2008年2月27日

KAKUをはじめ、ここ彼岸寺に集うお坊さんの多くは、自分のお寺の副住職を務めています。そして、彼らに限らず、世の中の多くの副住職の実態は、次期住職という意味合いが強く、住職の補佐的な役割がメインです。中には、住職は事実上ほとんど引退していて、法事やお葬式など、日常の法務はおおむね自分が勤めている、という人もいるかもしれません。
しかし、「副」住職である以上、何かあったとき、寺や社会に対する責任を自分でとることはできず、やはりそこは住職の出番になります。もちろん、副住職であっても、たいていの場合は既に成人した大の大人で、それなりに社会経験も積んでいるでしょう。寺の中のことも、世の中のことも、たいていのことは自分で考え、判断し、行動できる。少なくとも、そのつもりでいる。しかし、その結果について自身で責任をとることができない。

わたしは、副住職でいる期間というのは思春期に似ている、そんなふうに思うんです。体は成長し、精神的にも思慮深くなり、自分ではいっぱしの大人の仲間入りができる気がしているのに、周囲の視線は「まだまだ半人前」とお子様扱い。だから、自分の中の「成長の実感」と、世の中の評価のギャップに葛藤し、普段はつつがなく日々を送っているようでも、ちょっとしたきっかけで、ひどく落ち込んだり動揺したり、周囲に強い反発を覚えたりする。そして、そんな穏やかならぬ思いが先走り、ときに無茶をしでかしたりと、実に危なっかしい。
誰もが、本当の大人になる少し手前で経験する、この微妙な成長段階は、寺の副住職の心理状態と近いのではないか、そんなふうに思います。

実際、例えばKAKUも、日頃の法務は滞りなく勤めることができますし、寺の中のことも、まだ住職が引っ張ってくれる部分が大きいとしても、流れとしてはたいていのことがわかっていると思います。
でも、何かイレギュラーなことが起きたとき、とっさの対応ができない。こうしたらよさそうだ、と思うところがあっても、その判断に自信がない。現実として責任者は住職なのだから、住職の判断を待たずに動くことに不安もあるし、無責任な気もする。
そんなKAKUの様子を見れば、ご門徒さんとしても、「やっぱり住職と話さないとダメだな・・・」という印象を抱くでしょう。何がなくとも、住職が出てこないうちは話にならない、住職の顔さえ見れば安心する、ということもあります。そもそも、お坊さんは年をとっているほどありがたい、若い坊さんなんてお話にならない、という本音も見え隠れします。

自分にもできる気がする。でも、やっていいのかわからない。何かあったとき、責任もとれない。
でも、もう子供じゃないし、やってみなければ成長もしないじゃないか。

そんな葛藤が、副住職という立場にはついて回るのです。

折しも、今後の仏教界は、とか、これからのお寺のあり方は、なんていうことが、あちこちのメディアで論じられています。若い自分の視点を持ってこそできることがあるのではと、様々な試みで活躍し、一方で、はやる気持ちにブレーキをかけることも忘れてはいけない。副住職とは、けっこうなバランス感覚が必要なもかもしれないと、側で見ていて感じます。

でも、副住職が思春期だとしたら、この時期にあれこれ悩み、つまづいたりくじけたりするのは、きっと価値のあることなのでしょう。どんな思春期を過ごしたが、その後の人生に大きな影響を与えることは、誰の身にも覚えがあるはずです。

いろんなところで声高に言われている、「これからの仏教・お寺に未来はあるのか」なんていうことが本当だとしたら、その未来の担い手は、頼りがいのあるお坊さんであってほしい。強く、柔軟で、度胸のある、本当に信頼できるお坊さんであるために、副住職である今という時期を、じっくりと、大切に過ごしてほしいと思います。

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コメント (4)

キューピー:

みちこさま

こんにちわ。
弱くて、ガチガチで、臆病者のお坊さんってやっぱりイカんですかねぇ。。^^。

でもヒーローみたいなお坊さんはかっこいいなぁ。。

おてもやん:

みちこ様♪へ

はじめましてm(_ _ )m
「お寺に嫁いでしまった。」
読みました!
おもしろかったし、ふ~んってたくさん思ったし
涙出るし、ホント盛り沢山でした('-^*)/

またコメント書きます。
よろしくお願いします!


ともころん:

 みちこさま

  空港でみちこさまの書かれた本を見つけ買い、一気に
 読みました。そうしたら住職(夫)を少し尊敬できるよう
 になりました。ありがとうございます。

  「お坊さんの思春期」含蓄のある言葉ですね。
 住職は先代が亡くなったことにより29歳の若さで
 住職になってしまったので、「思春期がなかった大人」
 ですね。きっと違う意味での葛藤はしているのかもし
 れないなと思いました。

みちこ:

>キューピーさま
こんにちは。お返事がものすごーく遅くなってしまってスミマセン!
弱くて、ガチガチで、臆病者のお坊さん・・・イカんとは思いませんが、個人的に好みではないです(笑)。
わたしの場合、自分が在家から嫁いできて、何もわけがわからないところからのスタートだったので、夫、つまりわたしにとって一番身近なお坊さんには、やっぱり頼もしくあってほしかったんです。
弱くて頼りなくても、それがかえって話しやすかったり、このお坊さんを支えようという輪ができたりもするかもしれませんから、いろんなタイプのお坊さんがいてほしいとは思いますよ!

>おてもやんさま
はじめまして。『お寺に嫁いでしまった。』をお読みくださり、ありがとうございます。
あの本には、わたしの幼い頃から現在までの全てを書いてしまったので、内容的はそれなりに盛りだくさんになったと思います。あれだけ長い期間のことを書いて、笑いも涙もなかったら、けっこう寂しい人生ですよね(笑)。
楽しく読んで下さったようで、何よりです。
これからも彼岸寺をよろしくお願いいたします。

>ともころんさま
はじめまして。『お寺に嫁いでしまった。』をお読みくださり、ありがとうございます。
わたしの知り合いにも、十代で継職した人が何人かいます。きっと、大変な苦労をなさったんだろなと想像しつつも、うちはまだ住職も元気で、やはり何かにつけて支えになってくれることに、結局はすごく助けられています。
どこのお寺にもそれぞれの歴史があって、家族のドラマも実に様々ですね。
これからも彼岸寺をよろしくお願いいたします。

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寺とは縁もゆかりもなかった女の子がお坊さんと恋をして、お寺に嫁ぐ。このケース、実は最近けっこう多いんです。このコーナーでは実際にお寺に嫁いだ寺嫁(てらよめ)の視点から、恋愛・結婚・出産・子育てなど、お寺での生活について現在進行形で体験レポートしていきます。
みちこ
ふつうのOLから思いがけず浅草のお寺に嫁ぐ。子どもと旦那(お坊さん)の世話に追われながらお寺を切り盛りする忙しい日々。