以上、13話にわたり高尾講について見てきました。
講中の分布については、そのお寺の特徴が出てくるわけですが、講中が結成される背景は、どのお寺も同じようなものでした。ですが、高尾山特有のものとしては杉苗の奉納があります。
高尾講に限りませんが、ご利益を受けた信者は高尾山にお礼参りをします。その折には、金品などのお布施を持参するのですが、杉苗奉納という形のお布施もありました。杉苗を高尾山に植えることで、お礼の気持ちを表したのです。
高尾山の参道には、杉の巨大な古木が立ち並んでいます。その多くは、高尾山の信者により奉納された杉苗が育ったものなのです。現在では杉苗の代わりに現金を納め、高尾山からは護摩札を貰い受けることになっています。
毎年4月の第3日曜日に執り行われる高尾山の春期大祭では、坊の入口に「お花」が飾り付けられます。以前は、4月21日に執り行われていました。「山開き」の日だったからです。この日を境に、講中の登拝がはじまります。
大祭に先立って、「お花」を高尾山にあげるのですが、それを担っているのが、「栄久お花講」です。八王子消防記念会が運営しています。
栄久お花講は、山開き以前に高尾山にあがることのできる唯一の講中でしたが、元々は吉原の鳶職人で結成された講中でした。
しかし、天保年間(1831~1845)に吉原の鳶職では手に負えなくなりました。その後、八王子の鳶職が引き継いで、現在に至っています。こんなところにも、江戸以来の高尾講の名残りを見付けることができます。