高尾山に残された檀家関係の資料のうち、「永代日護摩家名記」(えいたいひごまかめいき)という帳簿から見ていきます。
この帳簿は護摩檀家への加入者を記録したものなのですが、護摩檀家とは一体何でしょう。
お寺の檀家と言うと、そのお寺にお墓があるというイメージがあります。実際、そうなのですが、ちなみに辞書を引いてみると、「一定の寺院に属し、これに布施をする俗家」という意味が出てきます。
檀那という言葉もあります。「仏家が財物を施与する信者を呼ぶ言葉。施主。檀越。檀家」という意味です。同じような意味であるわけですが、要するに、語義からすれば、お墓があるかどうかが檀家・檀那である絶対条件というわけではないでしょう。もちろん、一人、一家族で一つのお寺の檀家・檀那という事例が大半なのでしょうが、複数のお寺の檀家・檀那であっても、別に問題はなかったはずです。
高尾山にも檀家は大勢いましたが、ここで言う護摩檀家とは、高尾山に永代護摩供養料を納めた者のことです。帳簿を見ると、名前の横に、加入の年次と居住地が記されています。つまり、そのデータを集計することで、高尾山の支持基盤が見えてくるというわけなのです。
永代護摩供養料とは、どれくらいの価格なのでしょうか。
その額は金2分です。金4分で1両なので、1両の半分ということになりますが、1両は現在の貨幣価値に換算すると、どれくらいになるのでしょう。
これはたいへん難しい問題で、時代によって全く違います。1両と言っても、物価の上昇により、購入できるモノは限られるのですが、1両10万円という換算方法がよく取られますので、10万円とすると5万円ということになります。5万円払えば、高尾山から永久に護摩の御札をいただけるというわけなのです。御札と言っても、木ではなく紙なのでしょうか。
安いのか高いのか、一概には言えません。ですが、5万円納められるのは、ある程度の経済力がある者に限られるでしょう。金2分を納めて、高尾山の護摩檀家となったのはどんな人たちなのでしょう。