御師は檀家のもとに赴いて祈祷し、お土産を配るのですが、それだけが目的ではありませんでした。檀家から「初穂」と称して、米を受け取っています。
その量は様々でしたが、大体、5合ぐらいが平均だったようです。受け取った米は、従者に持たせます。つまり、「御膳籠」に入れたわけです。お土産の品がなくなる分、籠の中に米が入っていくという仕組みなのです。
1戸あたり5合としても、200戸以上となれば、1石以上ですから、相当な量でしょう。大山近隣の農村でしたら、ある程度まとまったら、宿坊まで持っていったことでしょう。遠隔の地でしたら、運送業者に頼んで宿坊まで届けてもらったのでしょう。
遠隔地に檀廻りする場合、そして檀家圏が広い場合は、全ての檀家の元を廻るわけにはいきません。そうした場合は、講元の力に頼らざるを得なかったのが実情でした。
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"九章十七話 初穂米"