2005年10月30日

トーベ・ヤンソン / 誠実な詐欺師

誠実な詐欺師

● 『ムーミン』シリーズで有名なトーベ・ヤンソンの大人向け長編小説。自分独自の世界をそれぞれにもった二人の女性の関わりとやりとりを通して、作者のたったひとつの疑問が最初から最後までずうっと書かれ続けています。
矛盾したそのタイトルからもわかるように、誠実さとか嘘をつかずに生きるとはどういうことなのか、作者自身が行ったり来たりしながら書き上げたようで、読者もまた行ったり来たりします。ひとつの事にこだわり続けることは厳しい道であり、残酷なことでもあり、またそのせいで、その他たくさんのことのつじつまが合わなくなるということでもある。その覚悟をもつことが芸術家や表現者にとってどれだけ不可欠なことか、というヤンソンの厳しい精神に触れるような気持ちのする一冊です。

(busse posse issue 05/10/29号掲載/文・斎藤遥)

投稿者 tasogarecords : 19:38 | コメント (0)

2004年12月22日

鈴木翁二 / 少年あります。鈴木童話店

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● 漫画家の鈴木翁二ですが、この作品は絵本です。まさにたそがれ味の作品。ふたりの少年がみるお祭りは、濃くなる夜空にぼうっと浮かぶ、美しさ。いつもとは少し違った世界にいるような、不思議な冒険みたいです。見世物小屋で会った人魚はピチャンとはねてまた来年、と言いました。重たくないのに深い気分のよい絵本です。土の地面のしっとり感のような、よい気分。(斎藤遥)

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投稿者 tasogarecords : 22:58 | コメント (0)