過去からの手紙とConnecting dots - 未来の住職塾という縁

過去からの手紙とConnecting dots - 未来の住職塾という縁

しばらく前、北海道に帰省した松本さんから写真が送られてきました。

何だろうと見てみると、5年前に私が札幌に出張する機会があり、その際に二人で会い、後日に送った手紙でした。

手紙を送ったことは忘れていましたが、今と変わらない字の汚さに恥ずかしい限りです。

しかし、その内容を見てみると、今につながる未来が語られているようで、過去から手紙が届いたような気持ちを覚えました。



ーーーーーーーー
先日は久々に会い、楽しいひと時をありがとう。また、本もいただきました。御礼の一信として、送ります。

学生時代、最後の一年間、相応の時間を共に語り合ったこと、その当時の価値観は、働く立場は違えども、今も基本的には変わっていないと感じました。いつか一緒に世のため、人のために何か出来るよう、お互い各々の道で研鑽を積みましょう。友として、これからもよろしく。日々を元気に。
ーーーーーーーー

札幌で会った時、さっぽろテレビ塔の真下に腰掛け、タワーを眺めながら話したことを思い出します。
その時に話したことで唯一覚えているのは次のようなことです。

「企業の経営を見ていると、見かけの財務の良し悪しよりも、数字には表れない組織の良さをどれだけ持っているかというのが大切なんだ。」

「木に例えると、地上の葉や果実よりも、目には見えない地中にどれだけ豊かな根っこを張り巡らしているかということが重要。豊かな根っここそが葉を生い茂らせ、素晴らしい果実を実らせる。このタワーも、地上に高くそびえているけど、地下にはこれだけの高さを支える基礎が深く伸びている。」

「これからの時代、お金ではなく、目には見えないけど社会にとって大切なものをどれだけ豊かに耕していけるかが、その社会の豊かさに直結すると思う。」

この話を聞きながら、松本さんが大きくうなずいていたのを覚えています。


そして、その後松本さんはインドに留学し、私は企業経営のドロドロとした最前線に身を置き続けながら、自分なりに「経営とは何か」「人間とは何か」「時代を引っ張る経営人材を如何に育てるべきか」というテーマを探求しました。

札幌で会った時、未来の住職塾というアイデアは話題にはあがりませんでしたが、「世のため、人のため」「目には見えない社会の豊かさを掘り返す」というのは、現在、未来の住職塾を運営している中でもとても大切にしている理念であり、価値観です。

さかのぼれば学生の時から二人でよく青臭い話をしていましたが、卒業後に10年間のブランクを経て、現在一緒に切磋琢磨している縁に不思議さを感じざるを得ません。

松本さんがお寺に入らなければ、そもそも未来の住職塾は誕生しなかったですし、私が銀行⇒ITベンチャー⇒経営コンサルというふらふらとした道を歩まなければ、(自分で言うのも何ですが)未来の住職塾にこれほどの価値と勢いは生まれなかったと断言できます。
お互いの今までの軌跡にあるたくさんの点が、未来の住職塾というきっかけでつながったと感じます。ジョブスを挙げるのはおこがましいですが、Connecting dotsというのはこういう感覚なのだろうと思います。

私たちは未来の住職塾だけでなく、その他にも様々なことに取り組んでいます。
事業の形はこれからも様々に変化していくでしょうが、お寺という日本社会の根っこを耕し続けるというのは一貫していくでしょう。

変化の中で、何かに迷った時に立ち返るのは学生時代から語りあってきた理念や価値観しかないと、最近その思いを強くしています。
今は当時の理念に「お寺」という大きなテーマが加わりました。

理念なき所に道はなし。
理念こそが私たちが進むべき北極星であり、どれだけ北極星をキラキラと輝かし続けられるかが問われています。
大切なことに改めて気づかせてくれた過去からの手紙に感謝です。



井出悦郎 (いでえつろう)
>>プロフィールを読む 1979年山形県生まれ、未来の住職塾にて講師、全体プログラム設計、お寺360度診断開発等を担当。著書に『お寺の教科書』(徳間書店)。