第3回「極楽パンチというイベント(2)」

第3回「極楽パンチというイベント(2)」

こんにちは!

"消しゴムはんこのお坊さん"の麻田弘潤です。


6月9日(日)に新潟県小千谷市にある極楽寺で「極楽パンチ」が開催されました。

2006年から始まったこのイベントも8回目を迎え、29歳だった僕も36歳になりました。いつの間にか3人の男の子の親にもなりました。

ずいぶん長い間続けているなぁと自分でもびっくりしています。


「継続は力なり」といいますが、自分自身の力が増したというよりも、続けるごとに応援してくれる方が増えていってるからこそ続けられていると感じています。

今年も支えて下さった皆さん、本当にありがとうございました。


極楽パンチは2004年に発生した新潟県中越地震の復興イベントです。
復興イベントを開催するにあたり、私たち自身の被災体験を大切にしていこうということで、被災体験を通して見えた課題をもとに「エコ」をテーマにしていこうということになりました。


新潟県小千谷市は中越地震の際、震度6強の大きな揺れに見舞われました。

震度6強の揺れは生活に必要なあらゆるものに大きな影響を及ぼします。家も壊れライフラインも遮断されます。生活に必要な物資を外部から搬入しようとしても、道路が陥没したりマンホールが飛び出したりで、なかなかスムーズに運び込むことは出来ません。

昨年、柏崎にある原発の見学に行ってきました。敷地内では何かあった時のために近くに消防車を何台も配備している様子を見せられました。すばやい対応のためだとは思うのですが、地震によって道路が陥没したり液状化現象がおきれば、まず役に立たないだろうなと思います。

自然災害が発生すると、何も起きていない時に想定したものが全く役にたたなくなることは多々あります。


こういった状況の中、市内の様々な施設も同様に被害を受け、市内のゴミ処理場も一時期稼働がストップしてしまいました。

そのためゴミは出る一方なのですが、市にはゴミの処理能力が無く、一時的な補完場所として山本山という山の中腹にある芝生の広場がゴミの補完場所に選ばれました。


こうしてすさまじい量のゴミが一カ所に集まりだし、広場はゴミの山が出来上がってしまいました。


僕たちは日常的にゴミを出して生活しています。ゴミが出ない日はありません。そのために清掃車が定期的に各町内のゴミ捨て場を回りゴミを回収していきます。
でも清掃車がいつも確実に回って来てくれているおかげで、ゴミを出しておきながら、そのゴミを目にしなければならないのは、せいぜい3日ほどですみます。

そうするとゴミを目にするのは数日程度なので、たくさんのゴミを出している感覚を持つことが出来ません。


しかし、地震によってゴミ処理場が稼働せず、広場に山積みになったことで、自分がどれだけゴミを出しているのか視覚で確認出来るようになりました。
そのことで初めて自分がゴミをこんなにも出し続け、いずれゴミとなるものに囲まれながら生活し、さらにゴミとなるものを購入し続けていることに気付かされました。


このような体験から、極楽パンチでは「エコ」をテーマにして、一日を通してゴミを出さない取り組みを進めています。
復興していくのであれば、ゴミ処理場が稼働しなくなっても困らないような生活にしていきたいと考えながら、イベント運営をおこなっています。


イベントには、地元のお蕎麦屋さんやラーメン屋さん(どちらもメチャクチャ美味しいですよ!)や民族料理など、多くの飲食店が出店します。

その飲食店では毎年リユース(再使用食器)が使われています。
お客さんはリユース食器を100円で借りて、各飲食店で商品を注文し、食べ終わった食器は汚れを拭き取ってから返却します。返却された食器は洗浄し、再び貸し出し用の食器として利用します。
こうすることで紙皿や紙コップを使うよりも、イベントが終わったあとのゴミの量は大幅に削減されます。例えば同じ規模のイベントで紙皿を使用した場合、軽トラック1台分くらいのゴミが出ますが、リユース食器を使用したことで、ゴミ袋2?5個程度のゴミにおさえることが出来ました。捨てずに循環することで、こんなにも違うものかと驚かされました。

「エコ」というと、真っ先に浮かんでくるイメージが「節約」だったりするのですが、たとえ節約してもゴミを出すことには変わりはありません。しかし、リユース食器は使ってもゴミにならず、再び食器として利用出来ます。リユースは「節約」という考え方ではなく、「ゴミ」にさせないための取り組みといえます。

リユースの取り組みを始めることで、見た目の良さ(きれいな包装とか)に惑わされて、見えなくなっている部分(いずれゴミとしてしまう自分)が見えるようになりました。

ご縁ご縁と言いながら、実際は自分との繋がりがあるものを認識していくことは、とても難しいものです。

ゴミを出している存在なのに、その認識がない。そのような見えなくなっている繋がりを可視化していく作業が僧侶や寺院が果たすべき役割なのかもしれませんね。


麻田弘潤 (あさだ こうじゅん)
>>プロフィールを読む 消しゴムはんこのお坊さん麻田弘潤。消しゴムはんこ×仏教ユニット「諸行無常ズ」を結成し、「消しゴムはんこ法話ワークショップ」を全国各地で展開している。自坊では中越地震の被災体験から生まれたイベント「極楽パンチ」を開催する他、原発問題や部落差別問題にも取り組んでいる。