2010年1月28日

哲学を学ぶうちにアジアの思想に惹かれて禅宗の道場へと導かれ、マクドナルドを経由してインターネットでの自死対策活動をはじめられた根本紹徹さん。どうして人は根本さんに話を聞いてもらいたいと思うのでしょうか? 今回は、yuzukiさんと一緒に、根本さんのアニキ的魅力について語りながら、「お寺ってなんだろう」と考えてみました。(根本紹徹さんのインタビューはこちら→

  • 根本さんがご住職をされている岐阜の大禅寺は、お寺の前に青々した田んぼ、後ろは山なんです。まさに地域の中心にあるお寺という感じでした。お盆の法要の合間を縫ってインタビューでしたので、来ておられたお檀家さんともちょっとお話したのですが「若くてやる気のあるお坊さんが来てくれてよかった」と口々におっしゃっていました。
  • 最初はご住職も長年いらっしゃらなくて、ボロボロになっていたお寺に住職として行かれたんでしたよね。一軒一軒檀家さんのお宅をまわられて、「お寺を残すか、それともこのまま無くすのか」相談されたというお話に、根本さんの人柄が現れているなぁ、と思いました。それまでそこの地域にもお寺にも縁のなかったのに、一人のお坊さんがやってきたことで、バラバラになりかけていた村がまたつながっていく。ちょっと感動的な光景ですよね。
  • 根本さんがいらっしゃったときは、お堂の柱に割り箸がぷすんと刺さるほどだったそうです。新しく立派なお堂を立て直して、落慶式と晋山式を兼ねた"お練り"をしたときのお写真を見ると、本当にみなさんの顔がうれしそうでした。お寺って「よくよく考えたら必要だな」と思われる存在なんじゃないかと思うんです。そこをきっちりお檀家さんと話し合われたからこそ、再建できたのだなぁと思いました。自殺支援にしても、お寺の再建にしても、なかなか人ができないことをまっすぐにされる方ですし、お会いする前は正直言って「すごくまじめな方なんじゃないか」と緊張してたんですよ。でも、実際にお会いすると、どちらかというと「頼りになるアニキ」みたいな方で。
  • そうですよね。私がはじめてお会いしたのは「ボーズ・ビー・アンビシャス」という若手お坊さんの勉強会の場だったんですが、根本さんのほうから近づいてきてくれて。年上だしすごい活動をされている方なので、どう接したらいいかわからなかったので、すごくありがたかったですね。同じ相談活動をされているからか、ちょっと今城さんとも通じるようなところがある気がしますね。兄貴!って感じで(笑)
  • そうそう、ふたりとも"アニキ"ですね。なんか、話を聞いてもらいたくなる何かがあるんですよねぇ。「聴く」という態度で向き合ってくださる安心感があるのはもちろんですが、どちらかというと「こういう人に聴いてほしい」という思わせる人間的な厚みがあるからなんじゃないかなと思います。人生の軌跡を見ても、ひとつひとつのエピソードでキャラが立っているというか。
  • まったくですね。僧堂修行を終えて社会勉強をするためにファストフードにバイトの応募をしにいくとか、根本さんにしかできない! モッくん主演で映画化された『ファンシィダンス』の主人公も、お山の修行を終えたあとしばらくビル清掃のバイトをしたりしていましたが、僧堂とバイトのどこに一貫した道を見出すのか聞いてみたいですね。私なんかは社会からドロップアウトしたいという気持ちがあってお坊さんになったので(笑)
  • ポテトを一日中あげていても、僧堂生活に比べたら...みたいな(笑)。お坊さんは、たしかに社会からドロップアウトした存在なのかもしれません。でも、そうであるからこそ、世間の中で行き詰ってしまったことについて話を聴いてもらいやすいような気もします。悩みごとって、身近な人ほど言いづらいことがありますから。
  • 「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言いますが、根本さんも「無だ、無だ」とか瞑想しながら油の熱さに負けないようにポテト揚げてたのかもしれませんね......。
  • たしかに(笑)。バイト先でも、店長さんからパート・アルバイトのスタッフまで、根本さんのところに相談をしに集まってきたという話を聴いて、そこにお坊さんがいて場を「開く」ことをしさえすれば、どこでも"お寺"が生まれるんだなぁと思いました。お寺というと、古い木造の本堂があって、広い境内があって...というイメージですけども、建物=お寺ということではないんですよね。
  • そうですね。いまいわゆる「お寺」というイメージで語られる建物も、昔は違うものだったりしたんですよね。「寺」という字がもともと意味していたは、今でいう役所のことだったようですし。現代にはいわゆるお寺らしい建物だけではなく、ごく普通のおうちを改築してお寺としての機能を持たせたものもあります。一室に御本尊をお祀りして、仏教徒が集まってお参りしたり。お寺とは、かたちではなくて仏法僧の三つが集まっているところなのかな、と思います。
  • 古いお寺には建築や空間としての素晴らしさもありますが、時代を反映するのはソフトウェアとしてのお坊さん。別に古い木造の建物じゃなくても、心がスッと安らぐ空間は作れるんじゃないかと思います。もしかしたら、青空の下でゆっくり仏さまの話をしていても、仏法僧があればそこは本来の意味での「お寺」かもしれませんね。青空寺、やっているお坊さんいないかなぁ。


※2010年1月、健康上の理由で根本さんはしばらく自死対策活動のペースをゆっくりにされています。近況などは、大禅寺のブログにてご確認ください

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「このお寺にはどんなお坊さんがいるんだろう?」と思ったこと、ありませんか? お坊さんに会うことは、お寺と縁を結ぶこと。お寺のなかでお坊さんが考えていることをお伝えすることで、もう「観光」では物足りない、お寺や仏教をもっと知りたくなったあなたに、お寺との縁の結び方をご提案します(→はじめに)。
杉本恭子
大阪生まれ。水瓶座、B型。東京で5年間を過ごし「東京は山が見えない」と学生時代を過ごした盆地・京都に戻る。大学寮で「寮を開く」という名目でカフェ・イベントを開催していた経験からお寺の動きに興味を持つ。現在は、京都をテーマにした雑誌などで取材・執筆を行うライター。ご連絡・お仕事依頼はこちらまで。 (プロフィール写真撮影:近藤宏樹)
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