三寒四温

三寒四温

ここ数日、北陸も青空の見えるお天気が続き、いよいよ春の訪れが感じられるようになりました。ところが、これを書いている今日は、白い雪が舞っています。三寒四温とはよく言ったもので、こうして季節は行きつ戻りつしながら、春へと移り変わっていくのでしょう。

もうすぐ3月11日。今年で東日本大震災から、丸6年が経とうとしています。先日「仏教なう」で「命灯会」についてお知らせしたように、震災で亡くなられた方々の七回忌に当たる年でもあります。

あれから6年。「もう6年」と感じる方もおられるでしょうし、「まだ6年」と感じる方もおられるでしょう。この時期が来る度にいろんなことを思い出して、「また...」と心が辛くなる方もおられるかもしれません。6年という歳月が経っても、被害に遭われた方、大切なご家族を亡くされた方の心の傷が癒されたということはないでしょうし、日本に住む誰の心も、あの災害や原発事故によって傷をおっている状態が続いているのだと思います。

それでも、多くの人がこの6年で歩みを前に前に進めてきました。けれど、やはりこうして3月11日が近づくと、心が6年前に揺り戻されていきます。大震災で多くの方が傷ついたことは、忘れてはならないこと。だけど中には、辛い現実を思い出したくないと感じる方もおられるかもしれません。それでも、心は揺り戻されていく。前を向いていても、今を生きていても、過去に起こったことから離れることはできません。全ての問題を一足飛びに解決する術がないように、そして春が一度に訪れないように、私たちもまた、今と過去とを行きつ戻りつしながら、少しずつ少しずつ、歩んでいくものなのでしょう。

七回忌を迎える今年の3月11日。震災で亡くなられた方をはじめ、大きな悲しみを抱えながらもまた前を向いて歩んでいく人、そして自分の心の傷に向き合うためにも、6年前に起こったことに思いを馳せながら、手を合わせる時間が少しでも持てたらと思います。


合掌

南無阿弥陀仏


日下賢裕 (くさか けんゆう)
>>プロフィールを読む 1979年、石川県生まれ。浄土真宗本願寺派の僧侶、布教使。 広島大学人文学部東洋史学科卒業後、本願寺派の教育機関である中央仏教学院、伝道院にて仏教を学ぶ。 現在は故郷の山中温泉にて、本願寺派の若手僧侶が作るサイト「メリシャカ」や「彼岸寺」との関わりを通して、仏教を外に発信するとともに、地元の人たちに愛されるお寺作りに挑戦中。