それぞれの人には身体も意識もひとつしかないので、一人の人が一つの瞬間に複数のことを行うことはできませんし、いくつものことを同時に考えることはできません。そのうえ与えられた時間も増やすことはできませんから、人が振り分けられるアテンションの総量には決まった限度があります。向ける対象が増えればそれだけそれぞれに配分できるアテンションの量は減少します。
身の回りにメディアが濫立して情報があふれる今は、自分自身でアテンションをコントロールするように気をつけないと、どんどん向ける必要のない対象にアテンションが無駄遣いされて、できる仕事が減っていきます。しかし逆に、それさえしっかりできていれば、複雑化するように見える現代社会のありさまに惑わされず、けっこうシンプルにやっていけるのではないかという気がします。
人間が大事にすべき基本的な要素というのはずっと昔に出尽くしてしまっているのだと思います。どうでもいいことをどうでもいいと判断する力が今の私には必要なのだと、身の回りの情報を眺めていて思いました。(松本圭介)