2008年3月21日、六本木で「チベット武力弾圧に対する中国大使館前アピール&周辺デモ」が行われた。インターネットを中心とした呼びかけに900人(主催者発表では2000人以上、NHKでは1500人)が集まり、集会の行われた三河台公園から休日でにぎわう六本木通りを二キロほどのデモ行進が行われた。今回のデモに参加した在日して9年になるチベット人の方に、チベットへの想い、日本の仏教徒への想いを伺った。
ーーーチベット人にとって、仏教とはどのようなものなのでしょうか。
チベット人としては、文化にしてもなんにしても、とにかく仏教しかない。チベットは経済力もないし、なにもないけど、チベット人は精神的に豊か。それはなぜかというと、チベット仏教のおかげ。いま世界中でチベット仏教がダライラマ法王のおかげで広がっています。チベット人にとってチベット仏教はなによりも自慢。
ーーー2008年でダライラマ法王が亡命して49年になります。あと1年で50年という節目迎えるわけですが、それを目前にしてどのように感じてらっしゃいますか?
この50年はチベット人にとって嬉しい50年じゃないんですね。ほんとに悲しい50年。亡命社会になって、私も亡命社会に生まれたんです。ある面では良いかもしれませんが、ある面では悪い。国を見たことがないし、今年で49年、来年でもう50年になるのに、まだチベット人は世界の色んな国をブラブラしている。
私たちはほんとうにダライラマ法王やインド政府のおかげで、自分の学校を作ったり、お寺を造ったり、自分の宗教をちゃんと守っています。それをちゃんと今でも守って、うちらも亡命社会に生まれて教育してもらって、世界の人と負けないくらい教育をしてもらっている。けど、今チベットの中には、教育の自由、宗教の自由はないんです。デモで訴えたように、ほんとに自由がないんです。
50年というと、人間の人生で考えればほんと長い時間。日本人は寿命が長いけれど、チベット人の寿命はだいたい65年です。65歳でほぼ亡くなる。50年前に生まれた人は、あと15年しか生きられない。50年間亡命政府とともに難民として生きてきた。すごい悲しい。うちらにはまだ未来があって、これからチベットは独立できるんじゃないかという楽しみがありますが、彼らはなにも言えない。50年というのは結構重い。
ーーー同じ仏教徒が無惨に殺されているこの現状に対して日本の仏教徒も声を上げなければいけないと思います。日本の仏教徒に、チベットの仏教徒として伝えたいことはどんなことでしょうか?
ああ、それ確かにあります。日本は仏教国で、チベットも仏教国なんですね。いまお坊さんが暴れているみたいに報道されていますが、ほんとは中国政府が暴力をなぐって、それからお坊さんたちが活動に入った。そこから始まった。
日本の政府よりも、仏教の団体に伝えたい。同じ仏教徒です。仏教徒として、仏教徒の気持ちをわかって欲しい。日本の政府があまり強いことを言えないのもわかります。それは現実。それはわかります。日本のなかにも日本政府を動かすことができるのは、仏教団体だと思います、わたしは。
日本はチベットと同じ仏教です。日本の仏教は中国を回ってきただけで、基本は同じ仏教です。だから仏教徒同志助け合うことはすごく大事です。イラクはイスラム教ですが、お互いイスラム教で結ばれている。キリスト教もキリスト教同志つながりはすごく強い。けど、仏教はそれがまだないんです。日本の仏教徒にもすごく応援してもらいたいんですね。韓国の仏教徒もそこまでではないですが、日本よりは応援してくれている気がします。
日本の政府にチベットを助けてください、と言える団体としては仏教団体じゃないかと思います。同じ仏教団体として認めてあげましょう、と。いま日本ですごいなと思うのは、中国は日本にダライラマ法王を入国させないでくれというけれど、毎年いらっしゃいます。日本は仏教の名前において、ダライラマ法王を招待できる。すごい力をもっているんです。その力をそこまで出していないことはすごく悲しいけど、事実もわかっています。しょうがない部分もわかっています。
ーーー今後チベットはどのようになっていくと思われますか?
チベット人はダライラマ法王に従っていくので、独立よりも自治を求めていくつもりです。外交は中国に任せますが、内部は全部自分でやります、と。それだけ与えてくれればほんとにいいんですよ。とりあえず、中国の上の方が、ダライラマ法王ととにかく会話して欲しい。世界中が待っているんだけど、中国が相手にしてくれない。だから今なによりも願っているのは、ダライラマ法王と対話して欲しいと思っています。
独立を認めろとか、そこまではできない。経済力でも中国から手伝ってもらっていることはほんとうにあるんです。けど、インフラを作ってもらっても、やっぱり人権がないんじゃ意味がないじゃないですか。インフラを作ってくれたり、鉄道を造ってくれたことは、ありがとうございます。けどじゃあ、人権を与えてください。それで最後です。でも、それはない。全部自分の利益のためにやっている。漢民族をガンガン入れて、商売させて。ほんとチベット人は最悪(な状況)。店のなかにチベット人入ったらダメだよ、そういうことをしている。イギリスがインドを侵略するとき、同じく「犬とインド人は入るべからず」と書いた。同じ事を中国はやっている。これほんとにいけないです。全部自分の利益のためにもらっている。彼らは大事なウランとか(をチベットから)もらっている。チベットの財産は全部中国政府が持って行って何もない。人権もないし、国の資源もなくなった。ほんとにからっぽ。なんにもない。でも、なによりも人権が必要。日本みたいに独立しなくても、とりあえずチベットに自由をください。自分の政府は自分で守りますから。それを願っています。
ーーー同じ仏教徒の苦しみを少しでも日本の仏教徒に伝えていきたいと思います。お話ありがとうございました!
■関連記事
□ラサの悲鳴(日々是好日)
□チベットの首都ラサで今何が起きているのか(日々是好日)
□Youtubeで知るチベット問題まとめ(仏教2.0的ニュースコラム)
□チベットへの暴力的弾圧を許すな! 22日六本木、23日大阪で中国大使館への抗議デモ開催(仏教2.0的ニュースコラム):
■関連URL
□ダライ・ラマ法王日本代表部事務所:チベット亡命政府の公式サイト。最新のチベット情報も。
□チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン:今回のデモの主催者。
□TSNJ Blog:上記団体のブログ。メーリングリストで今後の活動の配信などもされる。
□『世界最年少の政治囚』パンチェン・ラマ11世救出キャンペーン:ダライラマ法王によって6歳で生まれ変わりと認定された3日後、中国政府によって連行され今なお行方知れずとなったパンチェンラマの解放を求める運動のウェブサイト。
コメント (5)
はじめまして。
日本の仏教徒も声をあげなければいけないと思います。
日本にもたくさんのお寺があるのに、なぜお坊さんたちは何も言わずに傍観しているのでしょうか。
文化遺産を守っていけばそれでいいとでも思っているのでしょうか。
オウム真理教が世間を騒がせた時も、日本のお坊さんは特に何もしていなっかったように思います。
今回も何もしないのでしょうか。
何もしなければ、恥かしいことだと思います。
ミャンマーの時も感じましたが、お坊さんがデモに参加するということは、現在のチベットが危機的状況にあるということだと思います。
そういう状況にあるのに、対岸の火事とばかりに傍観するのでしょうか。
やみくもに中国政府を非難するのではなく、仏教徒ならば仏教徒らしい意見の通し方があるはずです。
慈悲喜捨の心で接すれば、解決の糸口はかならず見つかると思います。
あんな風にチベットの人々を弾圧していたら、中国の幸福な発展など無理でしょう。
環境破壊や貧富の格差など、すでに不幸なひずみは大きくでてきていますが、それ以上のひずみが出るような気がします。
チベットのためにも、中国のためにも、日本の仏教徒が今こそ声をあげなければいけないと思います。
投稿者: ぼーと部 | 2008年3月25日 01:38
日時: 2008年3月25日 01:38
先日は大変お世話になりました。
日光修験道の山口です。
デモの後もチベットでの人民蜂起が活発になっており、ただこれを対岸の火事とみることは出来ないものと改めて感じました。
現在、各宗門は中国と人的経済的交流があり、なかなか抗議の声を上げにくいものと思いますが、
怒りの声を上げることが慈悲がないのではなく、無関心を決め込みつつ、場の空気を読んでいることこそ無慈悲なのではないでしょうか。
私の宗門では今回の事件に対して、ホームページ上で中国政府に向け以下の抗議文を掲載しております。
【 チベット弾圧に対する憤りと抗議 】
私たち日光修験道は、中華人民共和国の暴虐行為、殺人行為、民族と文化の抹殺行為、宗教破壊行為等に対して、甚深なる憤りをおぼえ、ここに強く抗議するものである。
中国は、この度のチベット弾圧事件で、その歴史的傲慢さを露呈した。自ら独立前に受けた中国人民の苦しみを忘れてしまっている。現中国政府が他民族を虐待することは、まさに独裁、拝金、覇権主義国家であることを示している。その主張と行為は、厚顔無恥以外の何ものでもない。
このような思考の指導者集団である中国共産党政府に、次の四か条をもって、断固抗議し、懺悔の機会を与えるものである。
1.直ちに理性をもって、自制的行為を執るべきである。
2.外国のジャーナリズムによる公正な報道を受け入れるべきである。
3.強制的に連行、捕縛した全ての人々を、すみやかに解放すべきである。
4.直ちに侵略を認め、チベット人民に謝罪し、速やかにその独立を認めるべきである。
人民と天命、因果は常に権力が恐れるべきものである。中国政府は恥を知り、その愚昧な政策を改めよ。
2008年3月20日
日光修験道 法頭正大先達 伊矢野慈峰
今後も、チベット人民の自由と解放のため、ささかながら活動してゆく所存です。
合掌
投稿者: 山口 峰隆 | 2008年3月26日 18:56
日時: 2008年3月26日 18:56
あのページにはコメント欄が無かったから(当然か)ここに書き込ませてもらいます。私の不精と無知によるものですが、宗教にかぎらず某かの日本の団体でチベットでの出来事に関してまっとうな意見を述べているのはあのページぐらいしか知りません。私には権力もコネも金も行動力も無い為コメントするくらいしかできませんが心の中で勝手に応援します。頑張ってくださいというのもおこがましいですが、お体にお気をつけてお過ごしください。
投稿者: ↑の山口さんへ | 2008年3月28日 03:25
日時: 2008年3月28日 03:25
>ぼーと部さま
日本の仏教徒は声を上げなければいけない、黙っていることは恥ずかしいことだというご意見、まったくその通りだと思います。
実際いくつもの団体が声を上げてはおりますが、マスコミでは取り上げてもらえていないというのが現状かと思います。
いまも確かに存在している仏教徒の声や意志を、伝えることのメディアを作らなければなりません。
>山口さま
先日は突然のお願いにお答えくださいまして、ありがとうございました。
御宗門のメッセージはあらためてご紹介させていただきます。
一つ一つの声は小さくとも、それを合わせて一つの大きな仏教徒の声としていくしかないと思います。
日本の仏教徒の声を、チベットの同胞に伝えましょう!
投稿者: yuzuki | 2008年3月28日 09:43
日時: 2008年3月28日 09:43
>ぼーと部さま
お気遣いありがとうございます。
私も普段は市井の一般人に混じって生活しており、
お金も力もありません。
ですが、次の二つ抗議活動を行っております。
1・チベットの同胞のために神仏に祈ること
2・買い物の時に出来るだけ国産商品を選び、間接的に不買運動をすること
特に仏教徒として「祈る」ことの重要性を強調したいと思います。
チベットの同胞の苦しみを自身の苦しみと感じ、祈ることは
同体慈悲を養う修行となります。
お互いに励みましょう。
合掌
>yuzukiさま
私の拙い一文を掲載して頂いて有り難く思います。
私の宗門を取り上げて頂けるとのことで感激しております。
マスコミは中国市場への欲ぼけのためか
今回の蜂起を軽視しています。
大きな声としてとりあげられませんが、
一般の大衆は内心そのことの意味を理解していると思います。
チベットの同胞の苦しみの叫びに答えて、
今こそ自身の内なる仏の声を上げるべきでしょう。
話は変わりますが、
今晩のタモリクラブ、楽しみに拝見いたしますww
合掌 峰隆
投稿者: 山口 峰隆 | 2008年3月28日 14:26
日時: 2008年3月28日 14:26