2009年5月 7日

 今日は共同通信の記者がインタビューにやって来ました。内容は経済危機によるお寺の影響を聞きたいと言うことでした。

 あるキリスト教の雑誌には、米国の経済危機にも関われらず、プロテスタントの礼拝出席者が減らず、献金にも力を入れているそうです。また失業や経済不安から、教会に助けを求める人々が全米各地で増えてるということで、仏教ではどうかということになったようです。

 実際に、お寺に来る人の中にも、経済危機の影響で失業した人も少数ではありますがいらっしゃいますし、これを機に引退した人もおられます。仕事が見つからずにニューヨーク市内の住むのをあきらめて引っ越しした人も知っています。

 何故お寺に来るのかをいつもいつも聞くわけもありませんので、わかりませんが、失業して何か心の支えを求めて来た人も耳に入っているだけれも数人はいました。ただ、全体としてはお寺のお参りに関してはあまり目立った変化は感じませんでした。人数も同じくらいですし、人が入れ替わり立ち替わり来るのはいつものことです。


 毎週日曜日に法話をしますが、結構、経済危機にあってそれを乗り切る道を折り込みながら話すことも最近多くなったかも知れません。先行きわからない状況であっても、今、私ができることをしっかりやっていくことの大切さを強調したり、中心になるものをいつも持っておくならば、だるまのように倒れてはまた立ち直ることができる、あるいはどんな状況であっても智慧と慈悲をわすれないようにするなどを話すこともありました。

 仏教の諸行無常ということ、すなわち,すべてのものが変化する、うまく行っていたものもいつ崩れるかわからない、また同時に苦しみも楽しみに変じるかもしれない不確定なものであるということも話しました。

 実は昨日も近所のキリスト教の牧師さんとも話していたのですが、そこの教会ではあまり変わりがないと言っておられました。ただ今まで会員になろうかどうかと迷っていた人が会員になってくれたと話していました。

 そういえば、お寺も経済状態が大変だろうと言って、すすんで寄付をしてくれた人が幾人かいたのを思い出しました。苦しい時に相手を思えるあたたかい心に出遇えることは嬉しいことでした。

 今回の経済危機は大きなものかも知れませんが、ニューヨークの人にとっては9・11同時多発テロに比べれば何てことはない、と思っている人も多いのではないのかと思います。あの9・11の惨事を乗り越えたのだから、今回も大丈夫という思いがあると思うのです。

 お参りの変化ということも、9・11の後のお参りは、最初の一ヶ月はそれこそ本堂が一杯で入れないほどの人が詰め寄せるという明らかな違いが起こりましたが、今回は静かなものです。お参りをするもの真剣さも違います。9・11は大波が打ち寄せてきた感じでしたが、今回の経済危機は少し波が大きくなったかなという感じです。

 何はともあれ、今日はインタビューを通して、経済危機と仏教の関わりを考えるご縁を頂いたのでした。

--TK拝

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.higan.net/apps/mt-tb.cgi/3043

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

米国ニューヨーク、マンハッタンのアッパーウェスト地区にニューヨーク本願寺があることをご存じですか?浄土真宗本願寺派からアメリカに派遣されて20年、ニューヨーク本願寺・住職の中垣顕實さんは、9.11同時多発テロ現地で経験。現在、ハドソン川での追悼灯篭流し法要など、平和を訴えるユニークな活動を展開中です。そんな中垣さんが、マンハッタンのお寺から日々の思いをつづります。
中垣顕實
1961年3月11日、大阪生まれ。B型。1985年に渡米、その後、シアトル別院勤務を経て、現在、浄土真宗本願寺派ニューヨーク別院住職。米国を代表する仏教者の一人として、その活動が注目されている。前ニューヨーク仏教連盟会長。著書に『ニューヨーク坊主、インドを歩く』(現代書館)
→ニューヨーク本願寺HP