年があらたまってから、ふたたび、光明寺にて、イベントを開催させていただく予定でいます。フェイスブックページやツイッターなど(現在、急ピッチで開設&整備中です!)で告知させていただきますので、皆さま、ご縁がありましたら、ぜひぜひご気軽に遊びにいらしてください。どうぞよろしくお願いいたします!


--------小出さん、ありがとうございました!

虚空山彼岸寺 (こくうざん ひがんじ)
>>プロフィールを読む 超宗派仏教徒によるインターネット寺院虚空山彼岸寺です。