飛ばない飛行機はただの飛行機?

最近、小学校2年生の長女の工作が大作になってきました。今までは折り紙やビーズなど、手元で細かな作業をするものが多かったのですが、ここしばらく、船や飛行機、滑車をつかったものやゴムで揚力を用いたものなど、比較的大きくて可動性のものを好んでつくるようになりました。
自分であれこれ工夫しながら、思うように動かないと原因を考え改良を重ねて最後までつくりあげる様子は、我が子ながら頼もしく思われます。

ただ、長女は機能にはこだわるものの、デザインの部分にはさほど思い入れがないようです。先日はしまうま型のおもちゃをつくったのですが、本来は縦方向のストライプ模様であるはずの白黒模様が、横方向のボーダー柄に仕上がっても全くに気にしていませんでした。
そこへ行くと、次女は色や柄などのデザインに凝ります。そこで、「さっちゃんは機能担当、はーちゃんはデザイン担当だね」と言うわたしの言葉をきっかけに、長女がつくった工作に次女が色を塗るといった共作も生まれるようになりました。

そんなある日。できあがった作品に納得がいかず、でも捨てるのはちょっともったいないと思ったのか、長女が言いました。
「誰かこの飛行機ほしい人いるー?」
そして続けて言いました。
「全然飛ばないけど」

飛ばない飛行機なんて誰もほしくないよ! と思わず心の中でツッコミを入れたわたし。ところが、そこに勢いよく手を挙げる人が現れたのです。

「ほしいほしーいっ!
 だって飛行機なのに飛ばないなんて、そんなのすごく珍しい!
 はーちゃんそれほしいよ!」

えっ、本当にそう思ってるの? とびっくりしました。長女さえも、まさかと驚いた様子で不思議そうな顔。けれど次女は両手で飛行機を持ち上げ、ぐるりと回してとても嬉しそうに眺めました。

本当の飛行機なら、飛ばなかったら飛行機とは呼べません。飛ばすつもりでつくった工作だって、飛ばなければやっぱり失敗作です。
でも、次女にとっては飛ばないからこそ価値のある飛行機だったのですね。

大人とは全く違う感性で暮らしを楽しんでいる次女が、なんだか眩しく思われました。
長女にしても、捨てるつもりだった作品を喜んでもらってくれる人がいたことに、まんざらでもないようです。

青江美智子 (あおえ みちこ)
>>プロフィールを読む 1976年生まれ。大学を卒業後、7年間のOL生活を経て青江覚峰と結婚、三姉妹の母となる。著書に「お寺に嫁いでしまった。」(扶桑社)。