香川から来客があり、浅草でどぜう(どじょう)が食べたいということで、近くのどぜう屋さんに行ってきました。小さい頃、お寺の勝手口を出ると目に入った「どぜう」の看板。何だかわからず親に聞いた時、好き嫌いのきわめて多い父は
「あんなの食うもんじゃねぇ!」と言ったきり。以来どじょうの味を知らないまま大人になりました。浅草には当時スッポンやマムシ、ハブなどを扱うお店もあり、父にとってはどちらも「ゲテモノ」とひとくくりになっていたのです。
大人になって初めて暖簾をくぐったどぜう屋さん。小さいときの父の話が思い浮かび一瞬ためらいましたが、かくしゃくとした女将さんの笑顔に背中を押され、初めて口にしたどぜう。今でもその感動を覚えています。甘辛いたれの中に、わんさかと入っているどぜう。どぜうの骨は口の中でちょっと邪魔に感じるのですが、ざく切りのネギと一緒に食べると、不思議。ネギのざくざくとした歯ごたえに隠れて、どぜうの骨も全く気になりません。
殺生をして命を頂く以上、どんな無駄も出したくはない。そう考える僕にとって、骨も内臓も丸ごと食べるどぜうの丸鍋は、殺生をしながらも感謝をさせてもらえる一皿です。