あなたの知らない「寺報」の世界 (前編)

あなたの知らない「寺報」の世界 (前編)

あなたの知らない寺報の世界へようこそ!
みなさんは「寺報」というメディアをご存知でしょうか?彼岸寺読者の中でも、お坊さんやご寺族の方であれば常識といえる言葉ですが、そうでない方にとっては耳慣れないかもしれません。
現在、彼岸寺のTOPページには「伝わる寺報教室」という通信講座のバナーがでていますが、「寺報」の世界はそれだけで通信講座ができる程に奥深いのです。

今回は「あなたの知らない寺報の世界」と題して、知られざる「寺報」の世界をご案内します。思わずハマって戻れなくなっても知りませんよ、、、。



寺報って何?


「お彼岸やお盆など、大きな法要・行事のあるときに発行し、檀信徒に周知するためのツール」であり、「仏教を説き広める布教メディア」というのが一般的な寺報の定義です。
 「伝わる寺報教室」テキストより 


わかりやすく言うと、お寺がお檀家さん向けに発行している会報誌のことです。今風に言い換えると、ZINE(ジン)、フリーペーパーのようなものでしょうか。 

以前、松島靖朗さんが「ITビジネスマンの寺業計画書」にて、寺報についての記事を書かれていましたが、そこに掲載されていた写真が非常にわかりやすいイメージです。 

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 このような形でお寺にラック設置されたり、お檀家さんの各ご家庭に郵送されたりします。皆さんのおうちにも届いているかもしれません。


<参考リンク>
・お坊さんHacks!〜寺報発行編〜

・お寺発の寺報というメディア


寺報にはどんなことが書いてあるの?


寺報はお寺が必ず出さなければいけないものではありません。発行していないお寺もたくさんありますし、発行頻度についても各お寺ごとに違います。
お寺の「メディア」としての寺報には下記のような特徴があります。

マスメディアが「不特定多数を対象」に発信するのに対して、寺報は檀信徒や地域の人々など「特定の対象」に発信されます。このように特定のコミュニティを対象とするメディアを「クローズドメディア」と呼びます。
 「伝わる寺報教室」テキストより

「クローズドメディア」というと、他には企業が社員に対して発行する「社内報」や「学級新聞」「ファンクラブ会報」なども挙げられます。つまり、特定の話題を共有するコミュニティでのみ流通するメディアならではの面白さが寺報にはあるのです。

今回は通信講座「伝わる寺報教室」の最終課題『寺報サンプル号』提出者のご協力を得て、選りすぐりの「イケてる寺報コンテンツ」を杉本恭子講師の解説付きでご紹介させていただきます。

これを見て、多くの方が「おらが寺の寺報」に興味をいだいてくださる事を願って。

それでは、あなたの知らない寺報の世界(前編)をたっぷりお楽しみください!!



寺報の世界その一:優しい尼僧さんが教えてくれる、お寺についてのプチQ&A


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<寺報ファイル No.1>
寺報名:真言院寺報
発行寺院:真言院(北海道・高野山真言宗)
執筆者:佐藤妙尚さん

<執筆者へのアンケート>
1.この記事をつくるにあたって考えたこと・制作意図などを教えてください。
→檀家さんとの日常会話の中で相談されたことなどの中から質問を決め、回答しています。
他にも気になっていても聞けずに悩んでいる方がいるかもしれないと思い、寺報で皆さんと情報を共有しようと考えました。

2.寺報をつくるにあたって、寺報教室での学びの中から役立ったことがあれば教えてください。
→自分ひとりでは考え付かなかったコンテンツがいくつも生まれました。また、丁寧な添削指導をして下さったことで、自信をもって寺報を発行することができました。

<杉本講師からのコメント>
妙尚さんは、まだ若い女性のご住職。寺報の文章からも、素直でやさしいお人柄、そしてお檀家さんの目線を理解して、ていねいに伝えようとする姿勢が感じられます。お檀家さんもまた妙尚さんのことを大事に思っておられるようで「寺報に『風邪を引いた』と書いたら、たくさんの方にお声がけいただいた」というお話も伺いました。寺報を通じて、よりいっそう妙尚さんとお檀家さんのコミュニケーションが増えていくはず!と思います。




寺報の世界その二:孫世代にも読んでほしい!!ももクロの曲にちなんだ仏教のお話し


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<寺報ファイル No.2>
寺報名:養法寺だより
発行寺院:養法寺(石川県・浄土真宗本願寺派)
執筆者:大熊 範隆さん

<執筆者へのアンケート>
1.この記事をつくるにあたって考えたこと・制作意図などを教えてください。
→「四苦八苦」は慣用句にも利用されますし、四苦である「生老病死」は仏教の原点、八苦の中で「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」は説明・実生活の例えも容易です。唯一「五蘊盛苦」は一般の方に一言で説明しづらい教えです。 

今回ももいろクローバーZ(ももクロ)の曲「GOUNN」という形で「五蘊」が広く世に紹介されたので、寺報の主たる読者である壮高年層から若年層ににも紹介伝道出来ると考え企画しました。仏教語が散りばめられていても、「GOUNN」の歌詞そのものは全体として意味の通る内容が乏しいため歌詞の説明はせず、その代りカラー紙面にした利を生かしタイトルやCDジャケット写真を大きく掲載。若年層に見た目の興味を引く形にしました。 

読者の反応は期待した程ではありませんでしたが、平易な言葉で伝道のキッカケとしたり、お寺・住職を身近な存在と思って頂くために、様々な方法を寺報上で試そうと思います。 

2.寺報をつくるにあたって、寺報教室での学びの中から役立ったことがあれば教えてください。
→住職となってから約10年、寺報を年2-4回のペースで発行してきました。 
従来はB4一面モノクロコピーで、法話と行事予定案内という形で日常お付き合いのある門信徒向けに作成。法話部分はそれなりの評価を得てきたものの、マンネリ化や門信徒へのアピールの低さを課題としていました。またご門徒に小さな印刷会社があり、この印刷会社を利用して紙面の充実した小冊子が出来ないものかと考えていました。 

そんな時に、『未来の住職塾』で通信講座『伝わる寺報教室』が開講。 受講する中で、門信徒を中心に読者の意見・要望を調査することの重要性を説かれ、住職の独りよがりになりがちな紙面構成を再考するきっかけとなりました。 

紙面作成に当たってはA4四面と決めていましたが、紙面全体をアピールするために、どんな記事を何面にするか? 写真の配置など構成に対して的確なアドバイスをご講師から学ばせて頂きました。自分で考慮したポイントは、老眼進行中(笑)のこともあり、老眼鏡無しでも読める文字サイズくらいです。 

完成した新寺報は、本堂修理完了報告やお寺コンサート予告を一面に掲げる事で十分読者アピールする事が出来ました。 また配布に当っても今回から遠方門徒やお寺と親しい方にも郵送配布。思わぬ反応もありました。 現在はリニューアル第2号、生みの苦しみを締切を焦りながら味わっております。ただ製作のワクワク感は従来の比ではありません。

<杉本講師からのコメント>
仏教が教えてくれることは、よくよく聞けば難しいことではありません。第一関門は「きっかけ」づくり、特に若年層への語りかけのタイミングを見つけることを課題としているお寺が多いようです。そんななか、若年層から子どもまで興味を持つ「アイドル」をキーにすることで突破口を見つけようとしたのが大熊さんのこの記事だと思いました。ちなみにこの記事は、最初は中面に配置されていましたが「テーブルにポンと置かれたときに、読んでもらえる可能性があるから」と裏表紙(表4)への配置を提案しました。一度、二度ではなかなか声が返ってこなくても、続けるうちに「ご住職と話してみたいな」と思う若い方がきっと増える、そんな期待を感じる寺報です。




寺報の世界その三:キレイなイラストで仏壇を徹底図解!!


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<寺報ファイル No.3>
寺報名:ちかい
発行寺院:櫻誓願寺 さくらせいがんじ(愛知県・浄土宗西山禅林寺派)
執筆者:近藤玄隆さん

<執筆者へのアンケート>
1.この記事をつくるにあたって考えたこと・制作意図などを教えてください。
→日常の法務の中で自分が疑問に思ったことや檀家さんのご自宅に伺った際に気付いたこと、会話の中で心に響いたことなどを、仏教の視点から日常生活に活かせる形でお伝えしたいとの思いから始めました。月参りをする中でお仏壇がきちんと整えられているお宅は、家族の表情や家の中の雰囲気がとても穏やかであることに気付いたことが、この記事を書くきっかけとなりました。現実の生活を成り立たせていくことも重要なことですが、この記事から一時でも目に見えない世界、亡き人に心を配れる時間を持つことも大切なことだと感じていただければ幸いです。 

2.寺報をつくるにあたって、寺報教室での学びの中から役立ったことがあれば教えてください。
→寺報教室を受講して得た最大の学びは、"読み手の視点"でした。これまで発行してきた寺報は、こちらが何かを伝えなければならないという義務感から記事を書いていたため、読み手がどのような記事を期待しているのかなど微塵も考えていませんでした。寺檀相互の情報のやりとりや交流があってこそ始めて寺報の良さが最大限に発揮されるとわかりました。まだ、リニューアル版を発行できずにおりますが、従来版に少しずつ"読み手の視点"を加えながら、今後も発行を継続していきます。

<杉本講師からのコメント>
近藤さんは絵が上手なお坊さん。その特技を最大限に生かして、お寺の門前に設置した黒板にも仏さまの絵を描いて解説もしていらっしゃいます。今回のリニューアル号ではなんと仏壇を図解。きれいな絵でていねいに説明されると、永久保存版としてとっておきたくなりますね。しかも「うちの和尚さん」がこんなことをしてくれるんですよ? ありがたいのひとことです。近藤さんの寺報は、そこらへんのカフェに置いても他のZINEに負けないくらいにきれいなデザイン。個人的には、ぜひ町なかでの配布進出を狙ってほしいと思ったりしています。




前編でご紹介する記事は以上となります。
いかがでしたでしょうか?「あなたの知らない寺報の世界」、お坊さんのお人柄や真摯さが伝わってくるような、一般雑誌には無い魅力を実感されたのではないでしょうか? 
次回はまたちがった趣きの寺報の世界へ皆さんをお連れします。それではごきげんよう!!(後編へつづく


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彼岸寺編集部 (ひがんじへんしゅうぶ)
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