Fixed mind からGrowth mindへ

6学期が始まる前のホリデーに、ムンバイ(ボンベイ)に行ってきた。泥棒市場(という名前のアンティーク市場)で仏像(頭部のみ)を購入。500年前くらいのビハール州のものというが、本当かどうかよく分からない。でもブラックストーンのいいお顔をしてらっしゃる。ガンガー(2歳の息子)の頭と同じくらいの大きさなので結構重いのだが、骨董屋さんにパッキングして袋に詰めてもらって、手持ちの荷物にして飛行機に載せた。大きな石の塊も手荷物検査を問題なく通過。

ところでムンバイは今回が初めてだったが、海と歴史ある建物の組み合わせが自分の生まれ育った小樽に似ていることもあってか、とても親しみやすくて好きになった。とはいえインドはインドなので味方によっては「汚いヨーロッパ」と言えなくもないが、とにかく奥深くて見応えのある街だ。船で行くエレファンタ島の遺跡もよかった。

さて6学期の選択科目は、Brand Management, Managing Teams, Marketing Services, Power and Politics。自分の好みで選んでいることもあるが、どれも相当に面白そうだ。そしてもうひとつ、Transformational Leadership: Igniting the Genius Within Self and Others。やたらと長いタイトルの科目だが、これまた興味のある分野。

MBAといっても所詮は学校の講義だから、理論や分析が中心で実際の現場では通用しないと思われる人もいるかもしれない。もちろん最終的には企業であれお寺であれそれぞれの現場で置かれた状況や与えられたリソースは異なるわけだから、パターン化した理論を当てはめればなんでもかんでもうまくいくということはあり得ない。特に現場では人それぞれに個性があり、感情を持った人間が仕事をしているわけなので、事はそう簡単ではない。

しかしビジネスの現場で役に立たなければまったく意味のない種類の学習経験であるということはMBA教育サイドも十分に承知している。当然、モノやお金をあちらからこちらへ動かすのと同じように、人を動かすことはできない。というわけで、組織における権力構造や政治関係、人間心理、リーダーシップなど、人に関する研究もかなり進められている。

中でもTransformational Leadershipの講義はお気に入りのひとつだ。Fixed mind からGrowth mindへ。人はいつでも変わることができる。どれだけ自分が成長できるか、そしてどれだけ人の成長に貢献できるか。このあたりの科目は仏教にもかなり通じるところがある。毎回の授業が楽しみだ。


松本紹圭 (まつもと しょうけい)
>>プロフィールを読む 1979年北海道生まれ。本名、圭介。浄土真宗本願寺派光明寺僧侶。一般社団法人お寺の未来理事。東京大学文学部哲学科卒業。超宗派仏教徒のウェブサイト『彼岸寺』(higan.net)を設立し、お寺カフェ『神谷町オープンテラス』を運営。Indian School of BusinessでMBA取得。2012年、若手住職向けにお寺の経営を指南する「未来の住職塾」を開講。2013年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leaderに選出される。著書多数。近著に『お寺の教科書-未来の住職塾が開く、これからのお寺の100年-』(徳間書店)。