KAKUが近所に買い物に出かけ、赤ちゃんと二人でお留守番の、とある昼下がり。頂き物をしたビスケットをおやつにつまんでいました。香ばしさと甘みの具合がちょうど良く、バターのコクもほどよい加減に抑えられていて、なかなか美味なるお菓子でした。そこへ帰ってきたKAKUにも、「このビスケットすごくおいしいから、一枚食べてみない?」とおすそ分け。すると、「本当だ!胡麻の香りが濃厚でおいしいね!」とひと言。
え?胡麻なんて入ってたっけ?
わたしは食べる前に裏書の原材料を確認していたのですが、そこには胡麻は書かれていなかったんです。小麦粉や砂糖、塩の他に、風味付けになるようなものはアーモンド、ピーナッツ、レモンだけで、もう一度あらためても、やっぱり胡麻は含まれていません。それを言うと、「いや、絶対に胡麻が入ってる。もう一回目をつぶって食べてごらん」と言うので、半信半疑で口に入れると・・・まさしくコク深い胡麻の香りが口の中いっぱいに広がります。紛れもなく、胡麻の味です。
おそらく食べる前に原材料を読んでいなければ、わたしもすぐに胡麻の味に気がついたでしょう。でも、目で見てしまったあとでは、その先入観のために味覚が鈍くなり、明らかな胡麻の味を感知できなかったのです。中身を知っていようといまいと、同じものを食べているのに、こんなに簡単に味覚は狂ってしまうものなのだと気づかされました。皆さんも、こんな経験、思い当たることがあるんじゃないでしょうか。
浅草・緑泉寺で行われている「暗やミール」は、このような視覚と味覚の不思議を体験できるイベントです。完全な真っ暗闇の中で食べる食事。馴染みのある味なのに、それが何か思い出せない。色や形を目で見て確認しないと、味や食感や匂いだけで食材を判別するのって、実はすごく難しいんです。参加者たちは、「これは何だ?さっきのは何だった?」と、暗闇の中で見えない相手と話に花を咲かせ、食事が終わったところで、その日に出したものを同じメニューと見せられて、「やっぱりコレだったか!いや、まさかコレとは思わなかった!」と大騒ぎ。
とところが、目で見てしまったからこそ、その正体を見誤ってしまう。そんなこともあるんですね。