2005年10月30日
諸星大二郎 / 不安の立像

● 『生命の木』の映画化や久々の新刊発売でもりあがっている諸星大二郎先生の短編集『不安の立像』。まずタイトルからして目をひきますが、セレクトの傾向も読者を不安にさせる要素を含んだ話が多いです。ブラックなネタや曇った空気が一貫しているのですが、後味の悪さを一切感じさせないのが諸星先生の凄い所だと思います。僕は一話ごとに思う存分余韻を味わいます。グロテスクな素材を料理しても何故か上品な味にするので安心して読んでしまいます。寒気でしぼんだ胃袋に、あつあつコロッケのようなユーモアを投げ込む「ユニコーン狩り」は年末年始におすすめの傑作。描画も鮮烈でハッとさせられます。裏表紙に描かれた陰鬱の街に佇む犬のような獣のシルエットもいい余韻。 (遠藤卓也)


