2006年1月14日

shoyo01.gif 今回作る飛竜頭(ひりゅうず)は 「 ガンモ 」 とも 「 ひろうす 」 とも呼ばれます。 普段食べたいなと思った時は、出来合いのものを買ってくることが多いと思いますが、自分で一から作ってみると、食べる人も手作りの暖かさを感じることでしょう。 さほど難しくないので、是非一度やってみてください。


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【レシピ】 <2人分>

○基本タネ
・もめん豆腐…300g (1丁)
・山芋…30g
・胡麻油…小さじ1
・薄口醤油…大さじ1
・片栗粉…適量

甘辛だし…「 精進だし…150ml、 濃口醤油…大さじ2、 みりん…大さじ3、 塩…少々 」
・きくらげ…2枚
・人参…中1/3本


○飛竜頭の具
<梅味>
・大葉…2枚
・梅干し…中2個

<味噌味>
・白味噌…20g
・白胡麻…大さじ1


○みぞれあんかけ
八方だし…「 精進だし…100ml、 薄口醤油…大さじ1・2/3、 煮きりみりん…大さじ1、塩…少々 」
・大根…1/5本
・柚子皮のすり下ろし…少々


精進だし …「 水…1 ℓ 、乾燥椎茸…2枚、だし昆布…20cm1枚 」

【 作り方 】  出来上がりTIME 40分 (もめん豆腐の水抜き時間は含まない)
toufunomizunuki.JPG (1) もめん豆腐に重しをして2時間ほど置き、水分を十分に抜いておく。
 (2) 人参、キクラゲ、大根の皮、だしを取った椎茸などを3㎜角程度みじん切りにし、甘辛だしで7~8分煮た後、ザルに上げておく。
 (3) ボウルに、(1)と(2)、すった山芋30gを入れ、混ぜる。 塩少々、薄口醤油大さじ1、片栗粉小さじ1、胡麻油小さじ1を入れて混ぜ合わせ、飛竜頭のベースを作る。これを3等分し、1つ目はそのまま、2つ目は千切りにした大葉と叩いた梅肉を混ぜ、3つ目は白味噌と煎った白胡麻を混ぜて3種のタネを作る。
 (4) 手の平にサラダ油を塗り、(3) を一口大に整形し、150度の油でじっくり揚げていく。 きつね色になったら取り出し、熱湯をかけて表面の油を取っておく。
 (5) 八方だしに残った梅干の種を入れてひと煮立ちさせる。その中に水気をきった大根おろしを入れ、片栗粉で強めにとろみをつけ、最後に柚子の皮を風味付けに少量すり、みぞれあんかけを作る。
 (6) 3種の飛竜頭を一つの器に入れ、上からみぞれあんかけをかける。 最後に大根の葉を塩茹でしたもの(あれば木の芽か三つ葉)を乗せて彩りも美しく完成!!


作り方のポイント
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 ・八方だしに、残った梅干しの種を入れると、程よい酸味がプラスされます。 油を使用する料理には、酸味でさっぱりさせるのも良いでしょう。

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 ・山芋を入れすぎると、タネが柔らかくなりすぎて、揚げている途中で崩れやすくなります。



ひとこと
shoyo01.gif ・精進料理は、油をうまく使えるようになると、味の幅が広がります。
 ・大根は青みがかった部分が甘く、先端部分にいくほど辛みが強まります。 みぞれにする時は、青みがかった部分を使うと良いでしょう。 因みに私は、大根おろしは青い部分を、火を通す時は白い部分を使っています。 これは好みの問題なので、自分で色々試してみてください。



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 今日は3種類の飛竜頭を作りましたが、どうでしたか?


kae06.gif 八方だしに梅干しの種を入れてたでしょ!! あれですごくコクが出てたよね。なんかビックリ。


kaku01.gif やっぱり、精進料理は食材を使い切るって考え方があるから、梅干の種も無駄にしないのですね。


shoyo04.gif ふふふ。 これはほとんど知られていないやり方でしょうね。 以前、残った梅干の種が勿体無いなぁと思ったことがあって、煮物に入れたら味がつくかもしれないと試したのが最初なんです。 そしたら、思った以上に美味しいダシが出来てビックリしました。

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 偶然なんですか?


kae01.gif それに、禅って作法が複雑で型どおりしないといけないような印象があるけど、料理は創作してもいいの?


shoyo01.gif そうですね、禅の流れを汲む茶道の言葉で 「 守破離 」 というものがあります。
 まず「守」とは、指導者の教えを忠実に習い、型や作法などの基本を習得する段階。 次に「破」とは、経験を重ねて習熟度を上げつつ、指導者の教えを土台としながらも、教えにないことを試みる段階。 最後の「離」とは、これまでの経験や思想に全くとらわれることのないオリジナルな段階。

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 あ、スルーですか?


kae01.gif なるほどねぇ。 型を守るのは、最終的には型から離れるためなのね。 確かに、基本が出来ていないと応用することも出来ないかも。


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 ・・・。


shoyo01.gif それとね、重要なのは型についての問題意識。 例えば、料理における型とは何か? 
 その型は何のために守るのか? そもそも型を守る私とはナニモノか…?


kae05.gif 急に難しい話になったわね…。 でも興味深いかも。 あんまりそんな事を考えて料理をしたことはないなぁ。


shoyo01.gif まぁ、急ぐことはありません。 まずは、こういった視点を持ちながら料理を実際に作ってみることですね。


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 ・・・・・・・・・。




禅僧の知恵袋
【 甘辛だし 】
  野菜を煮る時は、ダシに色んな味をつけて煮ます。 最初にダシを作ってそこに野菜を投入するのは、少し横着なやり方です。 薄味で品のある煮物を作るには、野菜から出る甘味や旨みを確かめた上で煮ながら味付けをしていきます。 私の経験では、野菜にしっかりと味を付けたい場合、これはあまり関係ありません。
 この甘辛だしの味は、「おばあちゃんのぽたぽた焼き」の醤油味をイメージしてください。
 とりあえずここでは、200ml 程度の分量を作るための目安を記しておきます。
 「精進だし…150ml、 濃口醤油…大さじ2、 みりん…大さじ3、 塩…小さじ1」 を、ひと煮立ちさせます。
 焼き豆腐やジャガイモなどの淡白な野菜に味を付けるときや、飛竜頭の具など、様々なところで利用できます。
 

【 八方だし 】
 四方八方で使えるところから、「 八方だし 」 と呼ばれる万能なダシです。
 とりあえずここでは、200ml 程度の分量を作るための目安を記しておきます。
 「 精進だし…150ml、 薄口醤油…大さじ2、 煮きりみりん…大さじ1、塩…小さじ1 」 を、ひと煮立ちさせます。
 生湯葉の刺身にかけたり、網焼きした椎茸の上に大根おろしをのせて、そこにかけたりなど、何にでも使えます。 煮る用のダシというよりは、あんかけなどに使う方が私好みです。

2006年1月25日

shoyo01.gif まさに今が旬の大根。 永平寺では冬の間に大根の沢庵を漬け込みます。 1年で 1万2千本もの大根を漬けます。 そうして出来た沢庵は毎日 30本程度ずつ消費されます。
 他の修行僧よりも 2時間も早く起きて 30本もの沢庵を1時間で切るのです。 しかも、向こう側が透ける程度の薄さで切るのです。 あぁ、色々思い出してきたぁ…。
  と、私にとっても思い出深い食材の大根ですが、今回は揚げちゃいます!!


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【レシピ】 <2人分>
・大根…3cm
・梅肉…中2個
・わさび…梅肉と同量
・柚子胡椒…少々

【 作り方 】  出来上がりTIME 15分
daikonnage.JPG (1) 大根を15㎜程度の厚さで輪切りにし、両面に格子状に隠し包丁を入れる。
 (2) (1)を160度の油できつね色になるまでじっくりと素揚げする。
 (3) (2)をまな板の上で半分にし、皿に盛りつけた後、煎った白ゴマをふりかけ、片方に叩いた梅肉とわさびを混ぜた 「梅にうぐいす」 を添え、もう片方には柚子胡椒を添える。


daikonnkiru.JPG作り方のポイント
・ 大根を油で揚げる場合は、辛みのある白い部分を使うと良いです。
・ 揚げたては固くても、余熱で中まで柔らかくなるので、きつね色に色づいた段階で引き上げます。


ひとこと
shoyo01.gif ・わさびと梅肉を混ぜた 「梅にうぐいす」 は、緑色と赤色が軽く混ざる程度にした方が見栄えが良くなります。 混ぜすぎは、厳禁!!
 ・今回は大根をそのままの状態で使用しましたが、輪切りにした後、大陽で半日干してから揚げると甘味が凝縮されます。 是非試してみてください。



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 吉村さん!! この 「梅にうぐいす」 は、最高ですね。 感動しましたよ。


shoyo04.gif そうでしょ。 自然の甘味の大根と梅とワサビですっきりとした味わいになるんですよね。
 色んな料理に添えても美味しいと思いますよ。


kae01.gif 大根のステーキみたいなのかと思ったのだけど、違う味わいよね。 ソテーと揚げるのとだとやっぱり違うんだぁ~。


shoyo01.gif 大根のステーキですか? ステーキの場合は一度米の研ぎ汁で煮た後に醤油が強めのだし汁で煮て、最後に胡麻油で両面焼きますよね。 それも絶対に美味いよなぁ~。


kaku01.gif 下味がない状態で揚げるから、大根の味がストレートに出てますよね。 そして、この 「梅にうぐいす」 が、また…。


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 柚子胡椒も合うわよね。


shoyo01.gif 確かに合う。 市販の柚子胡椒でも良いですが、柚子胡椒って自分でも作れるんですよね。 しかも精進料理ですし。 今回のはKAKUさんの御手製ですから、一味違いますね。


kaku05.gif そうでしょ!! それよりも皆さん、柚子胡椒って胡椒が入っていないって知ってました?
 青唐辛子と柚子と塩なんですよ。 ふふふ。


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 あ、あわわわわ…!!

生活そのものが修行であるとする曹洞宗の大本山永平寺では、修行僧が料理を作ります。料理を作ることも、食べることも、坐禅をすることと同様に仏道修行そのものなのです。 その永平寺で本場の精進料理と出会った吉村昇洋が、分かりやすく且ついい感じに、精進料理とその背景を紹介していきます。 見やすく分かりやすいレシピ付き!
吉村昇洋
広島の曹洞宗寺院副住職。 1977年生まれ。駒沢大学大学院仏教学専攻修士課程修了後、学問の世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送り、現在に至る。