国宝重文が9割以上! 空海と密教美術展がいよいよスタート

国宝重文が9割以上! 空海と密教美術展がいよいよスタート
いよいよ本日から東京国立博物館で「空海と密教美術展」が始まりました。ここ数年仏像系の展覧会が大変人気を呼んでいる東京国立博物館が、今年の目玉と位置づける本展覧会。真言宗各本山の協力のもと真言密教1200年の歴史を伝える貴重な宝物が集められており、なんと展示される作品約100点のうち98.9%が国宝・重要文化財が指定されているんだとか。

空海は真言宗の開祖で、平安時代に日本にはじめて体系的な密教を伝えた僧侶。弘法大師という諡号から、お大師さんと呼ばれ親しまれて。密教を求めて遣唐使船で渡った中国から膨大な量の経典や密教法具を持ち帰っており、今回の展示物にも実際に唐から持ち帰られた品々がいくつも展示されています。

今回の展示物から代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

なんといっても今回最大の目玉となっているのが、チラシにも登場する8体の仏像によって構成される「仏像曼荼羅」です。この仏像曼荼羅は空海によって東寺の講堂の立体曼荼羅を模したもの。立体曼荼羅は言葉で表現することが難しい密教の世界観を直接体験できるようにするために、大日如来や不動明王など21体もの仏像を曼荼羅に基づいて実際にお堂並べて立体的に創り上げられたもの。わたしは東寺で修行したのでこの講堂にもよくお参りに行きましたが、実際にこれだけの仏像を目の前にすると大変な迫力がありました。

今回はこの21体の仏像のうち、お顔の美しさから特に人気の高い帝釈天像や恐ろしい怒りの表情をした降三世明王などの8体が出展されています。数はそれほど多くはありませんが、須弥壇上に並べられている東寺と違い、本展覧会ではごく間近からぐるっと一周どこからでも見られるようになっています。手を伸ばせば触れられるほどの距離から、普段は見れない真横や後ろまでじっくり眺められるので、細かいディテールもよく見えるのではないでしょうか。

また、空海は詩人や書家としても優れた才能があり、「弘法も筆の誤り」などということわざもあるほど。今回は実際に空海の筆による「聾瞽指帰」や「風信帖」など国宝の書5点が、巻頭から巻末まですべて開いた状態で展示されています。特に空海によって密教を伝えられた僧侶たちの名前が記された「灌頂暦名」には、有名な僧侶の名前が並んでおり当時の息遣いまで感じるようです。

その他にも密教法具も良い品が展示されています。唐の順宗皇帝から贈られたとされる非常に細かい意匠が施された純金製の念珠「金念珠」(展示期間:7月20〜30日)や、唐から帰国する際に日本で密教を広めるのにふさわしい地を探すため港から投じたところ、高野山の松の枝にかかっていたという「飛行三鈷杵」(展示期間:7月31日〜8月11日)。他にも非常に珍しい独鈷金剛鈴など、この機会にご覧頂きたいものばかり。

週末や会期の後半には混雑が予想されますので、興味のある方はぜひお早めにどうぞ。期間中に展示品の入れ替えもありますので、何度か足を運んでみるのも良いかもしれません。公式サイトではなんと仏像曼荼羅の仏像人気投票も行われているので、気に入った仏像があったら投票してみてはいかがでしょうか(わたしは力強い降三世明王が好きです!)。

会場:東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園13?9)
会期:2011年7月20日(水)?9月25日(日)
開館時間:09:30?17:00(入館は閉館の30分前まで)
※金曜日は20:00、土・日・祝日は18:00まで開館
休館日:月曜日
※ただし8月15日、9月19日は開館。
料金:
・当日:一般1500円、大学生1200円、高校生900円
・前売:一般1300円、大学生1000円、高校生700円
・団体(20名以上):一般1200円、大学生900円、高校生600円
※障がい者と介護者1名は無料(障害者手帳などの提示が必要)
チケット:
・チケットぴあ:Pコード=764?577
・ローソンチケット:Lコード=33555
・その他イープラス、ファミリーマートなどで販売中。
主催:東京国立博物館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
特別協力:総本山仁和寺、総本山醍醐寺、総本山金剛峯寺、総本山教王護国寺(東寺)、総本山善通寺、遺跡本山神護寺
協力:真言宗各派総大本山会、南海電気鉄道
協賛:あいおいニッセイ同和損保、きんでん、大日本印刷、トヨタ自動車、非破壊検査

松下弓月 (まつした ゆづき)
>>プロフィールを読む 1980年神奈川県生まれ。真言宗僧侶。福生山宝善院で副住職をしながら虚空山彼岸寺では編集長を務める。国際基督教大学卒、青山学院大学大学院文学研究科英米文学専攻博士前期課程修了(文学修士)。好きなものは、映画、温泉、怪談、自転車。