2009年4月 9日

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近所の絵本の会からアートパフォーマンスまで幅広くイベントを受け入れながら、やわらかな発想でお寺と自らの「宗教家」としてのあり方を追求する、浄土宗僧侶・土肥真司さん。今回は、土肥さんが僧侶になった風変わりな経緯から、現在永運院というお寺をどう生かしていきたいと考えていらっしゃるのかについて詳しくお話をうかがいました。

「神さまの思し召し」がありまして

 僕は、このお寺を母方の祖父から受け継ぎました。実は、父は日本基督教団の牧師なんですよ。洗礼は受けませんでしたが、高校卒業までは毎週日曜日に教会に通っていましたし、青年会会長もしていたくらい。だから、大学に入る前に「お寺を継がないか」と言われるまでは、僧侶になることはまったく考えていませんでした。

 でも、小さい頃から春、夏、冬休みは必ずこのお寺で過ごしていたので、おじいちゃんおばあちゃんのことが大好きやったんですね。「もしおじいちゃんが死んだら、おばあちゃんはここを出ていかなあかん」と言われまして、継ぐとしたら僕しかいないよなあ、と。坊主になるのにこんな言い方はおかしいけれど、「これも神様の思し召しかなぁ。坊主になれって言うたはるねんなあ」と思って(笑)。「じゃあお寺に入ります」みたいな感じだったのよね(笑)。

自然と「手が合わさる」という信仰のあり方

eiunin_1.jpg キリスト教の場合は、「個人と神様の契約」が基本になりますが、仏教の場合は「家の宗教」みたいなところがありますよね。「教会に行って神様の前で懺悔して」というような強い信念はなくても、町でお地蔵さんを見かけると自然と手が合わさるでしょう? 「そこに深い意味はあるの?」と問われたら、「いや、特に無いんやけど、そこにあったらつい手を合わせてしまうねん」くらいの感じやと思うんやね(笑)。それが面白いなあと思います。

 「手を合わせる」ことは自然にしているのに、いざ宗教と向き合うとなるとすごく遠い存在として扱われてしまいますよね。毎日、仏壇の前でおじいちゃんおばあちゃんは「チンチン」てしはるし、みんなも実家へ帰ったら仏壇で「チンチン」てするやんって思います。お盆になれば「暑いなあ...」と思いながらお墓参り行って、「でも、その後のラムネがおいしいねん」とかね(笑)。それをずっと繰り返し経験してきた歴史があるのに、仏教の話っていうとみんなコチーンとなっちゃう。もっと気楽にお寺というところとつきあってほしいですね。

僧侶である前に宗教家としてありたい

eiunin_2.jpg 宗派・宗教に真面目な人からは不真面目に思われるかもしれないけど、僕はこういう環境のなかで僧侶になったので、「○○宗の僧侶」とか「牧師」である前に、その人がまず「宗教家」であるかどうかが大事だと思っています。僕もまだ、いろんな勉強をしたり、いろんな人と話をして経験を積んでいる段階ですが、「宗教家としてどこまで何ができているか」ということは、一生模索し続けることになるんだろうと思うんですね。

 話をするということでいえば、うちは檀家さんが立ち寄って話しこんでいったり、雑誌を見た人が「話を聞いてもらえますか?」と来られることもあるんですね。誰かの話を聞くときは、思いのたけを吐き出してもらうようにしています。自分の思いを誰かに伝えようとすると順を追って説明しなければいけませんし、そのプロセスで必然的に気持ちに整理がつきますよね。後は、その人自身が「がんばろう、こうしよう」という気持ちになれたらいいと思うんです。

 僕はたくさんの人の前で話をするというのは苦手なんですよ(笑)。どちらかというと、個人的に「対話」をしながらその人の思いをいろいろ聴き出してあげて、最後に背中をトンと押してあげるのが大事なことやと思っています。大切なお話を聞かせていただくことは、僕にとってもいい経験になりますし、「話をする」というのはお互いに与え合うものだと思うんです。法話の上手な方はたくさんいらっしゃいますから、僕がムリにしなくてもいいかなと思います。(後編につづく)




プロフィール

土肥真司さん/どひ しんじ
1966年生まれ。同志社大学文学部文化学科哲学専攻卒業。1994年に晋山、永運院住職に。舞台芸術の活性化をめざすNPO団体「Performing Art Network(PAN)」を主宰し、お寺の空間と芸術のコラボレーションにも取り組む。4人の娘に愛されるやさしい父でもある。

永運院

永運院 地図天正19年(1591)創建。浄土宗大本山 紫雲山くろ谷 金戒光明寺の塔頭寺院。浄専院(天正4年/1576年開創)、妙蓮院(慶長14年/1609開創)の二つの塔頭を合併したため、本堂には三ヶ寺のご本尊・阿弥陀如来を安置する。本堂と唐門と表門は京都府登録文化財。通常拝観はなし。

京都市左京区黒谷町33 fax: 075-751-6311
mochi-shomenlive あっとまーく hotmail.co.jp
京都市バス 岡崎道バス停徒歩10分(203、204系統、32など)


永運院イベント情報

※各イベントに関する詳細は、イベント主催者のウェブサイトなどに記載されている連絡先へお問い合わせください。

●4月12日(土)北インド古典音楽LIVE@黒谷永運院
関東、名古屋、京阪神から各種インド楽器の演奏者、ダンサーたちなどが集うプレミアムライブ。何が起きるかは当日のお楽しみ!?
開場 13:00/開演 14:00 
前売り¥2500 当日¥3000(全席自由)中学生以下半額
http://ameblo.jp/indianmusicfes/

●5月17日(日)「THE RITE OF SPRING-- dance, art, spirit」
MIHO MuseumキュレーターのAzuma Yoko氏、広島・西光寺住職の檀上宗謙氏、インド舞踊ダンサーが出演。Kyoto生chocolat Organic Teahouseの中西シェフによるベジタブルカレーとドリンク付。
開場 17:00/開演 18:00(21:00終演予定)
¥4000(ディナー、ドリンク付/5月12日までに要予約)
問い合わせ:075-761-1433(tel/fax)


●5月23日(土)「生と死--琵琶・ギター・ダンス」
スイスに生まれ、筑前琵琶の演奏者として精力的なライブ活動を行うシルヴァン旭西ギニヤール氏の二夜連続ライブコンサート。
開演 18:00〜(5/23)、15:00〜(5/24) 前売り¥3000 当日¥3500
http://www.geocities.jp/silbiwa/concert.htm


●6月7日(日)「2009京都インド音楽祭」
シタール、タブラ、バンスリなどのインド楽器の演奏者を、豪華多彩に集めて開催されるインド音楽の祭典。
開場 11;30/開演 12:00(20:00終演予定)
前売り¥3000 当日¥3500(全席自由)中学生以下半額
http://indo.guruguru.ninpou.jp/

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コメント (8)

yoshino:

新しい企画ですね!楽しみに読んだら面白かった!
今からこの次に紹介される人が楽しみで仕方がありません!

これからもがんばってくださいね

>yoshinoさま

コメントありがとうございます!めちゃくちゃうれしいです。
一人ひとり、ていねいにお話を伺えるように、がんばってまいりたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

坂本州栄:

「宗教家でありたい」という言葉が本当にありがたく思えました。
お坊さんに「今は別のことをしているから、相談は受けられません」みたいな雰囲気を感じることがあって敷居が高いんですよね。
だからと言ってあんまり身近すぎても相談しづらいし。
「宗教家でありたい」という言葉は考えぬかれた言葉なのだと感じました。

土肥:

坂本州栄 様
感想書き込みありがとうございました。

人間が十人十色なように
お坊さんって一言で言っても色々なんですよね。
気さくな人もいれば、高飛車な人もいれば
照れ屋さんなお坊さんも・・。
常連になりたくなるお寺さんとの出会いがあればいいですね。

西岡:

杉本さま

連載のお知らせありがとうございました。
早速拝見させていただきました。
普段なかなかお話しする機会のない、お坊さん
確かにお坊さんも人間なんですから、いろんな方が居られますよね。
お坊さんから「神さまの思し召し」が出るのも
土肥さんの生きてきた中での言葉ですもんね
面白かったです。

いろんな方のお話が聞けること楽しみにしていま~す。

スギモト:

>坂本州栄さま
コメントありがとうございます!

>西岡さま

わー!ごらんいただいて、コメントまでしてくださって本当にありがとうございます。

「人の話」はどなたのお話でも面白いんですけども、今はどうしてかお坊さんのお話を伺いたくなる巡り合わせのように感じています。お坊さんは、まさに一国一城の主のような方でもあるので、ほんとーうにいろんな方がいらっしゃいますし、いろんなお話をうかがってまいります。

ぜひまた見にきていただけるとうれしいです!

永運院でのイベントですが、京都インド音楽祭は、6月4日訂正で、6月7日日曜日です、すみませんが、修正していただけないでしょうか。

スギモト:

>大槻さま
訂正のご連絡ありがとうございます。
日程の修正および、イベント情報のリンク先を変更させていただきました。また何かありましたらお知らせいただきますようお願いいたします。

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杉本恭子
大阪生まれ。水瓶座、B型。東京で5年間を過ごし「東京は山が見えない」と学生時代を過ごした盆地・京都に戻る。大学寮で「寮を開く」という名目でカフェ・イベントを開催していた経験からお寺の動きに興味を持つ。現在は、京都をテーマにした雑誌などで取材・執筆を行うライター。ご連絡・お仕事依頼はこちらまで。 (プロフィール写真撮影:近藤宏樹)
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