津波被害の位牌修復ボランティア SAVE Pray JAPAN

津波被害の位牌修復ボランティア SAVE Pray JAPAN
彼岸寺の仏教人にも登録されている仏壇職人・都築数明氏(アートマン・ジャパン代表)らが、東日本大震災で傷ついた位牌の修復活動を始めた。被災地で支援活動をしている知人から、瓦礫の中からたくさんの位牌や仏壇が見つかっているという話を聞き、「これはなんとかしなければ」と感じたことがきっかけだ。


とは言え、瓦礫から仏壇や位牌が次々と出てくることはわかったが、「実際にお位牌を直したいという被災者の声があるかどうかがわからないもんで、まずは行って直接声を聞かないけないと思った」と都築さんは言う。また、要望があったとしても、どんなルートで注文を受けるのがいいのかも見当がつかない。しかし、震災後間もない被災地に飛んでいっても、仏壇職人としてできることは多くない。「食べ物など、先に何とかするべき課題が落ち着いてからにしよう」と、震災後100か日までは現地入りを控えることにした。

被災地を訪れて考えたことは、持ち主が分かった位牌をどんなルートで修復するかということだった。傷ついた位牌があっても、依頼がなければもちろん勝手に直すわけにはいかない。大々的に広告をうって売名行為のようになるのは本意ではないし、ではどのように依頼を募るかが懸念の種だった。そこで、気仙沼にあるボランティアセンターで位牌の修復作業を無料で請け負いたいと相談をしたところ、拾得物売り場を紹介され、そこで役場の担当者から話を聞くことができた。担当者の言葉では、このままではいけない、誰も現状に満足していないから、是非やってほしいとのことだった。

視察に行って2週間後、最初の依頼がきた。さっそく作業にとりかかり、次の訪問時に直接依頼者に手渡した。そのときの様子が新聞に取り上げられたことで、気仙沼以外の地域からの依頼もくるようになり、お盆前を目安にこれまで15柱の修復を終え、手元にも11柱が残っており、次に現地を訪れるときに持っていかれるように作業を進めている。

位牌は、それを直す技術が簡単に手に入るものではないし、まして買いなおすようなものでもない。「僕も若い世代だから、今までなんとなく先祖、ご先祖様という感覚しかなかった。でも、今回被災地に行ったときに家も思い出も全て流されながらも位牌だけが手元にある方と出会い、『是非綺麗にしてほしい』と言われたときに、あぁ、位牌は本当に魂が宿っているんだと思いました。親や先祖の思い出を残したものなんだって」。傷ついた位牌を修復しきれいにして返すことで、被災した人たちの心を仏壇職人として支えていけたらと都築さんは考えている。

今後の課題としては、今は完全に手弁当でやっているこの活動をどのようにしていくのかという問題がある。位牌の修理には、本来本来5000円+送料2000円合わせて7000円位かかるのだ。その点をクリアし、「できる範囲でできるだけ長く続けていきたい」と語った。


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日下賢裕 (くさか けんゆう)
>>プロフィールを読む 1979年、石川県生まれ。浄土真宗本願寺派の僧侶、布教使。 広島大学人文学部東洋史学科卒業後、本願寺派の教育機関である中央仏教学院、伝道院にて仏教を学ぶ。 現在は故郷の山中温泉にて、本願寺派の若手僧侶が作るサイト「メリシャカ」や「彼岸寺」との関わりを通して、仏教を外に発信するとともに、地元の人たちに愛されるお寺作りに挑戦中。