【まとめ】日本仏教各宗派は原発についてどう考えている?

【まとめ】日本仏教各宗派は原発についてどう考えている?


毎週金曜日夜、首相官邸前や大阪の関西電力本店前などで行われている、大飯原発再稼動決定に対する抗議デモはどんどん規模が大きくなっていますね。6月22日には、官邸前に4万5000人、大阪の関電本店前には1500人が集まったと言われています。

日本の仏教界では、6月12日に東本願寺(真宗大谷派)が「大飯原子力発電所再稼動に関する声明」を発表。こちらもTwitterやFacebook上で話題になりました。

ところで、日本仏教界の各宗派は、原発についてどんな意見を持っておられるのでしょうか。各宗派のウェブサイトに記載されている声明や談話を、震災後から時系列に沿ってまとめてみました。


●東本願寺「原子力に依存する現代生活」を問い直す姿勢を表明(2011年7月7日、安原晃宗務総長)
http://higashihonganji.or.jp/info/news/detail.php?id=337
宗会(最高議決機関)において、安原晃宗務総長が「原子力に依存する現代生活」の問題は「人間の方向」の問題であると述べ、「放射能飛散と被ばくのいたましい現実から『原発』の誤謬性を思い知らされることであり、したがって極力、ていねいな議論が必要な最重要課題であります」。

●全日本仏教会 会長談話「原子力発電所事故から思うこと」
(2011年8月25日、河野太通会長)
http://www.jbf.ne.jp/2011/08/post_206.html
原発の利便性ゆえに便利な生活を享受してきた反面、事故による放射能汚染、廃棄物の処理について見通しがつかないという現状があることに言及したうえで、「私ども仏教徒は、仏陀の教えに連なるひとりとして、今を生きるひとりの人間として、また大切な地球の中に生きる者として利便性と経済的効果のみを追求せず、自らの足、実地を踏む良き道を選び、歩んでまいりたいと思います」。

●臨済宗妙心寺派「宣言(原子力発電に依存しない社会の実現)」(2011年9月29日、臨済宗妙心寺派宗議会)
http://www.myoshinji.or.jp/about/post_9.html
平和利用とは言え、原子力発電が人類に制御できない危険なものであることが明らかになった今は「一刻も早く原発依存から脱却し、これに代わる安全なエネルギーへの転換に向け社会に働きかけなければいけない」としたうえで、「私たち仏教徒は、利便性や経済性のみを追求せず、仏教で説く「知足(足るを知る)」を実践し、持続可能な共生社会を作るために努力することをここに決意し、宣言します」。

●曹洞宗「原子力発電に対する曹洞宗の見解について」(2011年11月11日)
http://jiin.sotozen-net.or.jp/wp-content/uploads/2011/11/20111101aboutapg.pdf
「現状において即時に全ての原子力発電を停止し、再生可能エネルギーに転換することは不可能」であり、火力や水力もCO2増加や環境への負荷がかかること、電力不足で経済が混乱するなどの問題があると指摘。原発を速やかに停止して再生可能エネルギーへと移行することが望ましいとしながらも「現時点で原子力発電の是非について述べることは非常に難しいのではないでしょうか」。

●全日本仏教会「原子力発電によらない生き方を求めて」(2011年12月1日、河野太通会長)
http://www.jbf.ne.jp/2011/12/post_214.html
快適さや便利さを追い求める影で、原子力発電所立地の人々が事故による「いのち」の不安に脅かされ、処理不可能な放射性廃棄物を生みだして未来に問題を残しているという現実があることに言及。「「いのち」を脅かす原子力発電への依存を減らし、原子力発電に依らない持続可能なエネルギーによる社会の実現を目指します。誰かの犠牲の上に成り立つ豊かさを願うのではなく、個人の幸福が人類の福祉と調和する道を選ばなければなりません」。

●西本願寺 本願寺新報「まことの安穏を目指して」(2012年1月1日号、梯實圓先生)※6/26追記
本願寺出版社が発行する『本願寺新報』2012年1月1日号表紙に、梯實圓先生の文章を掲載。震災以降、本願寺派の公式発行物で原発に触れた最初の記事だとされています。仏教の説く「三毒の煩悩」になぞらえて、自分と自分の属する集団の利潤を最優先することを戒められています。以下、一部を引用。

「単純な自然災害でも、天災と人災が複雑に組み合っていますが、とりわけ今度のような原子力発電所の事故は、想定を超えた天災のせいだけではなく、経済的効果に惑わされて、想定を甘く設定した人災であったといわねばなりますまい。さらにいえば原子力発電そのものが、経済発展を最高の価値と見なす思想が生み出した危険な産物です。その意味でこの事故は経済的利潤の追求を、すべてに優先させている思潮への激しい警鐘と受け取るべきでしょう」


●東本願寺「原子力発電所の再稼働に対する真宗大谷派の見解」(2012年4月24日、真宗大谷派解放運動推進本部長 林治)
http://higashihonganji.or.jp/info/news/detail.php?id=391
2011年末に、政府に対して「原子力発電に依存しない社会の実現を目指す」要望書を提出。「生きとし生けるもののいのちを脅かすことなく、さらに未来を生きる子どもたちのためにも、一刻も早く原子力発電に依存しない社会の実現」を求め、「すべての原発の運転停止と廃炉を通して、原子力に依存しない、共に生きあえる社会」へと歩みたいと表明。「私たちは、すべてのいのちを摂めとって捨てない仏の本願を仰いで生きんとする念仏者として、仏智によって照らし出される無明の闇と、事故の厳しい現実から目をそらしてはならないと思っています」。

●法華宗(本門流)「第66次定期宗会において声明文を発表」(2012年6月11日)※6/27追記
http://www.hokkeshu.or.jp/
「一、東京電力福島第一原発事故の一日も早い収束を祈り、原子力発電にたよらない、持続可能な自然エネルギーによる社会の実現に向け、努力してまいります」。

●東本願寺宗派声明「大飯原子力発電所再稼動に関する声明」を発表(2012年6月12日、宗務総長 安原晃)
http://higashihonganji.or.jp/info/news/detail.php?id=402
「福島第一原子力発電所の事故で多数の苦しんでおられる方がある中で、一旦停止した原子力発電所を再稼動する理由に、人のいのちよりも優先すべきことがあったのでしょうか」と問いかけ、野田内閣総理大臣による大飯原子力発電所再稼動表明に強い遺憾の意を表明。すべての原発が「決して再稼働することないよう念願するものであります」。


ダライ・ラマ法王は、昨年11月の来日時の記者会見で下記のように述べられていました。

●ダライ・ラマ法王による原子力エネルギーに関するご発言について(2011年11月15日)
http://www.tibethouse.jp/news_release/2011/111115_nuclear.html
「原子力エネルギーの平和利用についてですが、もし原子力エネルギーの十分な代替があるのであれば、完全に原子力を撤廃できれば素晴らしいと思います。しかし、それにはまだ議論の余地があります。代替として考えられる水力発電に必要なダムも、チベット本土においてもそうですが、ダムの建設は大きな環境破壊につながるためあまり推進することはできませんし、風力発電や太陽エネルギーもまだ十分ではありません。日本や先進国だけのことではなく、世界には発展途上国も沢山存在し、貧富の差が激しいため、貧困に苦しんでいる何百万人もの人たちのことを考えるべきだからです。」


※お願い※
発表しておられてもウェブに掲載されていない、あるいは掲載されているのに見つけることができなかった情報もあるかもしれません。「こんな発表もあったよ」というご指摘は、ページ下部のFacebookコメントでお知らせいただくか info@higan.net あてにご連絡いただければ幸いです。随時追加してまいります。よろしくお願いします。

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杉本恭子 (すぎもと きょうこ)
>>プロフィールを読む 大阪生まれ東京経由京都在住のライター。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒業。お寺取材を経験するうちに「お坊さん」に興味を持ちインタビューを始める。