無理やり引っ張り上げた湯
ここ2,3年、掘削技術が近年どんどん発達してきたので、
都内近辺では源泉掛け流しのスパ温泉がドンドン出来てきてます。
昔だったら、
「温泉脈があるところを見つけて、温泉を掘り当てて、一山当てるぞぉ」
っていう話も聞いたものですが、
今では1000mを超える大深度ボーリングが可能になってきて、
「お金をかけて、深く掘れば、この日本、どこでも熱い湯が出る」
という世になってきました。

全世界の陸地地表を平均すると、
100m掘削するごとに3℃上昇するらしいので、
深く掘ればどこでも大体、熱い湯が出るとのことです。
ですから昨今、
大資本を持ってる企業とかが千メートル以上深く掘って
温泉を出してるという状況がドンドン出てきてます。
で、ここで問題なのは、
深く掘って湯脈に到達したとしても、
実は掘っただけでは温泉は湧き出てこないということです。
いわゆる昔からの温泉地で、湯脈があるような所なら、
ちょっと掘れば自然にあふれ出してきたという事例があるでしょうけど、
そうじゃないんです。
いわゆる「動力楊湯」と呼ばれるもので、
エアポンプを使って動力で地中から温泉を引き上げてるわけなんです。
よく「何千メートルから湧き出した湯」とか書いてありますが、
実際は湧き出てるんじゃなくて、
「何千メートルの底から無理やり引っ張り上げた湯」なのです。
火山じゃないんだから、
何千メートルも底から湯が吹き出だすってことじゃないんですね。
逆にそんなのあったら噴火なので、怖いですよね。
ですから、昨今できてる都内近郊温泉は、
大体が「掘削動力楊湯温泉」なんですよ。
「温泉を掘る」などということが言われるようになって来たのは、
明治時代の末ぐらいから
「温泉の脈があるところを見つけて掘ったら、ドバーっと温泉が出てくるぞぉ」
というのが分かり始めて、
「温泉一発掘り当てるぅ」というのが始まったんです。
これがいわゆる「掘削自噴温泉」ですね。
地上まで自然に湧出はしてないが、地下にある湯脈まで掘ってあるので、
自然に湧き出てくるという温泉ですね。
だいたい深さ400mぐらいまでなら自噴するらしいです。
鉱山を掘っていたら、たまたま湯脈に出くわし、
湧き出してきたなどという話もあるらしいですよ。
侮れない都内のスパ
それが、この近代化やバブル時代の温泉宿の乱立で、
「もっと深く掘れば熱い湯が出る」的なことがわかってきて、
旅館やスパ温泉はドンドンと掘り出して、で今日に至るわけです。
その結果ここ数年、新たに掘削したスパ温泉でも
源泉掛け流しの所が、都内近辺でもドンドン出来始めているわけです。

で、僕も実際、こういう新興スパ掛け流し温泉に訪れるわけですが、
これが入ってみると、なかなか侮れないいい湯なのですよ。
もちろん循環もしてないし、
掛け流しだから塩素消毒をする必要もほとんどなく、
新鮮な湯が味わえるんです。
入浴後のプールっぽいほのかな塩素臭もしないんです。
(あの香りはまた銭湯っぽさがあって
それはそれで郷愁を起こさせて、いいんですけどね)
ですからこれからも、
2,000m近く掘って、いちおう本物温泉を動力楊湯した
源泉掛け流しスパ温泉が、増える傾向にあると思います。
それも都市から若干離れたぐらいの気軽に行ける距離の所に。
僕のような温泉好きには、近場でいい湯に入れるようになって、
ほんとうれしい限りです。
しかし、ここであえて言いましょう。
もう新たな温泉を掘るのはやめたほうが良いんじゃないか、と。
もう温泉を掘るのはやめよう
2005年2月10日、
東京都北区浮間1丁目(北赤羽付近)の温泉掘削工事現場で、
地中から天然ガスが噴き出して引火したのは、記憶に新しいと思います。
ネットでも動画が見れますが、
http://bbnews.jp/archives/2005/02/11/020401.html
かなり火が吹きまくって、怖いですよ。
実は、千葉県の北部、
南関東ガス田と呼ばれる天然ガスが出る地域では、
今でも畑の横からガスがプウプウと出てたりするんです。
北赤羽の事故はまさにそういう、
「湯脈」ではなく「油脈」を無造作に掘ってしまって、
なっちゃった事故といえるでしょう。
今年、東京都は
「個人向けのマンション等に使用する新規に掘削する温泉の数を規制する」と
温泉掘削規制を決めました。
「東京都内の温泉付きマンション」なども出来てたりするんですけど、
東京都も「地下水の枯渇や地盤沈下などが懸念される」ということで、
掘削規制が決まったわけです。
どう考えても、この先、地中を掘りまくっていったら、地盤沈下や、それこそ、
怖いけど地震にも影響してくるんじゃないかと思うんです。