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2008年7月 アーカイブ

2008年7月30日

 おなじみ、『江戸のお寺 浮世草子』の「九章八話 御師の業務」が更新となっています。江戸時代に隆盛を誇った大山講。その篤い信仰を支えたのは、御師(おし)と呼ばれる人々の地道な営業努力、だったようです。

 毎年大山のあたりにある八菅神社(はすげじんじゃ)というところで、火渡護摩を修行しています。山伏の装束を身にまとい、山の中腹に設けられた祭壇で護摩を焚き、その火を裸足でわたるものです。参拝者の方々も火渡に参加することができ、毎年千人以上の方が訪れています。

 いまではお坊さんでも、お寺と神社は相容れないもの、という感覚が当たり前のようですが、明治の初めまでお寺と神社とは表裏一体のものでした。僧侶が神主を勤めたり、ご神体に仏像を祀っていたりしたものです。あの有名な鎌倉の鶴岡八幡宮も、その昔は「鎌倉八幡宮”寺”」と呼ばれる、立派なお寺でした。

 江戸の人々の篤い信仰心の背景には、日本人の心の奥底からわき上がってくる自然な崇敬の心があるような気がします。「ここは○○だから」とか「わたしたちは××だから」とか、理性や論理の整合性ばかりにこだわる社会からは、それは産まれてこないと思うのです。

2008年7月29日
mare06_01.jpg ここ何年かですっかり定着した感のあるフリーペーパー。雑誌が売れない時代になり、まず手にとってもらわないことにはどうにもならない、ということなのでしょうか。昔はフリーペーパーといったら、どれもたいした内容ではなかったのですが、いまや無料とはいえ、どれも普通の雑誌に引けを取らないクオリティ。

 見かけるたびに、無料だからと気軽に手にとってみるのですが、普通なら絶対に読むことのないような記事に出会ったりして、嬉しいものです。

 お寺こそ、そうした出会いに相応しい場所と思い、このところいくつかフリーペーパーを設置し始めました。1つは、地元サッカーチームが出している『MARE』。もう1つは、早稲田文学という文芸誌の発行するフリーペーパー『WB』です。

 「出会い」が生まれるというのは、ある場所が「生きている」かどうかの1つの条件だと思うのですが、どうしたらそんなお寺でありうるか。色々試してみたいと思っています。

2008年7月28日

 おはようございます、今週一週間彼岸寺の輪番を務めさせていただくyuzukiこと、松下弓月です。いつもはおもに時事の担当として、仏教関連のニュース記事を書かせていただいております。

 ニュース担当ということもあり情報収集が毎日の日課となっているのですが、そのときに一番参考にしているのが、おもに独立系ニュースサイトです。新聞社やテレビといった大手マスコミのニュースサイトと比べて、ある程度特定されたジャンルについて専門的なニュースが掲載されているものです。よく見ているものだと、コンピューターやテクノロジー関係の「WIRED VISON」、Jリーグ情報満載の「J's GOAL」でしょうか。どちらも仏教とまったく関係ないですね…。

 というのも、ありとあらゆる分野のニュースサイトがウェブにはありますが、仏教となるとほとんどないのが実情です。近頃また仏教ブームと言われ、仏教やお寺に興味を持つ方が増たり、イベントや写経会などを開催する「開かれた」お寺も増えているにも関わらず。

 それなのに、その間をつなげる存在がない。だから、両者をつなげられるサイトを作りたい。そんな気持ちでやっております。

 彼岸寺を通して、みなさまにご縁を結んでいただければ幸いです。

2008年7月27日

 うちには2歳になる娘がいます。最近お気に入りなのが、寝室で娘が妻と遊んでいると思うと、ととと・・・と私のほうに歩いてきて「だっこ!ママのところいく!」と言うのです。たった今までママのところにいたんだから、何でわざわざと思うのは大人の理屈。きっと大人にはわからない大きな理由があるのでしょう。
 先日、読売新聞に小池龍之介さんの記事が載っていました。小池さんは新進気鋭の仏教作家として注目されている方で、彼の処女作である「『自分』から自由になる沈黙入門」は、すでに10万部を超す売り上げを記録しています。本の中で小池さんは、「飄々体」と名付けた古文に似せた読みにくい文体を使ったといいます。すらすらと読みやすい文章が蔓延する現代の出版物の中で、あえて「読みづらい」本を書くことは、同じ情報量を伝えるにも多分な無駄を含むことになる。無駄があるからこそ、読んでいる途中で立ち止まって文章を自分の中で咀嚼する余裕が生まれる。無駄の多い文体は小池さんなりの仏教的な生き方の提案だと記事にはまとめられていました。
 普段、できるだけ無駄を省いて最小の労力で物事を終えようと考えがちな僕に、この二つの出来事はいったん立ち止まって考える時間を思い出させてくれました。

2008年7月26日

 八王子でも通り魔事件がありました。こういったニュースが流れるたびに胸が痛くなります。 先日秋葉原に出かける用があり、献花台でお経をあげてきました。ふと献花台を見ると、誰が置いたのか中央に小さな般若心経が置いてありました。
 僕が短いお経をあげている数分の間に、道行く人がその小さな般若心経を手に取りお経をあげ出しました。一人がお経をあげ終わり献花台に戻すと、すぐに次の人が手に取ります。結局僕がいる間に、数人の方がその般若心経の経本を手に取り、お経をあげていきました。
 その方々は僕のようにお経をあげる習慣があるわけではないと思うのですが、それでも、事件があったことを知って献花台の前を通るときには手を合せ、同じようにお経の本を手に取り、お経をあげる。おそらくそこにあったのが般若心経でなく他のお経でもやはり手に取ったと思います。そこには、宗派にこだわって自分の宗派以外のお経をあげることを快く思わない仏教界とは違い、純粋に被害者に対する哀悼・追悼の思いを表す方法の一つとしてのお経があるように感じました。
 チベットの時にも同じことを感じたのですが、こういった多くの人がもつ純粋な思いを受け止め、伝えることが宗教者としての務めなのではないかと感じます。

なお、設置予定期間は犠牲者の四十九日にあたる7月27日まで。

2008年7月25日

 クリスチャンの方にはバイブルという存在がありますが、私たちお坊さんにもバイブルがあります。何を持って聖典とするかは宗派によって違うのですが、僕は浄土真宗の僧侶なので、「真宗聖典」というものを持ち歩いております。聖典の中には浄土三部経といわれるお経や、親鸞聖人や過去の高僧の書いたもろもろの文章が収まっております。
 同時に料理僧として僕が料理をする時のバイブルというものも存在します。典座教訓という禅宗(曹洞宗)の開祖、道元禅師が書いた本です。禅宗では、修行僧の食事を作り整える役職のことを典座(てんぞ)と呼びますが、道元は典座のあり方を厳しく細かくこの本の中で説いております。料理をする時の心構えを忘れないように定期的に目を通す本です。
 こうやってみると、古典といわれるものには現代人である私たちに必要なエッセンスがたくさん詰まっています。日々新しく面白い本が出ていますが、たまには立ち止まって古典を読んではいかがでしょうか。

2008年7月24日

 彼岸寺の最新コンテンツ「お寺デートのススメ」の第1回、成田山編が最終回を迎えました。改めて読み返すと本当にお寺とお寺の周りはデートをするにも、遊びに行くにもいいですね。僕もこの記事を読んで成田山に行きたくなりました。特に職人技を惜しげもなく見せてくれるうなぎ屋さんに興味をそそられます。
 今では成田と言えば空港に行くことが真っ先に思い浮かぶという方も多いかもしれませんが、もともと関東の鉄道はお寺に行くために作られたようです。お寺は信仰の場と同時に門前街で遊びに行くところ、成田空港に行って海外の史跡に遊びに行く現代人の感覚とも似ているかもしれませんね。

2008年7月23日
kyuuri.jpg 『「旬」が丸ごと』という雑誌がある。食べ物系の雑誌なのですが、普通の雑誌と違うところは一冊一冊特定の食材のことのみを特集していること。  たとえば「たこ」号ならば巻頭グラビアはたこ。たこが電車に乗っているところや少年がタコを持っているところが写真に収められています。他にもたこの解剖図など理科の教科書のようなページから、たこと言えば火星人!ということでH・Gウェルズの宇宙戦争にまで話が及んでいる。とにかくたこのことについて盛りだくさんなのだ。  そんな『「旬」が丸ごと』の最新号が先日発売された。今回は「きゅうり」号。この一冊があればきゅうりのことは何でもわかるという一冊です。僕も取材に協力をして少し料理を作らせていただきました。  この時期食卓には欠かせないきゅうり。この夏、きゅうりのことをもっとよく知ってはいかがでしょうか。
2008年7月22日

 香川から来客があり、浅草でどぜう(どじょう)が食べたいということで、近くのどぜう屋さんに行ってきました。小さい頃、お寺の勝手口を出ると目に入った「どぜう」の看板。何だかわからず親に聞いた時、好き嫌いのきわめて多い父は
「あんなの食うもんじゃねぇ!」と言ったきり。以来どじょうの味を知らないまま大人になりました。浅草には当時スッポンやマムシ、ハブなどを扱うお店もあり、父にとってはどちらも「ゲテモノ」とひとくくりになっていたのです。
 大人になって初めて暖簾をくぐったどぜう屋さん。小さいときの父の話が思い浮かび一瞬ためらいましたが、かくしゃくとした女将さんの笑顔に背中を押され、初めて口にしたどぜう。今でもその感動を覚えています。甘辛いたれの中に、わんさかと入っているどぜう。どぜうの骨は口の中でちょっと邪魔に感じるのですが、ざく切りのネギと一緒に食べると、不思議。ネギのざくざくとした歯ごたえに隠れて、どぜうの骨も全く気になりません。
 殺生をして命を頂く以上、どんな無駄も出したくはない。そう考える僕にとって、骨も内臓も丸ごと食べるどぜうの丸鍋は、殺生をしながらも感謝をさせてもらえる一皿です。

2008年7月21日

 本日よりはじまりました、彼岸寺の「輪番制」。
 この一週間はKAKUが輪番として記事を書かせていただきます。どうぞよろしくお付き合いのほどを。
 僕は普段料理僧として「暗闇ごはん」などのイベントで料理を作っております。お坊さんとして料理を作る時に必ず聞かれるのが「精進料理ですか?」という質問。僕はこれにはNOと答えています。
理由はひとつ。精進料理は曹洞宗など禅宗の僧侶が修行をする際に、修行という生活の一環としていただくもので、和食や洋食というような料理のカテゴリーではないと思うから。
 だから僕は自分の料理を「仏料理(ほとけりょうり)」と呼びます。仏教者の作る仏教者のための料理。しかも、いつまでも仏蘭西料理だけに仏の字をあてられるのも、ねぇ。

2008年7月17日

お坊さんの呼び方は宗派によってもずいぶん違いがあり、なんて呼んだらいいのか分からなくて困ると言われることがあります。住職さん、和尚さん、御院さん、方丈さん、お上人さん、、、分からないときは、お寺さん、というのが間違いないかもしれません。葬儀屋さんなどからは、先生、と声をかけられることもありますが、私は何の先生でもないので、いつも違和感があります。

ところで、あまり知られていないかと思いますが、築地本願寺など浄土真宗の大きな寺院では「輪番(りんばん)」という面白い役職があります。京都の西本願寺におられる住職さんの代わりに、本山から任命されたお坊さんが「輪番」として住職の代理を勤めるというシステムになっているのです。輪番さんが交代するたびにお寺の雰囲気が変わるので、良くも悪くもお寺の新陳代謝の刺激にはなっているようです。

彼岸寺でも、この「日日是好日」コーナーに、試しに来週から輪番制を導入してみたいと思います。私、松本と、KAKU、yuzuki氏での1週間交代の短い輪番制ですが、しばしお付き合いいただければ幸いです。

2008年7月14日

皆さま、お待たせしました(と、日本語で書いても意味ないかもしれませんが)、彼岸寺の英語版がオープンです。日本語版のほうはほとんど変化ありませんが、一点、サイトの右上に「日本語/English」ボタンが登場しました。クリックすると、英語版にジャンプします。

内容については、日本語版をそのまま翻訳したものはなく、すべて一から新しく作っています。まだまだコンテンツは少ないですが、これから充実させて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、英語版のウェブマスターは禅僧「Seigaku」君が担当しますが、肝心の本人がヨーロッパへ禅の修行に出かけてしまいました。もしかしたら修行の合間を見て記事をアップしてくれるかもしれませんので、便りを楽しみに待ちます。

2008年7月11日

彼岸寺の英語版が公開目前まで来ました(と言って、製作メンバーのお尻を叩いてみます)。私も頑張って記事を書いてみようと思うのですが、いざ書きはじめると、なかなか筆が進みません。特にこのサイトでは日本文化や仏教文化に関する記事が多いので、日頃当たり前に使っている単純な日本語を、英語ではどうやって言うのか分からなかったりして、苦労します。

たとえば「合掌する」とか、日本語では一言ですが、英語にちょうどこれに当てはまる動詞はありません。それなら「両手を合わせる」と言い換えれば済むのかと言えば、何か大事な心の部分が抜けているような気がするし、、、参考の英文などを見ると「join one's hands in prayer」というものもあれば、「Gassho」と、日本語をそのまま英語にしてしまったものもあります。きっと皆さん、翻訳に悩まれているんでしょうね。

もう少しで公開いたします。どうぞお楽しみに。

2008年7月 8日

サミットが開幕しました。今回の開催地は私のふるさとの北海道ということで嬉しくもあるのですが、もしもテロなどが起こったらどうしようと、少し心配でもあります。会場となったウィンザーホテルは前を見ても後ろをみても湖と海の景色が広がる絶景が売り物です。ドライブがてら見物に立ち寄ったことがありますが、怖いくらい素晴らしい景色でした。よい眺めをみて「みんなで環境を守ろう」と団結してくれればいいですが、かえって「地球はまだまだ大丈夫」と思って開発路線に流れてしまわないようにして欲しいものです。

「江戸のお寺 浮世草子」が更新です。いつの時代も人が集まるところに商売あり、ということでしょう。東京には「広小路」という地名がありますが、その由来も明らかになりました。

2008年7月 7日

雨ですね。朝起きると、ものすごく蒸し暑くて、汗びっしょりでした。今日の東京は大雨なので、浸水に注意したほうがよいというニュースを見ました。私は隅田川沿いの古いマンションに住んでいるのですが、少し心配です。

さて現在、彼岸寺の英語版を作る作業を進めています。日本語版を英語に翻訳するというかたちではなく、まったく別のコンテンツが動いていきます。近日中に公開できると思いますので、そちらもまたよろしくお願いします。

2008年7月 3日

彼岸寺に新しい連載が加わりました。「平成・お寺デートのススメ」と題し、お寺の一人娘のmocoさんと、ぜんぜんお寺とは関係ない彼氏が関東のお寺をデートして回り、あわよくば彼氏にお寺に興味を持ってもらってお寺に入る気を起こしてもらおうという、かなりマニアックな設定になっています。関東日帰り圏内にも意外にたくさん見所のあるお寺があるんですが、そのガイドとしても皆さんに活用していただけたら幸いです。

ジッポウ6さて、サミットを控えた今、中国ーチベットの非公式協議が2日間の日程を終えました。引き続き協議が開催されることは確認されたようですが、果たして今回の協議は実りのあるものだったのでしょうか。チベット問題がサミットで話題に上るかどうかというのも、これから注目されるところです。チベット問題について理解を深めたい方は、今発売中の『ジッポウ6』のチベット特集が歴史や宗教や政治などあらゆる側面から分かりやすく読めると思いますので、ぜひどうぞ。

彼岸寺周辺で起こっているさまざまな出来事を、彼岸寺の僧侶たちがみなさんにご紹介します。