2004年7月31日

::::::::寺入り娘より::::::::

 週末になると、西東京市にある支坊で仕事をすることがあります。場所がら土地が狭い浅草と比べ、庭も広く自然に囲まれ、四季折々の表情を見せる支坊が、わたしはとても好きです。

 ただ、ひとつ大きな問題があります。それは蚊。支坊の庭は広いうえに数十種類の木々がおいしげる、ちょっとした林のようになっています。普段は奥までは手入れしないため、人間に邪魔される心配のないそこは、言ってみれば蚊天国。ちょっとやそっとの虫除けではひるむことのない強者ぞろいです。わたしが初めて支坊の手伝いをした日には、10分間でなんと13箇所刺されるありさま。あまりの痒さでショック死しそうでした。

 わたしは蚊が大嫌いです。痒いからです。支坊での仕事があるときは、どんな猛暑の日であろうと完全防備の服装で出かけ、その上から虫除けをかけ、もちろん蚊取り線香も何箇所もで焚きます。そして、それでも彼らと顔をあわせたときには、容赦せずにたたきつぶします。

 こんなわたしに、彼は「蚊がかわいそうだよ」なんて言うのです。蚊は、刺されると少し痒くなるくらいで、他に何の害もないのだからと。たしかにそういう彼の言い分もわかりますが、それでもわたしの戦いの日々は続きます。

 蚊も、もう少し考えたらいいのに。少々血を吸われるくらいわたしだってなんとも思わないけれど、痒いことが我慢ならないのです。あの痒み成分さえ注入しなければ、蚊族ももっと繁栄できるかもしれないのに。

 そんなことを思いつつ、次回までに携帯用蚊取り線香を用意しておかなければ、なんて思っている寺入り娘です。


::::::::寺継ぎ坊主より::::::::

 うちのお寺は西東京市に支坊(お店で言うところの支店)があります。お盆の時期は毎日、普段の日にも少なくとも週に1日はそちらのほうにおもむくのですが、やはり浅草と違い、虫がとても多いです。気がつくと体中あちこちに虫刺されがあり、痒くて仕方がないこともしょっちゅうなのですが、この虫刺されの原因の蚊について考えてみました。

 蚊は動物の血を吸って生きています。血を吸われたら、痒いけど別に死ぬわけじゃない。でも、わたしたちって他の動物を殺して食べているんですよね。蚊のほうがずっと人畜無害だな、なんて思ってしまいました。

 それなのにこんなにも人間に嫌われ、たたきつぶされ、しまいにはスプレーや線香で退治される。なんだか、かわいそうになってきました。

 みみずだって おけらだって あめんぼだって みんなみんな 生きているんだ 友達なんだ

 よし、今年は蚊をつぶすことなくこの夏を乗り越えよう。そんな変わった志を掲げた今年の夏でした。

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寺とは縁もゆかりもなかった女の子がお坊さんと恋をして、お寺に嫁ぐ。このケース、実は最近けっこう多いんです。このコーナーでは実際にお寺に嫁いだ寺嫁(てらよめ)の視点から、恋愛・結婚・出産・子育てなど、お寺での生活について現在進行形で体験レポートしていきます。
みちこ
ふつうのOLから思いがけず浅草のお寺に嫁ぐ。子どもと旦那(お坊さん)の世話に追われながらお寺を切り盛りする忙しい日々。