2006年9月 9日

Kelis / Wonderland

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● ジャケットの写真がとってもかわいい。黒い肌に白と青のボーダー服がまぶしいです。
内容はとってもお洒落です。生音も多い印象で、歌と演奏、冷たい音と暖かい音のバランスが心地好い。強く重たい音から始まり、ボサノバを思わせる軽やかさで終わるアルバム全体の流れが聴き易さを高めています。日本盤だといちばん最後にニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」のカヴァーライブ演奏がなぜか収録されています。アルバムの流れを無視したおまけですがそんなところも面白い。(斎藤遥)

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Original Sound Track / Twin Peaks

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● 定番ですが、素敵なヒガン音楽だと思います。妙に晴れた日の午前中を異化するには最適。不穏なアンビエンスとジャジーな演奏、飽和しきった光の波状攻撃で感覚を鈍らせられてしまいます。そして極めつけはJulee Cruiseの妖しくも儚い歌声。生ぬるくて居心地良くてついつい日常を踏み外してしまいそうです。(遠藤卓也)

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Matching Mole / Matching Mole [邦題:そっくりモグラ]

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● 邦題のセンスが抜群。絵本のようなジャケットとマッチしています。何故か美しく寂しげなラブソングに始まり、続く2曲目3曲目も優しいメロディが続きます。しかし歌詞がまったくふざけていて、あれ?と思うとそこから一気にプログレパートへ…気付けば深いところにきてしまうという、まるでグリム童話のような作品。(遠藤卓也)

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2005年10月30日

一十三十一 / Synchronized Singing

Synchronized Singing

● ここ数年、新譜にはほとんど興味がなく購入していなかったのですが彼女の作品は買ってしまいました。近年稀に見る女性シンガーソングライターだと思います。黒人の真似事や、ビョークやシャーデーになりたい症候群J―POPとは一線を画しまくりな才能です。楽曲のクオリティーは高いしプロデューサ陣との相性も素晴らしい。先日見に行ったライブではLKOとの2人を中心にしたセットだったんですが、ほとんどの曲にリアレンジがほどこされ非常にとんがった実験的なこともやっておられました。世間ではどうしたわけか評価が低い気がしますが名前のせいかしら。なぜここまで絶賛するかといえばルックスも好きなんです。。。。ファンなんです。でもほんとに素敵な1枚ですよ。(斉藤仁昭)

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Prefab Sprout / 38 Carat Collection

38 Carat Collection

● 20世紀(もちろん21世紀においても)の稀代のメロディーメーカー、パディ・マクアルーン率いるプリファブ・スプラウトの84年から97年までのベスト盤。僕はこのアルバムを聴いて音楽観が広がりました。音楽の魔法が全開で展開される捨て曲一切無しの美しすぎる全38曲。ポップソングをやるならば彼らを越える意気込みをもって望まねばいけないように思います。どこかで「淡い美しいメロディー」と評されていましたが僕は淡いとはあんまり思いません。非常に強力で熱いメロディーだと思います。(斉藤仁昭)

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marasica / akaneiro

akaneiro

● ボーカルとピアノの女性デュオ。全5曲のミニアルバムですが、すべてそれぞれに良い曲で聴きごたえがあります。透明感のある印象で、いろんなものがあふれた今にあって曲も詞も歌もピアノもこんなに素直にできるのか、と新鮮な気持ちになって飽きません。なぜか私は、marasicaの曲を聴いていると教育テレビの「みんなのうた」の存在を思い出します。まだ情報量の少なかった子ども時代の感覚を呼んでくれる音楽なのかもしれません。(斎藤遥)

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STEREOLAB / MARGERINE ECLIPSE

MARGERINE ECLIPSE

● メンバーのメアリーが亡くなってから初のアルバム。初期の頃を思わせる作品でもありますが、左右のスピーカーから出てくる音を別々に録っていて、同じ楽器でも別の音が各スピーカーから聴こえてきます。それだけにたくさん聴いてもまだ聴ききれないようないい音がたくさん入っているようで愛着がわきます。細かい粒子がふわっと自分を包んでくれるような穏やかな気持ちがします。メアリーのことを歌っている詞もあり、レティシアが今までのメアリーの分までひとりで歌っていることもあって、穏やかながらとっても感じるものがある作品。(斎藤遥)

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Little Wings / Magic Wand

Magic Wand

● カリフォルニア州、サン・ルイス・オビスポの絵描き詩人、リトルウィングスことカイル・フィールドの、昨夏の終わりに発売となった、ベッドルームの独り言アルバム。カイルは2人。今海辺の小屋で、恋人を前にギターを弾いているカイルと、夕方になって友だちは次々お家にかえってゆくのに、まだまだ遊び足りなくて森にひとり残っちゃった10歳の少年カイルくん。境界は目に見えないとこにあるーおじさんカイルと少年カイル、森とお家、君と僕。リトルウィングスはいつでもそのちっちゃい羽広げて、時には空をスキップなんてしながらその境界線を通り抜けちゃう。夢も現も、目を閉じて魔法の杖を一振りすれば時空を超えて、ほらそこにはリトルウィングスの世界。それは空気が入り、空気が出ていくってだけの「I'm everybody」の世界。(大伴薫)

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トクマルシューゴ / L.S.T

L.S.T

● イギリス庭園の曲がりくねった散歩道(それはさまざまな視点でものが見えるように、哲学者には不可欠なものだった)。回転プラス上下運動で、子どもたちを(ときには大人をも)夢の世界へと誘うメリーゴーランド。くるくると廻すたびに、その模様を変える幻惑的な遊具、万華鏡。このアルバムは、そんな喩えでは足りない気がする。例えばーある幼稚園児の、ある一日を切り取って音楽で表現したらこうなりました。幼児の持つ、あの無秩序な思考回路や、幼稚園の校庭で見られるカオス世界や、語彙不足を必死で補おうとするあまりのヘンテコな会話や。そう言ったら伝わるだろうか。つまりは、コロコロと変わる曲展開に童話性と夢幻性が付され、カラフルな音の粒たちで構成された、奇才トクマルシューゴの今年の集大成。(大伴薫)

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David Byrne / Grown Backwards

Grown Backwards

● ボーダレスに様々な音楽を取り入れながら自身のポップミュージックをつくりあげているデビッド・バーンの近作。アルバム内で取り上げている楽曲も、ビゼーのオペラ(ルーファス・ウェインライトとのデュエット!)やナッシュビルのカントリーバンド・ラムチョップまでと多彩です。編成は、バンドスタイルではなく楽曲に合わせて様々な楽器が登場します。リズムもワールドミュージックに造詣の深いデビッド・バーンだけに様々なバリエーションで飽きがこないです。X-PRESSと共演したクラブヒット"Lazy"も、打ち込みのビートにストリングスを配したバージョンをボーナストラックとして収録しています。これらをちゃんと繋ぎ普遍性を保っているのは、なんといってもデビッド・バーンの素晴らしい歌。秋風のように爽やかで澄んだメロディーと、青空に突き抜けるような歌唱がとても気持ちよく、明るいうちからついついビールが飲みたくなってしまいます。(遠藤卓也)

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2005年4月 1日

Mercury Rev / The Secret Migration

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● 今年の夏にはフジ・ロック・フェスティバルでの来日も決定しているMERCURY REV、3年ぶりの新作は、幽玄壮美な装飾音の霧と樹々に見え隠れする引き締まったバンド・サウンドに注目です。
95年発表のアルバム"See You On The Other Side"「向こう側で逢いましょう」なんてヒガンじみたタイトルで夜明けの来ない世紀末的狂騒音楽を鳴らした彼らは、続く4作目"Deserter's Songs"「見捨てられた者の歌」にてアメリカン・ゴシックの闇の中で妖しげに光を放つサイケデリアを垣間見せました。5作目のタイトルでは"All Is Dream"、つまり「全ては夢」宣言をし、ストリングスを多用した夢心地過多なサウンドを展開。一躍現代のヒガン・ロック・バンドの王座に君臨しました。その楽園志向がファンタジーを超え、もはや居心地の悪さまでを感じさせるが故に、6作目となる今作での展開には期待がかかっていました。結果、肩透かしをくらってしまった人も多そうなある意味でのスケールダウン路線が一筋縄ではいかぬ彼らの奥深さを感じさせます。
"See You On The Other Side"を入り口の作品と捉えるならば、この作品は出口のようなイメージです。一時は仙人になりかけた彼らが柔軟性に優れたしなやかな実体を得て還って来たような感じがします。マジカルなパワーは残しつつもロックバンドならではの肉体性を活かしたアンサンブルを中枢に据え、その絶妙なバランス感覚が今の空気と非常にマッチしています。"往って、返ってきた"というにおいが音全体から放たれていて、正に両岸の味があるヒガン・オンガクと称すべき一枚です。(遠藤卓也)

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2005年1月 2日

Giant Sand / Is All Over the Map

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● 枯れている。枯れているからデザートロックなんて呼ばれるのでしょうか?キャレキシコの二人との別れ、なんとも渋いカバーアルバムを経て、もう届かないかと思われた砂漠のバンドからの便り。冒頭から硬質なドラムスと過度に金属的に変換されたギターの音が、他を寄せ付けぬ孤高の響きを放っています。そしてハウゲルブ独特のしゃがれ声。この砂漠の語り部の声から滲み出る様々な情報は、ロックンローラー・ハウゲルブのストーリーを妄想するに充分です。弾き語りのシンプルなソロアルバムの経過を踏まえれば納得な大胆なアレンジ・奇抜な録音のハードロック曲から、趣向を凝らした編成とリズムながらメロディーの美しさが際立つ静かな楽曲まで、カバーアルバムで垣間見せたハウゲルブの膨大な引き出しから出した材料をざっくり男の料理。この、"休日にパパが腕を奮ったような無骨だが美味な食事"の後には、ハウゲルブの実の娘さんが歌声を披露して(曲はアナーキーインザUK!)砂漠に水、正にデザート代わりと花を添えています。この曲だけは、枯れていない、甘いデザートロック。(遠藤卓也)

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羅針盤 / 福音

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● やさ~しすぎる音たちに笑えてくる一枚。夕暮れに、年の暮れに染み込んで消える。全曲を貫く感動的な曲調が楽しいのです。そして羅針盤特有の、重要そうで実はなんだかよくわからない歌詞に何度も癒されてしまう。CDの盤が金色に光っているのも福々しくて大好きです。(斎藤遥)

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朝日美穂 / スリル・マーチ

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● 緻密な音作りと内省的でスケールの大きな歌詞が深い瞑想に誘う一枚。朝日美穂の囁くような歌声は切迫感を持って加速するリズムに乗り歪んで渦を巻くストリングスに包まれ、ノイズコーラス虫の声果ては自身の産声と融合して湿り気ある情感と無限のアンビエンスを呼び起こします。生まれては消える生命の繰り返しと地球の長い歴史の流れをモチーフに紡がれる歌詞は詩的でスリリング。みなおいで踊れや踊れ月が西方に沈むまで、と歌う「夏の主」がたまらなく誰そ彼的。座禅を組むライナーノーツの写真にも彼岸を見る。(木原健)

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Space / Space

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● 友人が最近まで暮らしていた某国では、ネットに繋がるのにもひと苦労で「無理!」という状況だったらしい。ネットのお陰で、NYやロンドンや東京など一部の都市の情報格差は無くなりましたが、第三国と呼ばれた国との差は広がるばかり? 小さな地球もまだまだ大きかったのを実感。皆さんはどんな国で暮らしたいですか? 列車に揺られてガタンゴトンと旅していたら、遠くからプレスリーの歌声が聞こえてきました…あ、羊の鳴き声も…と地球上のいろんな音を継ぎ接ぎした仮想旅行音楽「Chill Out」が有名な人達ですが、本作では電子音を継ぎ接ぎして宇宙へと旅立ってしまいました。皆さんの宇宙は何処にありますか? そして、そこでは誰もが平等ですか?(宮原秀一)

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は・じ・め・て・の民族音楽 Vol.9 / バハマ 喜びの歌、心の歌

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● スペイン人による虐殺で無人化したバハマの島々は、17世紀に初頭にイギリス領となり、アメリカの独立後に黒人奴隷が多く移住させられたため、現在は人口の80%以上が黒人で占められているそうです。アフリカの文化を奪われたうえにキリスト教文化を強制された人々が歌うのは、無骨なゴスペルやブルースでした。本盤には、1965年に現地にてフィールドワークされた歌声の数々が収録されています。「何処へも行かない」のではなく「ここにいる」、そして「いつか、ここではない場所へ行く」。それは意思なのか運命なのか。ここではない場所、それが天国と呼ばれたのかもしれません。歌声は解き放たれ、未来へ響いていきます。彼らは何処へ行ったのでしょうか。(宮原秀一)

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Albert Ayler / Swing Low Sweet Spiritual

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● ヘンリー・グライムスのベースは地上なんぞ歩くつもりがさらさら無いのか、一歩間違えると奈落に落ちてしまうような綱渡りをしているように聞こえ、いつも「あなたそんな歩き方じゃ落っこちちゃうよ・・・」とハラハラしているのだが、聞いているうちにいつの間にか綱渡りをしているのが自分に代わっていることがあってそれに気付く瞬間が堪らない。加えてアイラーのヴァイブレーションはいつものごとくスピリチュアルに響いている。録音状態が悪いのか全体的にくぐもった音がまた彼岸を想像させてくれる。スタンダードや黒人霊歌を主に演奏しているのでフリージャズを普段聴かない人にもお勧めできます。4曲目聖者の行進は百鬼夜行のテーマにでもしたいです。(斉藤仁昭)

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2004年12月22日

あがた森魚 / ギネオベルデ(青いバナナ)

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● いろんな国のよい音を聴いてる気分になります。この一枚が国みたいな気もします。輪になって踊って歌いたくなる楽しさ、気持ちよさで、安心が心の中に湧いてきます。穏やかなワクワク。年末年始はこのアルバムを聴きながら、出前のお寿司が食べたい。(斎藤遥)

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kama aina / トゥ・フィンガーズ

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● 夏に出た音源ですが、冬になった今また聴いてみてもとてもぴったりなkama ainaのコラボレーション作品。冬の柔らかな陽射しが動力となり、演奏者の楽器を弾く手が動いているイメージが浮かびます。冷たく張り詰めた空気が淡い暖色に浸食されていくようなコラボレーション故のプロセスが感じ取れます。ランダムでは無いのに、何故か自然の無為なかわいらしさが滲み出ていて、何気なさげな趣きがスゴいインスト小品集に仕上がっています。DISC 2のピアノによるラフスケッチも重ね合わせて聞き終えた後には、頭にゆらゆらと残像が浮かんでいます。(遠藤卓也)

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2004年11月28日

THE BEACH BOYS / SURF'S UP

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● 世界一有名な未発表アルバム「スマイル」に収まるはずであった「サーフズアップ」が収録され、タイトルともなった一枚。アルバムのあちこちに鳥の声や車のクラクションなどたくさんの音が散らばっているのに全体として静かなたそがれの印象です。そして、4曲目の「DisneyGirls」がとても好きです。すごく美しくて静かで少しこわい、この曲は夢の国です。満たされた夢の国には欲しいものが揃ってるだけでなく余計なものが何にもないのだなあとこの曲を聴くと感じます。「現実は僕に似合わない、おとぎの世界が僕の居場所だ」と歌う作曲者のブルース・ジョンストンはこのアルバム発表の後に7年間在籍したビーチボーイズを一度脱退しました。一度のぞけば戻りたくない彼岸かな。名曲です。(斉藤遥)

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Original Soundtrack / Somewhere In Time

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● 脚本家志望の大学生リチャードによる処女作上演後、パーティーに現れた老婆は、彼が68年前に愛した女性エリーズだった!?自分が生まれる遥か前に活躍していた美人女優との恋愛物語。時を超えたロマンスが展開しますが、時間旅行を扱う映画の殆どが時間移動装置などを使用するなか、本作の方法は「念じる、ただ信じて念じる」のみ。これ程に無骨で真摯な方法は見た事が無い。リチャードは眠る様に68年前へと旅立ち、若きエリーズと出会って恋に落ちます。ロマンスを演出したのは、2人が大好きなラフマニノフ作曲のラプソディー。物語は余りにも唐突なバッド・エンドを迎えますが、これ程にロマンチックで悲しいピアノの音色は聴いた事が無い。(宮原秀一)

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Gavin Bryars / The Sinking Of The titanic

● 大型客船タイタニック号が沈み続ける間、船内楽団は演奏を止めなかったと言われています。死に直面しながらどんな音楽を演奏し、そしてその時、船上の人々は何を聴いたのでしょうか。そんな瞬間を音楽によって再現しようと試みた本作。海底で演奏された音楽は、水という反響媒体を通して延々に反復されているのでしょう。白玉音符のみによる演奏のうねりに巻き込まれ、どんどん自分も沈んでいく、沈んでいく。そして、沈みきった先には何があるの?耳をすますと誰かの静かな話し声も。これ程に悲しく美しいヴィオラの音色は聴いた事が無い。深海にある天上の音。(宮原秀一)

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Albert Ayler / spirits rejoice

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● どこから鳴らしているのか。どこのことを鳴らしているのか。どこへ行こうとしているのか。どこに連れて行こうとするのか。どこを見ようとしているのか。どこが見えているのか。どこを見せようとしているのか。どこから聞こえてくるのか。僕が聞いているここはどこだ?????その「どこ」かを彼岸と例えるのは簡単だが、そんな言葉を当て嵌めるのでなく、どこかについて考えてみたい。考えてみよう。アイラーの宴。アイラーのマーチ。アイラーは呼んでいる。気がする。。聞くたびに泣けます。(斉藤仁昭)

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John Frusciante / Niandra Lades & Usually Just a T-Shirt

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● 孤独だ。放蕩の最中や果てに、自分とだけに向き合う、若しくは向き合わざるを得ない瞬間に立ち現れる孤独。僕はそんな孤独に向き合う根性がないから想像でしか言えないのだけど。(度々機会はあったはずだが、悉く逃げた。酒とか、いろいろ)夜中に一人で孤独を感じ、何にも報われねえんじゃねえかとか、ドツボに嵌ってネガティブなことばかり考え出したときに聞くと、ジョンの気持ちに寄り添えるような気がする。6曲目、ボーカルにエフェクトをかけてチュルウッゥゥッゥという音を出したときその音は世の中に繋がりたいがために生えてくる触手のように伸びていく。届く前に伸びきってしまう触手が何本もあらゆる方向に伸びるるるるる。届かないことをわかった上で伸ばす。伸ばしていることを知って欲しいのか。それはただの俺の気分か???・・・1曲目の「1.。2.。3.。4.。」というカウントからして彼岸だ。(斉藤仁昭)

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Sandy Hurvitz / Sandy's Album is Here at Last!

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● ロックからしてみたら稀代の怪作とも言えるフランク・ザッパの「アンクル・ミート」その架空のキャラクターのモデルになったというだけで、聞いてみたくなるサンディー・ハーヴィッツのデビューアルバムです。プロデューサーだったフランク・ザッパは意見の食い違いで途中降板するもののジャケットに登場しています。内容は見事なまでの彼岸フォーク。ジョニ・ミッチェルやCSN&Yにも影響を与えたというソングライティングの才能は流石です。時折現れるフルートの音色が幽玄でひんやり気持ち良い。後にエスラ・モホーク名義で出した作品はフリーソウルで再評価されたという普通にいいうたですが、やっぱどこかヘン。(遠藤卓也)

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DJ Vadim / U.S.S.R The Art Of Listening

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● 彼岸よりかかるビートの橋。彼は物理的にもヒップホップのシーンからは彼岸といって差し支えの無い場所に居ました。そしてビートで色んな岸に橋をかけては奇跡的な瞬間を溝に刻みました。どうしてドラムの音がこんな質感なんだろう…。いつ途切れてもおかしく無い儚さは、ブレイクの度にこのままレコードが終わってしまうのでは?という恐怖感のようなものを抱かせます。単音の連続にここまでブンガク性を付与させるのはヒガンジンの成せる巧みの技。彼とAnti Pop Consortiumが架けた橋、the Isolationistなんて彼岸が深刻過ぎてこんな場では寧ろ紹介しずらいほどです。CD自体も彼岸にいっちまったらしく手に入りにくいそうですが。(遠藤卓也)

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Curt Boettcher / Misty Mirage

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● サジタリウスやミレニウムといった60年代米国西海岸のソフトロックの代表バンドで活躍した、ブライアンウィルソンもその才能にびびっていたというカートベッチャーの未発表音源集。メロディーもコーラスもどうやって編み出したのかまったく想像できないくらい美しい、つまり阿弥陀の力を借りているかのような、曲ばかり。ライナーに「時を超越した人」とあるがまさしくそのとおりでありいまだに新鮮に耳に響く。そしてうっとり。宗教の超時性と音楽の超時性。共通点はあるのかしら?と考えてみるのも面白いかも知れん。(斉藤仁昭)

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Milton Nascimento / journey to dawn

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● 夜明けへの旅は誰そ彼から始まります。遥か遠い地にまでおもわず郷愁の想いを馳せてしまうあたたかいメロディーと歌声。同じ誰そ彼でも日本とブラジルではこうもスケールに差があるのかと納得の大袈裟なアレンジが、でっかく見えてそうなお日様を瞼の裏側に映写してくれます。時差の彼方にふっとんで体験する異国の誰そ彼も色彩豊かでまた美し。(遠藤卓也)

投稿者 tasogarecords : 18:07 | コメント (0)

Monika Linges Quartet / Floating

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● アシッドジャズで再評価されたドイツの歌姫。ブラジリアンフュージョンに影響された楽曲をバックに広がるモニカリンゲスのスキャットは、時に萌え上がり時に儚げに美しくゆらぎ、紅葉のこの時季にぴったり。全編を覆う浮遊感たっぷりの美しいエレピもさることながら"floating on the edge..." なんて歌詞もただならぬ彼岸の様相を呈しています。そしてなんといってもかはたれ時の水面を写したジャケットが素敵です。(遠藤卓也)

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GENTRA PASUNDAN / GAMELAN DEGUNG BULAN DAGOAN

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● 「アジアとお寺」ってことで一枚選んでみました。 インドネシアのジャワ島西部スンダ地方に ガムラン・ドゥグンという音楽があります。 前まではガムランていうとアグレッシヴで激しい感じだと思っていたんですがこんな和む感じのもあるんですね。 小編成ガムランのナチュラルな響きは沖縄音楽を思い出させます。 おうちでのリスニングにぴったりな末永く聴ける一枚。 (木下)

投稿者 tasogarecords : 18:02 | コメント (0)

Robert Wyatt / shleep

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● 眠りがけに聞くと夢の世界への橋渡しがスムーズに達成されます。ので寝るときによく聴いています。歌詞の多くがロバートワイアットが不眠症に悩まされ、安眠を渇望していたときに書かれたものであるらしい。夢の世界に行く途中の橋でたたずんで覚醒と夢の両方に意識をもっていくことで夢と聴いている音楽を混ぜる、という小技(稀にしか出来ませんが聴覚と視覚が共感覚的になった感じがします。)を僕は持っているのですがこのアルバムはその成功率が高いです。彼の声は物凄く優しい。彼岸(死)を想起させるといえば大げさかも知れませんがそれほどに美しく力強く優しいです。ブライアン・イーノが全編で活躍しております。(斉藤仁昭)

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投稿者 tasogarecords : 17:54 | コメント (0)

John Cale / Sun Blindness Music

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● ミニマル音楽は静謐で瞑想的な作品が多いので図らずともお寺にフィットするように思われます。特にここで取り上げたいのはやや異色なこの一枚。元々は現代音楽畑出身のヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルによる現代音楽作品。1965年の八月にケイルはどんな格好でこのドローンギターを弾いていたのでしょうか?立っていたか、椅子に座していたか、或は地べたで胡坐をかいていたかエモーショナルに掻き毟っていたのか、坦々とミニマリズムに徹していたのか…そんな様々な空想を抱いてしまうほど、この速度、ゆらぎ、ブレイクに残るノイズ等、全てが催眠的で魔法のよう。僕らはただ、この音塊とサマーヒートにくらくら眩暈を覚えるのみなのです。(遠藤卓也)

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Dan Hicks and His Hot Licks / Beatin' The Heat

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● ダン・ヒックスが27年振りに出した作品。60歳とは思えぬ仕上がり。ヒップという言葉の意味がいまいちよくわかっていないのですがきっとこういう音楽やおじさんのことを言うのだろうと思わされました。スウィングという言葉も同様。粋なおっさんというものに誰もが憧れるであろうがみなが粋人になってしまえばこれまた世の中つまらないわけでそうであるならばこんな粋なおっさんを暖かく遊ばせてあげる社会のゆとりが欲しい今日この頃。(斉藤仁昭)

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jan lelinek / loop-finding-jazz-records

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● そもそもダブというのは音響彫刻の事で、"抜き差し"特に"抜き"が重要だと考える僕は、そこに日本人の"ひきの美学"を関連付けたくなってしまうのです。そして、ジャマイカからも日本からも遠く離れたベルリンの地にあるレーベル ~scape から届けられる音源にはいつもそこはかとないわびやさびが横たわっていて思わずニヤけてしまいます。ミニマル・ダブのひんやりとした感触はまるでお寺の床を裸足で歩いた時のよう。先日発売になった新作はちょっと残念だったヤン・イリネク。彼の才能はエレクトロニカに埋没してほしくないです。ベルリンに移住したファット・ジョンらと刺激を交換して、一日も早く新しい作品を発表してほしいものです。(遠藤卓也)

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Bing Crosby / Blue Hawaii

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● まだ一度も行ったことの無い僕にとってハワイは"かの地"であり続けます。この際死ぬまで"かの地"にしておいて夢想を膨らませていたほうが幸せなのではないかと思うくらい。その膨張剤となり僕を苦しめているのがこのアルバムを始めとする数々の名ハワイアン・ジャケ。白黒で伝わらないのが残念なのですが(※フリーペーパー掲載時は白黒印刷でした)このジャケの色もかなりあの世色してます。そしてスティールギターの音色も、この世のものでは無いような気がします。(遠藤卓也)

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2004年11月26日

Jad Fair and Daniel Johnston / (S/T)

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● 奇しくも今年は両者のライブを別々に見る機会があったのですがダニエル・ジョンストンに特に彼岸を感じました。僕の印象では、ずっと橋の欄干の上に登って歌っている人。うたに演奏を引き寄せてしまうほど、イメージを伝えようと真摯な格好が良かった。ダニエル、ジョアン・ジルベルトやブライアン・ウィルソン等、橋の上から歌っている人は本当に良い曲を書くと思います。そしてこのアルバムは88年に録音したジャド・フェアとの競演盤。大好きなビートルズの"Tomorrow Never Knows"をとんでもなくローファイ解釈なトラックで奔放に歌ってみたり、大好きなオバケ、キャスパーについての楽しい歌"Casper The Friendly Ghost"も収録されています。(遠藤卓也)

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Egberto Gismonti / SONHO70

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多楽器奏者兼作曲家として活躍するジスモンチの70年の作品。様々な音楽の要素にブラジルのソウルが吹き込まれさらにジャズの精神が混ざり合った感があります。ブラジルの音楽をさほど聴き慣れていない僕にはアレンジやメロディーが突飛に思えてそこに異世界を垣間見てしまって面食らったものですが一度慣れてしまえばその夢見ごこちの美しさに聞き入るばかりです。(斉藤仁昭)

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Pharoah Sanders / Journey to the One

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● 言わずと知れた名盤"Journey to the One"やはり注目はSIDE THREEの"you've got to freedom"なのでしょう。このファラオのテナーは何度聴いても心を揺さぶられます。うっかり涙さえもらしてしまいそうなブロウ…例えば他に挙げるならキャノンボール・アダーリィ"something else"に収録されている"Autumn Leaves"でのマイルス・デイヴィスのような。「きあいのはいった」程度の表現では到底及ばぬ音の「たましい」を感じます。圧倒的な音の存在、ビックリしちゃいますよね。ほんまもんのスピリチュアルというのはまさしく魂を解放し、精霊と化したような状態だと思っています。ファラオの音なのか、ファラオが音なのか、音がファラオなのか、音のファラオなのか、よくわからなくなるくらいなのがスピリチュアルなのだと思っています。そして何と言っても誰そ彼的推薦面はSIDE THREEではなくSIDE TWOです。"KAZUKO (PEACE CHILD)"は琴がフィーチャーされウインドチャイムも鳴っていて"和"の要素が強く打ち出されています。続いて取り上げているのがジョン・コルトレーンの"AFTER THE RAIN"ピアノとテナーサックスのデュオ編成で美しく流れていきます。そしてラスト"SOLEDAD"はファラオのオリジナルですが、今度はシタールとタブラを使ったラーガ・アンビエンスの中でファラオのテナーが躍動的に生命感を伝えてくれます。(遠藤卓也/斉藤仁昭)

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