2009年11月19日
今城良瑞さん
お話を伺った今城良瑞さん。

今城さんは、お坊さんは"自行"として"利他"を行わなければいけないという考えに基づいて、また心に傷を負う人に寄り添いたいという思いから、『mixi』などを利用してさまざまな相談を受ける活動をしておられます。そして、一人ひとりの抱える問題を本当に解決するには、ネットからリアルへと連れ出したいと、会って直接話をする機会も作っています。後編では、著書『ボクらの仏教』を通じて伝えたかったこと、今城さんが望むお坊さんとしての在り方についてお尋ねしてみました。

『mixi』コミュニティからリアルへ連れ出したい

『言えない心の傷』
2万人が参加する『言えない心の傷』の様子。

NPO法人『HAPPY FORCE』をはじめた後、2006年の終わりごろに『mixi』のコミュニティ『言えない心の傷』にも参加しました。『言えない心の傷』は、虐待やレイプ、リストカットなど誰にも言えない心の傷を負った人が集まるコミュニティです。当初は18歳の大学生が管理人で、一人でレスをつけてがんばってたんです。これは大変やなぁ、偉い子やなぁと思って、僕もレスをつけたりするうちに副管理人になってくれと言われたんですね。

その後、管理人が大学を卒業して就職することになったので、管理人を代わってほしいと言われて去年から僕が管理人をしています。最初は少人数のコミュニティだった『言えない心の傷』も、今は2万人の参加者がいます。そんなにたくさんの人が心に傷を負って参加しているって本当はおかしいことですよね。

Happy Force会員との巡礼
HAPPY FORCE主催の巡礼ツアーの様子。

コミュニティの書き込みには、深刻な内容のものも少なくありません。僕は、そのひとつひとつに短い文章でレスを返すようにしています。ネットでは「ちゃんと読んでますよ。聴いてますよ」ということがわかればそれでええと思うんです。ネットを利用してはいますけど、僕はネットの中だけでものごとが解決すると思われるのはいやなんです。やっぱり、本当に何かを解決したいなら、現実の世界の中で動いていかないといけないと思います。

最終的な目標としては実際に会って何とかすることですので、『言えない心の傷』のほかに『ネットからリアルへ』というコミュニティも作っています。匿名だからこそ言いやすいというのは、ネットのいい部分やと思います。実際に会って話すとなると、勇気もいるしハードルも高いかもしれません。でも、ネットの中だけで終わらせていても何にもならない。現実の世界に出てきてもらって、僕に会ってもらって縁を深めてもらえれば、相談の内容も深まっていきますしね。もっとたくさんの人に会って話ができればと思っています。

『ボクらの仏教 毎日がラクになるヒント』を書いて

初の著書『ボクらの仏教』はPHP研究所から発売中。

いろんな悩みや苦しみを持つ人に対して、特効薬的なものは何もないんですよね。ただ、ちょっとした考え方や行動の変化が積み重なっていくと、1年先や2年先には何かが変わっていって、いろんなことがいいほうに転がっていくと思うんです。『ボクらの仏教』では、そのきっかけを作るものを書きたかったんですね。

活字離れが進んでいると言われていますし、なるべく文章を簡潔にわかりやすく、面白く読んでもらえるように気をつけて書いたつもりです。やっぱり、今の若い世代にはそうじゃないと無理でしょう。僕も大学で「こんな授業ムリ! 何言ってるかさっぱりわからへん」って思いましたからね(笑)。

もともと、仮のタイトルは「17歳からの仏教入門」やったんです。だから高校生にも読んでもらえるくらいに軽く書いていますし、新幹線の東京−大阪間で読み終われるボリュームです。仏教の入り口、入門書としてはちょうどいい感じので、軽い気持ちで手にとってもらえたらいいと思っています。

自由なお坊さんでありたい

能楽「空海」
平成17年8月大槻能楽堂にて梅若六郎主演の能楽「空海」に出演

今の僕の悩みは、自由に活動するための時間とお金が足りないことですね。基本的に『mixi』の書き込みは夜中に集中するから睡眠時間が不足しがちですし、『HAPPY FORCE』でのイベントも基本的には持ち出しになります。お寺に勤めるのをやめれば時間はできますけど、お金には困りますしどうすりゃいいんでしょうね(笑)。

実際に、僕みたいな活動をやりたいけど、法務が忙しくて何もできないという人もたくさんおられると思います。僕は、収入源さえ確保できるなら、お寺をやめて一日中相談をやりたいです。お寺がなくてもお坊さんではいられますからね。

ただ、僕が求めているのは自由度やと思うんですよ。自分がやりたいことを自由にやれる環境が一番うれしいので、たとえば一山一寺の住職になって束縛が増えるようなら、それは楽しくないんです。

僕はね、自分が楽しくしていないといけないと思ってるんです。自分が楽しくないのに、コミュニティ(『言えない心の傷』)で、受け答えをしたらダメなんじゃないかと。しかも、僕は絶対的な価値観を「オモロい」に持ってくる大阪人という民族ですからね(笑)。僕の話を聞いていたら「もしかしたらあんな風に楽しそうにできるのかな」と思われるくらいのものを持ち続けていたいです。

坊主めくりアンケート


1)好きな音楽(ミュージシャン)を教えてください。特定のアルバムなどがあれば、そのタイトルもお願いします。

一番新しいところで、「Superfly」。

2)好きな映画があれば教えてください。特に好きなシーンなどがあれば、かんたんな説明をお願いします。

『ファンシーダンス』
長い廊下を、歌を歌いながら雑巾がけをしている本木雅弘に対し、竹中直人が「雑巾が歌うか!」と言い、顔を踏みつけたシーン。
専修学院での掃除の時間に、友人と何度もそのシーンを再現した記憶が。。。

3)影響を受けたと思われる本、好きな本があれば教えてください。

『泣いた赤鬼』

4)好きなスポーツはありますか? またスポーツされることはありますか?

一番好きなのは、「アメリカン・フットボール」
最近、「キックボクシング」をはじめました。

5)好きな料理・食べ物はなんですか?

不精進料理

6)趣味・特技があれば教えてください。

歌うことが好き。ちょこっとだけ、ギターが弾ける。

7)苦手だなぁと思われることはなんですか?

気ぃ悪い奴と、話すこと。
それを我慢すること。

8)旅行してみたい場所、国があれば教えてください。

世界中

9)子供のころの夢、なりたかった職業があれば教えてください。

自衛隊で戦闘機に乗りたかった

10)尊敬している人がいれば教えてください。

お大師さん

11)学生時代のクラブ・サークル活動では何をされていましたか?

アメリカン・フットボール部

12)アルバイトされたことはありますか? あればその内容も教えてください。

道路の舗装工事や住宅の建設現場でのアルバイト。

13)(お坊さんなのに)どうしてもやめられないことがあればこっそり教えてください

最近していないけど、「釣り」。因みに、今までに釣った最大の魚は、ブルーマリン。

14)休みの日はありますか? もしあれば、休みの日はどんな風に過ごされていますか?

子どもの相手。

15)1ヶ月以上の長いお休みが取れたら何をしたいですか?

世界一周

16)座右の銘にしている言葉があれば教えてください。

発心即到

17)前世では何をしていたと思われますか? また生まれ変わったら何になりたいですか?

前世は、???
次は、海賊王になりたい。

18)他のお坊さんに聞いてみたい質問があれば教えてください。(次のインタビューで聞いてみます)

(未回答)

19)前のお坊さんからの質問です。「病気で二度と声が出なくなってもお坊さんを続けますか?」

もちろん。辞める理由にはなりませんから。

プロフィール

今城良瑞さん/いましろりょうずい

1971年3月26日、大阪生まれ。1989年、高野山大学仏教学部密教学科に入学、同年高野山真言宗総本山 金剛峯寺で得度。1993年、高野山専修学院に入学して一年間の修行生活を送り加行。卒業後は大阪の某本山に勤務する。2003年、高野山真言宗主催『心の相談員養成講習会』に参加、心理カウンセリングを中心にさまざまな援助のしかたを学ぶ。2005年、NPO法人『HAPPY FORCE』を設立、理事に就任。2008年からは理事長を務める。『mixi』のコミュニティ『言えない心の傷』『ネットからリアルへ』の管理人として、日々さまざまな思いに向き合いレスコメントをつけている。2008年より保護司も務める。

ボクらの仏教 毎日がラクになるヒント
お釈迦さまのこと、お大師さまのこと、仏教の考え方について、とてもていねいなやり方で、しかも面白く書かれた仏教入門です。当初は『17歳からの仏教入門』という仮タイトルだったというだけあって、高校生でも充分に読める内容になっていますので、今まで仏教書を手にとってくじけた経験のある大人の方にもおすすめしたいと思います。読み進めていくと、「少し考え方や行動を変えて、苦しい気持ちをやわらげてほしい」という今城さんのあったかい思いが行間から伝わってきます。

今城さんの活動紹介

NPO法人『HAPPY FORCE
2005年設立。当初は「不登校」「引きこもり」を対象としたサポート・カウンセリング活動を中心としていたが、現在はお坊さんである今城さんを中心にサポート対象を広げている。mixiコミュニティの運営、講演会・イベント等の開催、救いを求める声に応じる相談活動などを行っている。

mixiコミュニティ『言えない心の傷』
虐待、レイプ、リストカット、いじめ、自殺未遂、鬱、PTSD......さまざまな理由で苦しみを抱えた人たちが、ふだんは言いづらくて言えないことを吐き出す場として立ち上げられたコミュニティ。約2万2000人の参加者から、"言えない心の傷"について吐き出される思いが綴られ、その一つひとつに今城さんはレスをつけておられます。(コミュニティの性質上、URLのリンクはしておりません。興味のある方は、mixiにログイン後「コミュニティ検索」で探してみてください。)

mixiコミュニティ『ネットからリアルへ』
『言えない心の傷』の参加者を主な対象に、「モニターだけ見ている生活から現実に連れ出してあげたい」と、今城さんが立ち上げたコミュニティ。『HAPPY FORCE』の主催で、食事会、講演・ワークショップ、お寺参拝、ハイキング......など、さまざまなイベントを開催し、直接顔を合わせて話す場を作ることでリアルに繋がるきっかけづくりをされています。

イベント予定『第一回楽しく生きるセミナー』
同じことをしていても「苦しい」「つらい」と感じる人もいれば、「楽しい」「うれしい」と感じる人もいます。どうせ生きていくなら「楽しく」生きていかないともったいない----では、どうすれば「楽しく」人生を歩むことができるのか? その問いに答えてくれる人はさまざまな分野におられますが、一度にたくさん学ぶのは難しいです。だから、少しずつ一緒に学びながら、「オモロい」と感じられる人生を共に歩んでみませんか?

楽しく生きるセミナー「生き方としてのソリューション・フォーカス入門」 橋本文隆 先生
特別講演「言えない心の傷」 のりを 先生

日時:2009年12月19日(土)10:00開会(9:30受付開始)
場所:太融寺 会館2階 (大阪市北区太融寺町3-7)
アクセス:JR大阪駅、阪急・阪神・地下鉄梅田駅から東へ(扇町通)300m右側
受講料:2000円
定員:100名

詳しくはイベント告知をご覧ください。

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「このお寺にはどんなお坊さんがいるんだろう?」と思ったこと、ありませんか? お坊さんに会うことは、お寺と縁を結ぶこと。お寺のなかでお坊さんが考えていることをお伝えすることで、もう「観光」では物足りない、お寺や仏教をもっと知りたくなったあなたに、お寺との縁の結び方をご提案します(→はじめに)。
杉本恭子
大阪生まれ。水瓶座、B型。東京で5年間を過ごし「東京は山が見えない」と学生時代を過ごした盆地・京都に戻る。大学寮で「寮を開く」という名目でカフェ・イベントを開催していた経験からお寺の動きに興味を持つ。現在は、京都をテーマにした雑誌などで取材・執筆を行うライター。ご連絡・お仕事依頼はこちらまで。 (プロフィール写真撮影:近藤宏樹)
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