2007年5月14日

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江戸は人口百万人を超えるという、当時世界最大の都市でした。将軍様のお膝元ですから、江戸が政治都市であるのはもちろんですが、百万人の生活を養うための膨大な生活物資が、毎日集まって来ます。江戸は、巨大な経済都市でもありました。

江戸の旺盛な経済活動を象徴するものが3つあります。日本橋の魚市場、日本橋の芝居町、浅草寺裏手の遊廓吉原です。どれも、一日に千両のお金が落ちると言われた場所でした。朝に魚市場で千両、昼に芝居町で千両、夜に吉原で千両のお金が落ちたというのです。千両と言うと、現代の数億円にあたりますから、江戸というマーケットの巨大さがよく分かる数字と言えます。

この巨大マーケットに目を付けた人々により、江戸では様々なビジネスが生まれていました。そうしたなか、お寺も江戸市場で経営基盤の強化をはかります。江戸を地盤とするお寺だけでなく、地方のお寺も江戸に出て来て秘仏を開帳し、利益を挙げようと試みます。

江戸市場には全国のお寺が参入してきて、集客合戦に鎬を削るのですが、この連載では、お寺が様々な手法を駆使して、江戸っ子の心をつかもうとした様子を見ていきます。そこには、現代にも役立つようなアイデアがたくさん詰まっています。江戸のお寺の懐の深さも見えてくるでしょう。

こうしたお寺の活動そのものが、江戸文化をより豊かなものにしていった側面にも、合わせて目を向けていきたいと思います。

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江戸時代、お寺参りは町人たちのレジャーでした。当時世界一の人口規模を誇った観光都市江戸では、お寺がありとあらゆる工夫を凝らし、現代の広告代理店さながらの参詣客の争奪戦が繰り広げられておりました。江戸研究家の安藤優一郎が語る、お寺にまつわる江戸の人間模様。
→ブログに登場する江戸名所の地図
安藤 優一郎 / 文
1965(昭和40)年千葉県生まれ。歴史家。江戸時代を専門とする。文学博士(早稲田大学)。NHK文化センターなどで生涯学習講座の講師を勤める。著書『徳川将軍家の演出力』『観光都市江戸の誕生』(新潮新書)では寺社の経営戦略を、新刊『江戸城・大奥の秘密』(文春新書)では、大奥とお寺の深いつながりを明らかにした。
→著者公式サイト
→著者ブログ「江戸探訪記」
→著者ブログ「大江戸グルメ日記」
加藤 円正 / イラスト
昭和51年愛媛県生まれ。人口100人ほどの瀬戸内に浮かぶ島にある、お寺の住職。イラストレーション、板目木版を中心に絵を描く。妖怪と時代劇とロックンロールを好む。2005年『怪』(角川書店)「第二回怪大賞」にて京極夏彦氏より妖怪版画で京極賞を受賞。
→イラストレーター公式サイト